「『LINEカーナビ』がサービスを終了する」。そんな発表が世間の注目を集めている。LINEカーナビは2019年9月にスタートしたばかりの比較的新しいサービス。様々な技術を結集した渾身のサービスだったはずなのだが、2年足らずで終了させてしまうという。その理由はいったいなぜなのだろうか…。
今回は、このサービス終了に際して働いていたかもしれない、“社会の力学”について考えていきたい。
LINEカーナビ終了という悲報
コミュニケーションアプリ「LINE」の運営で知られるLINE株式会社は1月13日、同社の提供しているカーナビアプリ・LINEカーナビを、5月31日をもってサービス終了すると発表した。合わせて、アプリのダウンロードも4月30日で終了させるという。
LINEカーナビは、LINEのAIアシスタント「CLOVA」を搭載したアプリで、走行中でも目的地検索やLINEの送受信を行える「ながら運転防止」機能が特徴のカーナビアプリだ。また、トヨタ純正カーナビと同じナビエンジンを採用しており、リアルタイムの渋滞情報等も加味して走りやすい道を案内し正確な到着時刻も教えてくれる高性能ぶりを発揮していた。
そんな世界のトヨタとタッグを組んで満を持してリリースした虎の子のアプリが、わずか1年半で“終了”の判断に追い込まれてしまった理由は、気になってしまうのが人情というものではないだろうか。
不可解なLINEカーナビの終了を考えるにあたってまず考えるべきは、運営するLINEの置かれた状況だろう。LINEは2020年8月にヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合を発表している。LINEとヤフーが同じグループに入ることになるわけだ。
しかし現状、ヤフーも「Yahoo!カーナビ」というカーナビアプリを扱っている。LINEカーナビをサービス継続していた場合、1つのグループの中に2つのカーナビアプリのサービスが共存することになるのだ。開発にあたるマンパワーや業界内でのシェアが分散してしまうこと等を考えると、「グループ内で1つに絞ったほうが効率的」という考えに至ったとしても決しておかしな話ではない。つまり、LINEカーナビの終了は「経営統合する提供会社の都合」による部分があった可能性も考えられるのだ。
サービスの愛用者にとっては、慣れ親しんだアプリが“大人のパワーバランス”の影響で使えなくなるのは痛手かもしれない。だがもしLINEカーナビの開発ノウハウがYahoo!カーナビに影響を及ぼしたとしたら、両者のいいとこ取りのさらに便利なカーナビアプリへと進化する可能性も秘めている。今後の2つのカーナビアプリに要注目だ。
参照元:アプリ「LINEカーナビ」、5月でサービス終了【毎日新聞】