外出先で使えるWi-Fi=公衆無線LANは、スマホやパソコンを外出先で使いまくる人には無くてはならないアイテムだ。しかし、常に覗き見の危険と隣り合わせなのが困る。そんな人におすすめしたいのがVPNだ。
パスワードの設定がないWi-Fiは簡単に通信内容を覗き見られてしまう
(Image:Shutterstock.com)
カフェや駅、ホテルなど、公衆無線LAN(公衆Wi-Fi)が利用できる場所はますます増えつつある。無料で使えるケースも多く、格安SIM・格安スマホを利用しているユーザーなど通信可能容量の制限が厳しいユーザーにとっては大変便利な通信手段だが、デメリットもある。アクセスポイントにつなぐためのパスワードを誰でも知ることができたり、そもそもパスワードが設定されていなかったりするのだ。このため、セキュリティ面ではかなり不安が残る。もし悪意のある第三者がアクセスポイントに侵入したり、ニセのアクセスポイントを設置したりすれば、簡単に通信内容を覗き見られてしまうからだ。
アクセス先との通信経路が暗号化されていれば、覗き見される可能性はほとんどない。例えば、URLが「HTTPS」から始まるサイトへのアクセスは、大半の場合、覗き見はできない。GmailなどのWebメールやFacebookなどのSNS、そして最近のメールサーバの大半は通信経路が暗号化されているので大丈夫だが、暗号化されていないアクセス先もあるだろう。そんなサイトへのアクセスで個人情報などを送信してしまえば、悪意のある第三者にデータを覗き見られる可能性がある。
そんなときは、VPNアプリを使用してみよう。VPNとはスマホなど手元の端末とVPNサーバの間を暗号化してくれる仕組みだ。アクセス先のサイトへは、VPNサーバを経由してアクセスすることになる。VPNを利用すれば、公衆無線LANのアクセスポイントにパスワードが掛かっていなくても、通信内容を覗き見られる心配はない。安全性は大きく高まるわけだ。
VPNを利用する方法はいくつかあるが、一番簡単なのがVPNアプリをインストールする方法だ。無料で一定の通信量まで利用できるアプリがいくつか公開されているので、「ここぞ」というときに使うといいだろう。VPN経由のアクセスは通常よりかなり遅くなるが、有料コースに申し込めば、速度が改善されることもある。ここでは、「TunnelBear」というアプリを利用してみたい。このアプリは、iPhone、Androidともに無料アプリとして提供されている。
「TunnelBear」というアプリをストアで検索してインストールする。できたら、アプリを起動して上のスイッチをオンにするだけだ
VPNを利用するかどうかを尋ねられるので、「Allow」をタップする
接続先のVPNサーバが表示される。別の場所のVPNサーバに接続先を変更したいときは、下の国名をタップして選択する
自分のIPアドレスを確認してみる
VPNアプリを利用すると、IPアドレスがVPNサーバのものになるなど、アクセス情報の一部が偽装される。うまくVPNアプリが動作しているか、アクセス情報を表示してくれるサイトにアクセスして確認してみよう。
VPNアプリを利用して「確認くん」にアクセスしてみたところ、「ゲートウェイの名前」に何も表示されなくなった。上にIPアドレスが表示されているが、このアドレスは米国のものである以外の情報は得られなかった
VPNアプリは、公衆無線LANを安全に利用するには便利な仕組みだが、VPNサーバの運営者が善意で運営しているかは保証されない。つまり、悪意のある第三者が設置したVPNサーバを経由すると、公衆無線LANの偽アクセスポイント同様、通信内容を覗き見られてしまう危険がある。必ず利用者の多い、有名なアプリを使用するようにしたい。
また、VPNを利用するとどうしても通信速度は低下する。動画視聴など大容量データの通信には向かない。さらに、たまにVPNを経由した接続を遮断するサイトもある。万能ではないことを知った上で利用するようにしたい。