貯蓄型保険とは、死亡保障と貯蓄機能を兼ね備えた保険商品です。一見魅力的に見える貯蓄型保険ですが、実は大きなデメリットがあります。この記事では、貯蓄型保険に加入してはいけない4つの理由を詳しく解説します。
貯蓄型保険とは?
貯蓄型保険は、終身保険や養老保険、個人年金保険などのように、保障と貯蓄の要素を持つ保険です。加入者は保険料を支払い、将来のために積み立てられた資金を解約返戻金や満期保険金として受け取ることができます。
「掛け捨て保険」と「貯蓄型保険」の違い
掛け捨て保険は保障のみを目的とし、貯蓄要素はない保険です。一方、貯蓄型保険は保障と貯蓄の要素を組み合わせたものであり、将来の資金準備にも役立ちます。
解約返戻金と満期保険金とは?いつ受け取れる?
解約返戻金は保険契約を解約した際に受け取るお金であり、加入期間が経過するにつれて増加します。満期保険金は契約期間が満了した時に支払われるお金です。具体的な金額は保険契約書や保険証券で確認できます。
貯蓄型保険の種類
貯蓄型保険には大きく分けて「終身保険」、「外貨建て保険」、「変額保険」、「学資保険」といった種類があります。
終身保険
終身保険は一生涯続く保障を提供する保険。被保険者が亡くなった際や、障害を負った際に保険金を受け取ることが可能です。
また所定の解約返戻金も設定しており、将来の資金ニーズに応じて解約することで、解約返戻金を活用することも可能です。
外貨建て保険
外貨建て保険は保険料を外貨で支払い、外貨で保険金や解約返戻金を受け取る保険です。外貨の高金利を活かした運用ができ、解約返戻率が高くなる傾向があります。
変額保険
個人年金保険
学資保険
学資保険は将来の教育資金を準備するための保険で、保険料を納めることで学費や満期金を受け取ることができます。保険期間中は保険料払込免除特約により、万が一親が亡くなったとしてもそのまま子は学費などを受け取れます。
貯蓄型保険は大損?「保険で貯める」のがおすすめできない4つの理由
1.解約時に積み立てた金額に対してマイナスになることが多い
2.利回りが低い
貯蓄型保険は保険会社の慎重な運用や経費の負担により、利回りが低くなりがちです。保険会社は「変額保険」以外の商品では、安全性の高い国債の購入などを行う傾向が強いためです。
支払った保険料から保障部分が差し引かれ、残った額が国債などによって運用されている状況のため、他の運用方法や投資商品に比べて収益性が劣ることがあります。
3.月々の保険料の内訳に対して「保障部分」が大きい
貯蓄型保険では月々の保険料の内訳に対して「保障部分」が大きいです。よって実際に積み立てられる貯蓄部分が限られています。保障を重視する方には適していますが、貯蓄を重視する場合には効率的ではありません。
4.インフレリスクが大きい
固定金利タイプの貯蓄型保険では、将来受け取る保険金の額が契約時に決まっているため、インフレによる物価上昇に対応できません。
たとえば「2,000万円の受け取り」をしていたとしても、物価上昇で実質的に円の価値が半減した場合、額面として2,000万円の払い戻しを得てもそのお金の価値が実質半分になってしまいます。保険全般がこうしたインフレリスクに弱いため、インフレに対応するには保険は掛け捨てにして、他の方法で運用するのも手です。
なぜ貯蓄型保険ではあまりお金が貯まらないの?
貯蓄型保険では、保険料の一部が貯蓄に回されます。しかし貯蓄型保険には、手数料や税金もかかり、満期保険金や解約返戻金には税金もかかります。
これらの手数料や税金は、貯蓄部分から差し引かれます。つまり、貯蓄型保険では、低い利息と高い手数料や税金によって、あまりお金が貯まらないのです。
保険と投資を組み合わせることも大切
貯蓄型保険は保障と貯蓄の両方の要素を持つ商品ですが、運用利回りや保険料の内訳によっては貯蓄効果が限定的です。
たとえば「保障」は掛け捨て保険でカバーしつつ、投資や別の貯蓄手段を積極的に取り入れることで、より効果的な資産形成が可能です。
貯蓄と保障を両立させたい場合は変額保険がおすすめ
貯蓄型保険のデメリットも理解したうえで、あくまで「保障も貯蓄も両立する手段を1つは持っておきたい」場合は変額保険がおすすめです。
投資信託の場合、利益に対して20.315%の税金が掛かります。変額保険も受け取り時に税金が掛かりますが、保険料を支払っている間には生命保険料控除を利用することができるため、所得税や住民税の所得控除を受けることができます。
貯蓄型保険がおすすめの人・おすすめではない人
貯蓄型保険がおすすめの人は貯蓄と保険を無理のない範囲で両立したい人。一方、おすすめでない人は保障を重視しておらず「貯蓄のみ」をしたい人です。
おすすめの人:貯蓄と保険を無理のない範囲で両立したい人
貯蓄型保険は将来の資金準備と保障を組み合わせたい方に適しています。長期的な資金計画を立てて、適切な保険料を設定することが重要です。
おすすめではない人:保障を重視しておらず「貯蓄のみ」をしたい人
保障面よりも貯蓄面を重視する場合、貯蓄型保険は効率的ではありません。他の貯蓄手段や投資商品を検討した方が適切かもしれません。
まとめ
貯蓄型保険は貯蓄と保障を兼ねるため、どちらも一つの商品でできる良さがあります。しかしとくに貯蓄を重視したい場合、投資信託などの運用商品に比べて資産が目減りしてしまう可能性もあります。自分のライフスタイルに合わせて、貯蓄型保険にするか、掛け捨て保険にして貯蓄や資産運用は別で行うのかを決めましょう。
監修日:2023年11月13日