自宅のインターネットはどのくらいの速度が出ているだろうか? もし、光回線を導入したのに全然インターネットの速度が遅いと感じたら、まずは今使っているWi-Fiルーターを調べてみよう。もし、かなり古いWi-Fiルーターをずっと使っているなら、買い替えを検討したほうがいいかもしれない。もちろん、光回線が遅くなる原因はほかにもあるので、今回は光回線の速度が遅い原因と解決策を紹介しよう。
そもそも光回線ってどのくらいの速度が出るの?
最近はスマホでも高速な5Gが利用できるので、一人暮らしなら自宅にインターネットの固定回線を引いていない人もいるだろう。だが、一般的なマンションや一軒家なら光回線が導入されていることが多いはずだ。
そもそも光回線とは、光ファイバーを利用したインターネットサービスのことで、昔からある電話線などを使った「ADSL」よりも高速だ。そのADSLも、2023年~2024年にかけて次々とサービスが終了されることになっている。
光回線の速度は100Mbps~1G(1,000M)bps程度と高速だが、なかには2Gbpsや10Gbpsといった超高速なサービスも登場している。もちろんこれは理論値なので、実際にそんな速度が出るわけではない。1Gbpsの光回線の実測値はおそらく100Mbps~600Mbps程度であろう。
ただし、光回線を導入したマンションでも「VDSL方式」の場合は、マンションの入り口までは光回線だが各部屋には電話線を使うため最大速度は100Mbpsとなり、実測は30~80Mbps程度になる。
【1】Wi-Fiルーターの有線LANポートの規格を確認しよう
マンションの光回線でVDSL方式が採用されていると、部屋には電話回線のモジュラージャックしかないが、光配線方式の場合は自室に直接LAN端子が設置されている。
壁のLAN端子とWi-Fiルーターをケーブルで接続することで、スマホやパソコンがWi-Fiで接続することができるが、このWi-Fiルーターが古い機種だと、光回線本来の速度が出ないことがある。
Wi-Fiルーターの背面には、LAN端子とWi-Fiルーターをケーブルで接続するための「WAN(INTERNET)」ポートと、分配して複数のパソコンやTVなどとケーブルで接続できる「LAN」ポートの2種類がある。
だが、光回線を利用しているのに「WAN」ポートの対応速度が遅いと、ここがボトルネックとなって速度が上がらない。たとえば、10Gbps以上の光回線サービスを契約しているなら、WANポートも10Gbpsに対応している製品を利用する必要があるのだ。
実は、これはLANポート側も同じで、WANポートが10Gbpsに対応していてもLANポートの一部が1Gbpsだったりするので、接続前にしっかりと確認したい。
Wi-FiルーターではWi-Fi(無線LAN)の規格にも注意が必要だ。せっかく、高速な光回線を導入してもWi-Fiが古い規格にしか対応していない場合は、ここがボトルネックとなる。
Wi-Fiの規格についてはこちらで確認してほしいが、
最近では最大6.9GbpsのWi-Fi 5(11ac)や最大9.6GbpsのWi-Fi 6(11ax)などに対応する機種も増えている。
しかし、今使っているWi-Fiルーターが、11acや11axといった新しい規格に対応していないと、光回線の速度を活かせない。たとえば、光回線が1Gbps対応でもWi-Fiルーターの最大速度が300Mbpsだと、Wi-Fiの最大速度も300Mbps止まりとなる。
もちろん、Wi-Fiの規格はスマホやパソコンなどの端末側も対応している必要がある。スマホやパソコンが11acや11axに非対応なら、光回線を導入しても速度は以前と変わらないのだ。
また、Wi-Fiには「2.5GHz帯」と「5GHz帯」があるが、スマホやパソコンが遅いWi-Fi規格を使う周波数帯に接続していると、速度が速くならない。
基本的にSSIDは「〇〇-A」が5GHzで、「〇〇-G」は2.4GHzとなり、「〇〇-A」で接続したほうが高速になる。
Wi-Fiの周波数帯に関してはこちらで詳しく解説しているので確認してみてほしい。
【3】光回線が「IPv6」対応なのに速度が遅いのはWi-Fiルーターが非対応かも?
最近は「IPv6(アイピーブイシックス)」に対応する光回線サービス(プロバイダ)が増えている。「IPv6」とは「IP(インターネットプロトコル)の6番目」という意味で、“インターネットでデータをどのように送るかを定めた最新のルール”のこと。
IPv6接続を利用すると、従来のIPv4よりも速くなると言われているが、これはIPv6が、IPv4で使われていた「PPPoE」から「IPoE」という新しい接続方式を利用できるためだ。
分かりやすく言えば「PPPoE」が一般道だとすると、IPv6で利用できる「IPoE」は3車線の高速道路のようなものである。
しかし、光回線がIPv6に対応していても、Wi-Fiルーターやスイッチングハブなどが非対応だと「IPoE」では接続できず、速度は上がらない。もし、IPv6対応の光回線を契約するなら、Wi-FiルーターがIPv6に対応しているか確認したほうがいいだろう。
自宅の光回線がIPv6に対応しているか確認したければ、Windows 10の場合は、「スタート」から「設定」を開き、「ネットワークとインターネット」→「ネットワークの詳細設定」の「ハードウェアと接続のプロパティ」をクリックしよう。ここでIPv6のアドレスが表示されていればIPv6で接続されている。
【4】広い一軒家で速度が遅いときは「メッシュWi-Fi」の導入も検討しよう
一人暮らしのワンルールなら心配いらないが、広い一軒家では、どうしてもWi-Fiルーターから離れた場所でネットの速度が落ちてしまう。
このようなとき、以前はWi-Fiの電波を中継する中継器を使う方法もあったが、現在では「メッシュWi-Fi(Wi-Fi EasyMesh)」対応のWi-Fiルーターを使うことで、まんべんなく高速でWi-Fiに接続できる。
メッシュWi-Fiとは、複数Wi-Fiルーターを設置することで、互いに網目のような通信経路を構成するので、広い一軒家などにはおすすめだ。
もちろん、これを実現するには複数のメッシュWi-Fi対応Wi-Fiルーターを購入しなければならず、コストはかなりかかってしまうが……。
【5】マンション内の「ハブ」を交換することで速度がアップする場合も!
もし、アナタのマンションの光回線が1Gbps対応なのに、実測で30~80Mbps程度しか出ていないのであれば、自室に設置された「スイッチングハブ(以下ハブ)」に原因があるかもしれない。
少し前のマンションでは、当初100Mbpsだった光回線サービスが途中から1Gbpsにスピードアップされることがある。だが、自室のハブが1Gbpsに非対応のままだと、本来の速度が出ないのだ。
これはかなり稀なケースだとは思うが、自室のハブを1Gbps対応のものに交換することで、本来のスピードにアップできる場合もある。
もちろん、古いマンションで光回線が最大100Mbpsの「VDSL」方式なら、このように自室のハブを交換しても意味がないぞ。
実際に筆者が自室のハブを交換した方法はこちらで確認してみてほしい。
なお、複数のパソコンを使うオフィスでは、「スイッチングハブ」と呼ばれる分配機を使って有線LANケーブルを分配しているが、ハブが1Gbpsに対応していなかったり、IPv6に対応していないのが原因で、速度が遅い可能性もある。
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※サムネイル画像(Image:Amazonより引用)