マップアプリを「車載カーナビ」の代わりとして、利用している方も多いでしょう。なかでも「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」「moviLink(トヨタ)」は、多くのユーザーに支持されている人気のマップアプリです。
しかし、たとえばGoogleマップは「カーナビに特化したアプリではない」などそれぞれに特徴があり、どれが使いやすいかは見解が分かれるところでしょう。
そこで、これら3つのカーナビアプリの特徴や機能を比較し「結局、どれが一番使いやすいのか」それぞれの長所や短所を詳しく見ていきます。
カーナビとしての「Googleマップ」の特徴は?
Googleマップは、言わずと知れた地図アプリの代表格であり「カーナビ代わり」に使う方が少なくないアプリです。ただし「カーナビとしても使える」に過ぎず、カーナビに特化したアプリではありません。
最初からカーナビアプリとして開発されたアプリと比べると、劣った点があるのも事実。たとえばマップそのものの見た目を「Yahoo!カーナビ」と比べてみると、「Googleマップ」は「徒歩での利用」にも適したUI。ビル名の表示などが多い反面、たとえば運転中に気になりやすい「ガソリンスタンド」「コンビニ」などはどこにあるのかやや分かりづらいです。
その点「Yahoo!カーナビ」は画面がすっきりとしており、なおかつ曲がるべき場所の特徴なども目立ち、視認性が高いマップといえます。
もっともGoogleマップは無料で利用できる上、たとえば車から降りたあとに徒歩で移動するといった場合、目的地を切り替えるだけで徒歩移動用としてすぐに切り替えることが可能。そういった意味でGoogleマップは「汎用的なアプリ」といえるでしょう。
「Yahoo!カーナビ」「moviLink(トヨタ)」の特徴は?
Googleマップは厳密には「マップアプリ」であり、カーナビに特化したアプリではありません。一方で「Yahoo!カーナビ」「movilink」はそれぞれカーナビに特化したアプリです。この2つのアプリは「カーナビ特化」のマップアプリとしては、極めて大手のアプリだといえます。
Yahoo!カーナビは純国産のカーナビアプリで、日本の道路事情を考慮して作られたアプリだといえます。その性能は「ルート検索」に表れています。たとえばGoogleマップは原則として最短ルートを優先しがちで、指示通りに道を進むと極めて狭い住宅街のルートを案内される場合などがあります。
これに対し、Yahoo!カーナビは「広く、通行しやすい道路」を優先して案内する傾向があります。「通れるか通れないか微妙な、車幅ギリギリのルートを走らなくてはいけない」といったことはYahoo!カーナビでは起こりづらいです。
一方、moviLinkはトヨタの車載ナビと同等の機能を持つカーナビアプリとして開発されました。Yahoo!カーナビと同様に「カーナビ特化のアプリ」であり、Googleマップよりも詳細な交差点案内や高速道路の分岐案内が特徴です。また、3D表示による見やすい地図や、複数の目的地を設定できる「おでかけプラン」機能など、使いやすさを重視した機能が特徴的です。
ただし、「施設情報の充実度」や「目的地検索の精度」の面ではGoogleマップに若干劣る一面も。moviLinkでうまく目的地検索ができない際は、目的地検索そのものはGoogleマップで行い、その目的地情報をmovilinkに転送して使用するという組み合わせも一案です。
「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」「moviLink(トヨタ)」のマップの見た目
ではこの3つのアプリのナビ画面の見た目などは、具体的にどう違うのでしょうか? まずは 「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」「moviLink」それぞれの、マップの見た目の違いをご紹介します。
Googleマップ
Googleマップのマップ表示は、地名や施設のアイコンなど多くの情報が表示されています。周辺情報を詳細に知りたい場合に便利ですが、基本的には運転中に目的地以外の飲食店情報や会社情報は不要となるため、カーナビとしては情報過多に感じる場合があります。また、3D表示機能もあって建物や地形をリアルに見ることができますが、運転中の視認性という点では必ずしも適切とは言い難いでしょう。
Yahoo!カーナビ
Yahoo!カーナビは、従来の車載ナビに近い見た目を採用しています。道路の車線情報が詳細に表示され、交差点での進路変更が分かりやすいのが特徴です。また、文字サイズが大きめで、高速道路の分岐点などの重要な情報が強調表示されるため、運転中の視認性に優れています。また、チェーン店やコンビニなどはアイコンで表示されるため、視認性が高いといえるでしょう。
moviLink
moviLinkのマップ表示は「シンプル」な印象があり、運転中にも見やすいデザインになっています。一方、マップ上の施設名などの表示はどちらかといえばGoogleマップに近い印象。また、直線のときは3D表示、右左折のタイミングでは2D表示に切り替わるなど、進路変更のポイントが理解しやすいよう工夫されています。
「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」「moviLink(トヨタ)」のルート検索性能
マップの見た目が良い場合でも、ルート検索性能に難がある場合は「使いづらいアプリ」と言わざるを得ません。「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」「moviLink」それぞれのアプリを「ルート検索」の性能で比べてみました。
Googleマップ
Googleマップのルート検索は、「早さ」を優先する傾向があります。そのため、狭い道を案内することが多く、初めて訪れる場所や大型車での移動には適さない場合があります。「ナビ通りに進むと車幅ギリギリのルートを案内される」など、カーナビとして使うことを前提とした検索性能には難があるといえます。
一方、カーナビとしての利用を前提とした機能改善も進んできてはいる様子です。たとえば駐車場が複数あるスポットを調べたところ、どの駐車場を目的地に設定し、ルートを案内するか選ぶことが可能でした。また、マップの左下にストリートビューで撮影された実際の写真が表示されているのもGoogleマップならではです。
Yahoo!カーナビ
Yahoo!カーナビは目的地を設定したところ、複数ある選択肢のなかから自分で好きなルートを選べる点がメリットだと感じた一方、道路事情に詳しくない人にとっては「なにを選択したらいいか分からない」という点でデメリットになりえると思いました。しかし、マップ上にオービスが表示されているのはGoogleマップにはない大きなメリットです。
moviLink
moviLinkのルート検索は、車専用のルート検索で狭い道を避け、広い道路を優先して案内する傾向が強いです。また、「おすすめ」「早さ優先」「一般道優先」「距離優先」という分かりやすい4通りが用意されており、道路に詳しくなくても自分の状況に合わせて選ぶことができます。さらに、トヨタ独自の「Tプローブ交通情報」とVICSを組み合わせた高精度な渋滞情報を活用しているため、リアルタイムの交通状況に応じた最適なルート案内が可能です。
「Yahoo!カーナビ」や「movilink」にあってGoogleマップにない機能とは?
「Yahoo!カーナビ」「movilink」の特徴はやはり、「車に合った道を案内してくれる」という点。Googleマップは狭い道を案内されてしまうことがあるため、「Yahoo!カーナビ」「movilink」ではその点安心して運転することができます。
そのため「広い道路を優先したい」場合はやはり「Yahoo!カーナビ」「movilink」に優位性があるといえます。また、マップ上の自車位置を3Dのクルマや動物のアイコンで表示することもできます。
またmovilinkはTOYOTAアカウントとの連携機能があるため、Yahoo!カーナビとmovilink、どちらを選ぶべきか迷った場合、トヨタ車のオーナーの方であればmovilinkを選ぶのが無難でしょう。
結局、どのアプリが「カーナビ」として一番使いやすい?
結局、どのアプリが「カーナビ」として一番使いやすいかは、ユーザーの状況や優先事項によって異なります。知らない街の下道や高速道路を走る場合は、Yahoo!カーナビやmoviLinkがおすすめ。先述した通り、広い道路を優先したルート案内や詳細な案内表示、オービスの表示など、運転者の安全性と快適性を重視した機能が充実しているためです。
Yahoo!カーナビとmoviLinkで迷った場合は、トヨタ車のオーナーであれば車両との連携がスムーズなmoviLinkがいいでしょう。
一方、渋滞情報の精度を最も重視する場合は、Googleマップが優れています。Googleの膨大なデータ収集能力とリアルタイム更新により、最新かつ正確な交通情報を提供しています。
また、土地勘がある道で細かくマップを見たい場合も、Googleマップがおすすめ。膨大な情報量と詳細な地図表示により、周辺の施設や道路状況を細かく確認することができます。