iPhoneユーザーは、アプリについては「Appストア」からしかダウンロードできないということをご存じだろうか。Appleはこれまで、ユーザーの安全面の問題からAppストア以外のアプリストアの参入を認めていなかった。しかし、日本政府はAppleに対し、業界の公正な競争のためとして、他社への開放を求めている。これにより、ユーザーにとってのメリットはあるのだろうか。
新規参入のアプリストア審査はAppleに担わせる方針
2023年6月3日、読売新聞は政府がiPhoneのアプリストア開放を義務付けるにあたり、アプリストアの審査も担わせる方針であると報じた。
日本のスマホOSは、Appleの「iOS」とGoogleによる「Android」がほぼ独占している状態だ。Androidはソフトウェアを構成しているプログラムを無償で一般公開する、OSのオープンソース化をしており、他のアプリストアからもアプリをインストールすることが可能。しかし、iPhoneでは、Appストアからしかダウンロードできない仕様になっている。
アプリストアを開放すれば、危険性のあるアプリが公開されるリスクもある。政府はそのための対策として、OSの開発元であるAppleに審査させることを検討しているとのことだ。さらに、アップルが安全性を理由に他のアプリストアを認めない可能性もあるとして、政府が判断する仕組みもあわせて検討。さらに政府は「ストア開放によって他社が参入すれば、安全面でも競争が起こり、安全性が底上げされる」としている。
独占禁止法上で問題に?…ユーザーからは冷ややかな反応
公正取引委員会も、GoogleとAppleの2社がそれぞれのOSに対して、アプリストアにおけるシェアが大きすぎることなどから、競争が十分に行われていない状態だという見解を示している。さらに、Appleがアプリ開発を行う企業に対して、Appストアで配布するために最大30%の手数料を徴収していることなども指摘している。
しかし、アプリストアの安全性をAppleに審査させ、その審査の公平性を政府が監視する二重構造は、誰にとってメリットがあるのだろうか。ユーザーからは「Appleの負担を上げて生まれるリスクが心配」「個人的にはあまりこれは必要性を感じない」など、iPhoneでAppストア以外からアプリをダウンロードできることにメリットを見いだせないという声も。現実に、アプリストアが開放されているはずのAndroidスマホでも、結局「Google Playストア」が一強の状態だ。
「セキュリティを一定程度、担保しつつも、競争原理が働く仕組みを導入したい」という政府の思惑と、安全性を重視しアプリの入手はAppストアからのみとしてきたApple、それで不満を感じていない多くのユーザー。いったい誰のためのアプリストア開放なのだろうか。
引用元:【読売新聞オンライン】
引用元:【読売新聞オンライン】
参照元:【公正取引委員会】
参照元:【デジタル市場競争会議】
※サムネイル画像(Image:AlexandraPopova / Shutterstock.com)