世界的企業・アップルに調査が入った。アップルの運営するアプリダウンロードサービス「App Store」の手数料の設定が「不公平だ」というアプリ開発者の声を受けて、イギリスの「競争・市場庁」が適正かどうかを判断する調査をはじめたという。世界中のスマートフォンシェアでiPhoneという一大勢力を築き上げているアップルだが、その支配的な態度はたびたび問題視されてきている。
今回は、アップルが調査対象とされてしまった経緯や、これから起こり得る未来について考えていきたい。
問題視されたApp Storeの手数料
現在、正規のiPhoneではApp Storeからしかアプリをダウンロードできない仕様となっており、また、App Storeではアップルの審査をクリアしてはじめてApp Store上にアプリが出品される。そのため以前から「独占的な地位にある」という批判や、その地位を利用して「アプリ販売の手数料を高く設定しすぎている」といった批判が巻き起こっていた。
その手数料は実に最高30%。この高い手数料設定によほど批判の圧力が高まってきていたのか、2020年11月には「一定の基準を満たした開発者のアプリに限り15%に引き下げる」というプレスリリースを発表していた。
そこに来て今回の“調査介入”報道だ。アップル側が心の底から「適正な設定だ」と思っている場合はともかく、少しでもやましい気持ちがあるとすればさらに手数料の割合引き下げが進むことになるのではないだろうか。
実は一部のiPhoneユーザーの間には“脱獄”と呼ばれる文化が存在する。製造元のアップルがiPhoneに施している制限を取り除き、App Store以外からのアプリのダウンロード等ができるようになる行為だ。
しかしアップルの意図していない使用法のため保証の対象外となり、さらには動作が不安定になったりセキュリティの危険性が高まるといったリスクが多く“便利になる”とは程遠いものなのだ。それでもそうした文化が根強く残ってしまっているのは、今回の手数料問題のようにアップルの縛りの強さに起因する部分も多少なりとも存在するのかもしれない。
調査に入った競争・市場庁がどのような判断を下すのかはまだ定かではないが、これを機にアップルも自身の態度を見直して今以上にユーザーフレンドリーな態度へと進化していくことができれば、さらにファンを増やすことにつながるだろう。アップルブランドの価値をさらに高めるためにも、いまこのときが分岐点となっていきそうだ。
参照元:英、アップルの手数料調査【KYODO】
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