世界的なドル高はここでも大きな影響を与えているようだ。アップル社は2022年10月5日からアプリストア「App Store」の価格変更を行うことを発表した。日本以外でもエジプト、マレーシア、パキスタン、ポーランド、韓国、スウェーデン、ベトナム、およびユーロを通貨とする全地域が対象で、日本ではこれまで最低価格が120円だったが、160円に引き上げられる。
気になる値上げ幅は約3割…単位ごとで変わる値上げ率
App Storeの価格はアップル社側があらかじめ設定した「Tier」という単位で開発者が選択する形式になっている。120円、250円、370円…のように、単位ごとに価格が比例して同じ金額ずつ上がるわけではない。Tier 1の120円からTier 2の250円では、130円の上昇幅があるが、次は120円の増加…というように上昇幅に差がある。今回の価格変更では、Tierが1上がるごとの上昇幅が100円から200円と2倍の差が出るところもあり、この差が大きいのには疑問が残る。
■App Storeアプリ内課金価格変更比較(一部)
現在 | 新価格 | 値上げ額 | 値上がり率 |
120円 | 160円 | 40円 | 33.3% |
250円 | 320円 | 70円 | 28.0% |
370円 | 480円 | 110円 | 29.7% |
490円 | 650円 | 160円 | 32.7% |
610円 | 800円 | 190円 | 31.1% |
730円 | 1,000円 | 270円 | 37.0% |
860円 | 1,100円 | 240円 | 27.9% |
980円 | 1,200円 | 220円 | 22.4% |
1,100円 | 1,500円 | 400円 | 36.4% |
1,220円 | 1,600円 | 380円 | 31.1% |
1,340円 | 1,800円 | 460円 | 34.3% |
1,480円 | 1,900円 | 420円 | 28.4% |
1,600円 | 2,000円 | 400円 | 25.0% |
1,720円 | 2,200円 | 480円 | 27.9% |
1,840円 | 2,400円 | 560円 | 30.4% |
値上げ幅は単位ごとに差が大きいように感じるが…(表はApp Storeのデータを元に編集部で作成)
値上げ率は平均で約3割だが、細かく見ていくと最低価格の120円から160円は33.3%、980円から1,100円になる価格帯では22.4%、1,100円から1,500円に上がる価格帯ではなんと36.4%と、大きな差があることが判明した。
値上げの影響をなるべく受けないようにするためには、前後の値段差と値上げ率を考える必要がある。現実的には新価格で1,200円か2,000円がおトクなのではないだろうか。
サブスクは対象外? 値上げ前にできる対策はあるのか
アップル社の発表には「自動更新サブスクリプションを除く」とあり、今回の値上げでは「Apple Music」や「Apple TV」など、App Storeで購入するサブスクは対象外。都度課金型のものだけが対象とみられる。
値上げの前にしておく対策としては、長期サブスクに切り替える、普段から使用している課金型アプリを前もって課金しておく、などが考えられる。
SNSでは、早くも値上げの前にソシャゲのガチャ用の石などを買いだめしたり、有料アプリを購入したりと”駆け込み課金”をするという声も。しかし、日本の企業が開発・販売しているゲームのアプリ内購入アイテムは、値上げ前の価格に近いTierに変更される可能性もある。2019年10月に行われた前回の価格変更で、一部のゲームでは実際に価格改訂に合わせて価格単位が調整された例もあり、今回も急いで課金しなくても大丈夫なのでは、という説も。
プラットフォーム間の価格差を少なくするために、Android端末向けのGoogle Playも値上げされるのでは、と懸念されている。これを機に課金離れが進む可能性もあり、業界でも歓迎される話ではなさそうだ。
引用元:AppおよびApp内課金の税金と価格の変更について【Apple】
※サムネイル画像(Image:Thanes.Op / Shutterstock.com)