車載カーナビは一般的に地図データの更新が有料かつ高額です。そして地図を更新しない場合は新たに整備された道などのナビが困難になります。つまり、地図データを更新しないカーナビは「ナビがあてにならない」リスクが生じてしまいます。
そのため車載カーナビではなく「マップアプリ」をカーナビ代わりに使うことを検討している方も多いのでは?マップアプリは地図データが自動更新されるうえ、無料もしくは極めて安い月額で利用できるケースが多いためです。
その中で選択肢となり得る代表的なナビアプリが「Googleマップ」と「ナビタイム」です。どちらも汎用的なマップアプリで、普段使いしている方も多く手になじむものでしょう。自動車のルートも検索可能です。
一方、たとえばナビタイムはカーナビに特化した「カーナビタイム」や「ドライブサポーター」を別アプリとして提供中。つまり「Googleマップ」「ナビタイム」はいずれもカーナビとしても使えるものの、特化アプリとは言えません。
どちらも優れた機能を持っていますが、カーナビとして使うにはそれぞれに特徴があり、使い方によって適している場面が異なります。本記事では、両者の違いや特徴を詳しく比較し、どのような人にどちらのアプリがおすすめなのかを解説していきます。
ナビタイムと「Googleマップ」の違いは?
「ナビタイム」と「Googleマップ」は先にも述べた通り、カーナビに特化しているわけではない汎用的なマップアプリです。
ではこの2つをカーナビとして使う場合、たとえばルート案内画面の見た目などはそれぞれどう違うのでしょうか? ルート検索、渋滞情報の精度などについて、それぞれの違いや特徴を解説します。
ルート案内画面の見た目の違い
まずナビタイムのルート案内画面は、駅名や地名が大きくはっきりと表示されており、ぱっと見でルートの全容が把握しやすいのが特徴。目印となる駅、地名など必要最低限の情報を文字で、その他インターチェンジや飲食店、施設などはアイコンで表示されています。画面がすっきりとし、分かりやすい表示となっています。
一方、Googleマップは、施設のアイコンや施設名の表示などが多く、ルート案内に不要な情報も多数表示されている印象。特に近年のGoogleマップは「口コミサービス」としての色合いも強く、周辺の飲食店などの表示が目立ちます。
汎用地図アプリとして多機能である分、ナビタイム以上に「カーナビに特化しているわけではない」印象がいっそう強いです。汎用マップアプリとしての2つを比較したうえで、どちらかをカーナビとして使うならば「見た目」で言えば不要な情報が少ないナビタイムの方が、筆者としては使いやすい印象です。
ルート検索
ナビタイムは経路を複数の組み合わせて表示してくれます。ルート検索を行うと「推奨」「距離優先」「有料優先」「一般優先」という4通りからのパターンを提案してくれるため、状況に合わせた最適なルートを選べます。
一方、Googleマップは「早さ」を優先して、交通状況を反映した最速ルートが表示されます。また「有料道路を使わない」「高速道路を使わない」などのオプションは、事前に選択のうえ、検索する必要があるため、複数のルートを比較して検討したい場合などは少々不便な部分もあるでしょう。このほか、ナビタイムとGoogleマップには「目的地周辺の詳細情報」にも違いがあります。
たとえば羽田空港を目的地に設定した場合、ナビタイムは「羽田空港の駐車場入口」を目的地に設定可能です。さらに空港のターミナル名、「北口」「南口」「バス乗り場」などの目印となる詳細情報まで確認できるため「その駐車場は利用するターミナルに最も近いか?」というような細かな確認を事前に行えます。
こうした細かな検索は、意外とGoogleマップでは難しいです。たとえばGoogleマップでは目的地を設定すると「駐車場ゲートの先」が目的地に設定されることがあります。空港など広大な敷地を目的地とすると、実際には駐車場ゲートだけでも複数存在していることがあります。そのため実際に目的地に着くと「周辺に到着してはいるものの、ゲートが分からない」と地味に迷うことがありそうです。
なおナビタイムとGoogleマップに共通する弱点は「市街地の細い道などを、確実に避けられるか」。まずGoogleマップはあくまで汎用マップアプリであるため、車幅などを意識したルート検索は行われません。そのため細い道に案内されるリスクは高めです。
そしてナビタイムは筆者が検証した限りでは「極めて細い道」が案内されることはなかったものの、こちらもあくまで汎用マップアプリです。「カーナビタイム」「ドライブサポーター」のような同社のカーナビ特化アプリとは違います。そのため「極めて細い道」を確実に避けたいならカーナビ特化のアプリを選ぶことをお勧めします。
渋滞情報の精度
同日の同じころの時間帯に、首都高速のそれぞれの渋滞状況を首都高公式の情報と比較しました。
結果、ナビタイムとGoogleマップは、多少の差異はあるものの、おおむね情報が一致しておりどちらも渋滞情報精度が高いと言えるでしょう。
そのため「渋滞情報を参考にする」目的でGoogleマップ、ナビタイムを使うならば「どちらも参考になる」と言えます。どちらも、渋滞情報を見ながらルートを検討すれば、渋滞を回避できる精度があると言えます。
ナビタイムの欠点は?
ルートの検索性能やマップの表示など複数の点を「Googleマップ」「ナビタイム」間で比較しました。筆者個人としてはマップの見た目や検索性などの点において「ナビタイム」の方がGoogleマップより使いやすいと感じています。
一方でユーザー目線で考えた際に、ナビタイムに欠点がないわけではありません。ナビタイムは、カーナビとして考えると無料で利用できる機能が限られているのがその理由です。
たとえば無料版には広告表示があるほか、音声案内は有料のみの機能です。コースは2つあり、プレミアムコースは月額330円、プレミアムプラスコースは月額880円となります。
同様にナビタイムの特長である、徒歩や電車、自動車、タクシーなど複数の移動手段を組み合わせ、ドアtoドアのルート検索が可能な「トータルナビ」機能も有料です。つまり駐車場までは自動車で移動し、そのあとは電車で移動といったナビタイムならではのルート検索は無料版では楽しめません。
もっとも有料機能の一部はPontaパス(旧auスマートパスプレミアム)会員向けには、無料で開放されています、上記の欠点はPontaパス会員の方にとっては気にならないものだとも言えるかもしれません。Ponta経済圏の方にとっては、やはり間違いなく快適に使えるアプリだと言えるでしょう。
ナビタイムの利用がおすすめの人
まず先にも述べた通り、Pontaパス会員の方にとってはナビタイムは非常におすすめのマップアプリです。Ponta経済圏の方で、なおかつ頻繁に車の運転をする人はルート検索のしやすさや、目的地の出入口を考慮したルート案内などの機能をフルに活用できるでしょう。
また無料版の範囲でもマップアプリとしての基本的な機能は使え、ルートの検索性やマップの見た目は十分に快適です。もっとも「車の運転はたまにしかしない」「Pontaパスに入っているわけでもない」という方は、完全無料で使えるGoogleマップで十分かもしれません。
Googleマップの利用がおすすめの人
先述の通り「車の運転はたまにしかしない」「Pontaパスに入っているわけでもない」という人には、無料のGoogleマップで十分でしょう。
またGoogleマップは、多機能であるため汎用性の高さを求める人にもおすすめです。単純なルート案内だけではなく、その地域の飲食店や施設などの周辺情報も調べたい、という方に最適です。基本的な機能は使いやすく、情報の精度は高いのも事実です。
細い道を案内されるリスクが高めであるなど、Googleマップをカーナビとして使うデメリットを事前に把握したうえで使用するならば役に立つ場面も少なくないでしょう。
※サムネイル画像は(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています