駅の改札口越しで荷物の受け渡しはダメなの!? − どんなケースならOK?

最近、X/旧Twitterの投稿で「改札口では、お届け物等の受け渡しはできません」というポスターが掲示されたことが話題となりました。でも、どうして改札口で荷物を受け渡す行為はダメなのでしょうか? そこで今回はガチ乗り鉄の筆者が、この件に関して解説したいと思います。

Xで投稿されたポスターの内容を誤解している人が多い!

X/旧Twitterで「改札口では、お届け物等の受け渡しはできません」という投稿を見たXユーザーからは、「改札口で荷物の受け渡しはダメなんだ、始めて知った!」といったコメントがたくさん寄せられることになりました。

Xで投稿されたポスターの内容を誤解している人が多い!

(筆者撮影)

しかし、これにはいくつかの誤解があるようです。まず、このポスターの趣旨は3つあり、ひとつ目は業務用通路での受け渡しは、安全上の理由で止めてほしいということ。

2つ目は、入場券や一駅分のきっぷを購入して電車に乗り、改札を出ずに荷物を渡してそのまま元の駅に戻るような行為を止めてほしいということです。

そもそも入場券では電車に乗れませんし、利用区間分のきっぷを買わないのは明らかにキセル行為となりますので当然NGですよね。

そして3つ目は「お届け物等」という部分。もし、“業(仕事)”として電車で荷物を配達するとなると、通常の旅客の荷物ではなくなるため、問題があるということです。

とはいえ、忘れ物をした人が家族から駅の改札口で荷物を受け取るような場面は、意外とよく見かけますよね。

このようなケースであっても、改札口で荷物を受け渡す行為は本当にNGなのでしょうか……?

駅の改札口越しで荷物の受け渡しはダメなの!?1

Xの投稿が波紋を呼んだ「改札口での荷物の受け渡し」ですが、どんなケースでもNGなのでしょうか?

結局、改札口での荷物の受け渡しはOKなの? NGなの?

JR東日本が公開している「旅客営業規則」を確認してみると、とくに改札口での荷物の受け渡しを禁止するような条項は見当たりません。

したがって、忘れ物をした子どもにお母さんが改札口で荷物を渡すといったケースなら、ほかのお客さんに迷惑にならない限り問題にはならないと考えていいでしょう。

ところが、旅客営業規則をよく確認してみると、第314条に「旅客運送の伴わない物品を持ち込んだ場合の処置」という項目が見つかりました。

これには、「旅客運送の伴わない物品を、手回り品のように装う等の手段により物品の無賃運送を図った場合は、無賃運送を図った者に対し、当該物品の運送区間について、第312条第1項第1号の規定を準用する」とあります。

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JR東日本の旅客営業規則の第314条には「旅客運送の伴わない物品を持ち込んだ場合の処置」という項目があります(画像はJR東日本より引用)

話は少々ややこしいのですが、そもそも、きっぷには乗客の手荷物運賃(無料手回り品)が含まれています。

“無料手回り品”と認められるのは、旅客営業規則の第308条で定められており「荷物の3辺の合計が、250cm以内で重量は1個30kg以内のものを2個まで」と規定されているのです(自転車やサーフボードなどの例外はアリ)。

つまり、通常のきっぷに含まれる無料手回り品とは認められない荷物を偽装して列車で運ぶと「無賃運送」に該当し、故意にやったと判断されれば10倍に相当する増運賃を請求されることになるんですね。

ちなみに「増運賃は、旅客が、物品の無賃運送を図り荷物運賃を免がれる意思が明らかであるときに限って収受する」と規定されていますので、うっかりミス程度なら増運賃までは請求されないようです。

とはいえ、友だちに頼まれて購入した1個30kg以上の荷物、あるいは3つ以上の荷物を、改札口で受け渡すような場合は、無料手回り品とは認められず「手回り品を装った無賃運送」と判断される可能性があります。

また、A地点からC地点に行く途中のB地点の駅において、改札口の外から荷物を受け取って輸送する場合も、乗車時のきっぷに含まれない荷物を運送することになるので、「手回り品を装った無賃運送」に該当するかもしれません。

●JR東日本「旅客営業規則・■第2編 旅客営業 -第10章 手回り品」は→こちら

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通常の旅客の手荷物の範囲を超えた荷物を運ぶことは、旅客営業規則によって禁止されています。あまり大きな荷物や大量の荷物を改札口で受け渡すと、駅員に注意される可能性が高いでしょう

まとめ

いかがでしょうか? 駅の改札口で荷物を受け渡すこと自体は、JR東日本の旅客営業規則で禁止されているわけではありませんので、忘れ物を渡すくらいなら問題ないと思われます。

しかし、旅客の手荷物の範囲を超える大きな荷物や大量の荷物を運送し、改札口で受け渡すような行為は、もはや鉄道を利用した“運送業務”と見なされても仕方ありません。

たとえば、フリマで売れた商品の送料をケチって、改札口で“お届け物”の受け渡しを行った場合は、グレーゾーンでしょうし、常習的に行っていると“業としての運送”と見なされる可能性もあるでしょう。

また、改札口でコソコソ荷物の受け渡しを行っていると、駅員さんに「キセルなどの不正行為を行っているのでは?」と疑われてしまうかもしれません。

もし、改札口で忘れ物を家族や友だちなどに受け渡しするときは、近くにいる駅員さんに一言声をかけたほうが無難でしょうね。

西澤浩一
アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。趣味は乗り鉄であり、休日はフリーきっぷ片手に日本全国を徘徊中。お気に入りは青春18きっぷで乗れるリゾートしらかみ。他にもゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も趣味のひとつ。

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