スマートフォンゲームのダウンロード数がコロナ以前に比べて30%、課金額は40%増加していることが、アプリ分析会社のApp AnnieとIT関連調査会社のIDCの共同で発表したレポートにより判明した。PCゲームや据え置き型ゲーム機、携帯ゲーム機の各市場も成長しているものの、モバイルゲーム市場の成長率は他を圧倒しており、モバイルゲーム市場だけでゲーム市場全体の半分以上にあたる1,200億ドル(約13兆2,900万円)規模に達している。巣ごもり需要だというなら、他のゲームももっと伸びていてもよさそうなものだが、スマホゲームだけが顕著な理由は何なのだろうか。
モバイルゲームのダウンロード数は30%増、課金額は40%増
2021年のゲーム市場全体への消費者支出は、合計2,040億ドル(約22兆4,600億円)に上ると見込まれている。PCゲームは410億ドル、据え置き型ゲーム機は390億ドル、携帯ゲーム機は40億ドルで、多少の成長は見られるものの、ほぼ横ばい。それに比べてスマホゲームはコロナ禍以降も好調な成長を見せている。2021年第1四半期のダウンロード数は前年同時期に比べて30%増で10億ダウンロード以上となり、ゲームアプリへの課金額も40%の増加を見せた。これはPCゲームの2.9倍以上、据え置き型ゲーム機の3.1倍以上の支出であることが明らかになっており、スマホゲームにのめり込んでいるユーザーの姿が目に浮かぶようだ。
2021年には都市封鎖が解除され、スポーツなどゲーム以外のエンタメやレジャーが続々と解禁されるとみられることから、ゲーム業界には「モバイルゲーム市場の成長は止まるだろう」という見方をする人もいると、IT系ニュースサイトのVentureBeatが伝えているが、App Annieは「2021年を通してモバイルゲーム市場の収益は20%増加する」と強気な見解。「アフターコロナではゲーム市場の成長が多少鈍るかもしれないが、その兆候を示すデータは見当たらず、むしろゲーム市場が他のエンターテイメントとの直接的な競争力を高めている」と同社のセオドア・クランツCEOがコメントしている。
レポートでは、スマホゲームの成長を牽引したのはアメリカとヨーロッパであり、アジア太平洋は依然としてゲーム課金の約半分を占めていると伝えている。また、人気ゲームの特徴に注目してみると、アプリ、PC、コンソールなど複数のプラットフォームからアクセスできる「クロスプラットフォームプレイ対応」が主流になりつつあることがわかる。「リネージュM」、「ROBLOX」、「PUBG MOBILE」、「原神」などの人気ゲームは、マルチプラットフォーム展開が功を奏しており、長期的なエンゲージメントの持続・向上とマネタイズに必要不可欠な要素であることを示唆している。
アメリカでは先日、ネットフリックスがゲーム市場への参入を計画していると報じられたばかり。重課金やゲーム依存などの問題はあるものの、これまでの「ゲームは子どものもの」という認識が薄れつつあり、電車の中でスマホゲームに熱中する中高年の姿もよく見かける。1人1台のスマホが当たり前の時代に、スマホゲームが台頭するのは自然な流れなのかもしれない。読書や映画鑑賞のように、一般的な趣味のひとつとして認識される日もそう遠くないだろう。
参考元:スマホゲームのダウンロード数はコロナ以前から30%増加し課金額は40%増えた【GIGAZINE】