自宅の「Wi-Fiルーター」購入時に商品パッケージのどこをチェックすればいいの?

自宅のWi-Fiルーターを新たに購入するとき、店頭でパッケージを見ても書いてある用語がさっぱり分からないという人は多いでしょう。スペックをろくに確認せずに購入すれば後悔するかもしれません……。もちろん、現在はネットで購入する人も多いですが、その場合でもWi-Fiルーターのスペックを確認することは重要です。そこで今回は、Wi-Fiルーターのパッケージに書かれている重要なスペックや用語について解説しましょう。

パッケージに書かれている用語が分からないと、どれを買っていいか判断できない!

自宅にWi-Fi(無線LAN)を導入したいときは、Wi-Fiルーターを購入して設置することになりますが、実際にショップに行ってみると、さまざまな機種が置いてあって悩んでしまうでしょう。

もちろん、予算があれば最新の高性能機種を買えば間違いないでしょうが、Wi-Fiルーターの価格には5,000円~3万円くらいの幅があります。

しかも、店頭でWi-Fiルーターのパッケージを見ても、書かれている用語が分からないので、何を基準に買っていいか分かりませんよね。これはネット通販で購入するときも同じです。

つまり、自分の条件に合ったコスパのよいWi-Fiルーターを購入するには、ある程度はパッケージに書かれている用語を知っておく必要があるのです。

●バッファロー「Wi-Fi(無線LAN) : AirStation」は→こちら

「WXR-6000AX12B」は、コンシューマー向けWi-Fiルーターでは定評のあるバッファローのフラッグシップモデル。高速Wi-Fi 6規格に対応した高性能モデルだが、価格はAmazonで3万3,000円以上する(画像はバッファロー公式サイトより転載)

こちらはバッファローのエントリーモデル「WSR-1500AX2S」。やはりWi-Fi 6に対応するが、価格はAmazonで6,000円以下とリーズナブルだ。いったいどこがそんなに違うのだろうか?(画像はバッファロー公式サイトより転載)

Wi-Fiルーターの商品パッケージはどこを確認すればいいの?

それでは実際にWi-Fiルーターのパッケージに何が書かれているのか確認してみましょう。

もちろん、最新Wi-Fi規格対応で、アンテナ数が多くて速度の速い機種がいいに決まっているのですが、性能が高いモデルはその分値段も高くなってしまいます。

たとえば、一軒家で家族全員がWi-Fiに接続するなら高性能モデルを買っておくべきでしょうが、ワンルームで一人しかWi-Fiに接続しないなら、安価なエントリーモデルで十分な場合もあります。

また、自宅の固定回線(光回線)の速度も重要です。最大100MbpsならWi-Fiもそれ以上の速度は出ません。最低でも固定回線が1000Mbps(1Gbps)以上の固定回線が来ていないと、高性能モデルは宝の持ち腐れになってしまいます。

そこで今回は、バッファローの高性能フラッグシップモデルと、リーズナブルなエントリーモデルの商品パッケージを実際に比較して、注目すべき用語について個別に解説します。

バッファロー「WXR-6000AX12B」のパッケージ。フラッグシップだけに高級感漂うパッケージだが、どこを確認すればいいのだろうか?(画像はバッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

バッファロー「WSR-1500AX2S」のパッケージ。エントリーモデルなのでパッケージにも「手軽にはじめる」といった文言があるが……(画像はバッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

【POINT 1】最新のWi-Fi規格に対応しているか?

まず、注目すべきはWi-Fiの規格です。そもそも無線LANの規格は米国電気電子学会の「IEEE 802.11」という国際規格で定められています。

しかし、初期の無線LANは同じ規格なのにメーカーや製品によって接続できないことがありました。そこで、互換性を保証するために「Wi-Fi Alliance」という団体が設立され、認証を受けた機器には「Wi-Fi」マークを表示することになっています。

Wi-Fi規格は数種類ありますが、現在の規格は下の表のようになっており、2022年には「Wi-Fi 6」を発展させた最新規格「Wi-Fi 6E」も登場しています。詳しくはこちらの記事で確認してください。

とはいえ、「Wi-Fi 6E」はできたばかりの新規格なので、現状ではスマホやパソコン側が対応していないことも多いので、そこまでは必要はないでしょう。とりあえず、現状では「Wi-Fi 6」に対応していれば問題ありません。

愛称 IEEE規格 周波数帯 最大速度
Wi-Fi 4 2009年 IEEE 802.11n 2.4/5GHz 600Mbps
Wi-FI 5 2013年 IEEE 802.11ac 5GHz 6.93Gbps
WI-Fi 6 2019年 IEEE 802.11ax 2.4/5GHz 9.6Gbps
Wi-Fi 6E 2022年 IEEE 802.11ax 2.4/5/6GHz 9.6Gbps

最新規格は「11ax」で、その愛称は「Wi-Fi 6」と呼ばれている。ただし、そのWi-Fi 6を拡張した「Wi-Fi 6E」も登場しており、新たに6GHz帯が利用できるようになっている(表は筆者が独自に作成)

【POINT 2】アンテナの数は何本あるか?

高性能モデルはアンテナの数が多く、WXR-6000AX12Bでは5GHz帯が8本、2.4GHz帯が4本なのに対し、WSR-1500AX2Sでは5GHz帯が2本、2.4GHz帯が2本しかありません。

アンテナが多いと、Wi-Fiの速度を速くできるほか、同時接続できるデバイスの数も多くなるので、大きな家で大勢が利用するなら必ず確認しておきたいポイントです。

WXR-6000AX12Bはアンテナが合計12本もあるのに対し、WSR-1500AX2Sは計4本しかない。アンテナ数が多いほうが最大速度も速くなるのでチェックしておきたい(画像はバッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

【POINT 3】最高速度はどのくらいあればいい?

Wi-Fiルーターのアンテナ数が多いとWi-Fiの速度は上がりますが、高性能モデルのWXR-6000AX12Bでは最大5GHz帯で最大4,803Mbps、2.4GHz帯で573Mbpsとなっています。

これに対しWSR-1500AX2Sでは5GHz帯が最大1,201Mbpsで、2.4GHz帯は最大300Mbpsまでです。

しかし、自宅の固定回線(光回線)が100Mbpsなら、Wi-Fiもそれ以上の速度は出ませんので、少なくとも自宅の固定回線が1,000Mbps(1Gbps)以上でないなら、高性能機を買ってオーバースペックになります。

よく分からない人は、とりあえず2,042Mbps程度のミドルレンジモデルが狙い目になるでしょう。

Wi-Fiルーターの最高速度は価格に比例する。自宅の固定回線の速度によっては4,803Mbpsはオーバースペックかもしれないし、1,201Mbpsではロースペックかもしれない……(画像はバッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

【POINT 4】IEEE規格は「11ax」対応なのかを確認しよう!

無線LANの規格は米国電気電子学会(IEEE)で制定されていますが、現在発売されている機種なら、ほとんどが最新規格の「11ax」に対応していますので、さほど気にする必要はありません。

パッケージに「Wi-Fi 6」とあれば「11ax」に対応しているということです。

もしかすると、在庫処分で古い機種が安く売られているかもしれませんが、少し安いからと言って、わざわざWi-Fi 6に非対応の機種を買うこともないでしょう。

WXR-6000AX12BもWSR-1500AX2Sもどちらも11axに対応しているので、IEEE規格については両者どちらを選んでも問題はない(画像はバッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

【POINT 5】有線LANの速度も確認しておこう!

Wi-Fiルーターには有線LANのハブ(分配)機能もあります。パソコンやテレビなどに有線LANケーブルをつなぐこともあるので、有線LAN端子がどのくらいの速度に対応しているかは重要になります。

最近は10Gbps対応の固定回線サービスもありますが、現状では、ほとんどの家庭は100Mbps~1000Mbps(1Gbps)程度ですので、現状では10Gbpsにまで対応している必要はありません。

たとえば、WXR-6000AX12Bは10Gbpsに対応していますが、WSR-1500AX2Sでも1Gbpsまで対応していますので、多くの家庭では、有線LANについてはWSR-1500AX2Sで十分ということになります。

画面左のWSR-1500AX2Sの有線LANの速度は1Gbpsまでだが、画面右のWXR-6000AX12Bは10Gbpsまで対応する。自宅の有線LANが1Gbps以上の高速回線ならチェックしたほうがいい(画像はバッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

【POINT 6】大きな家でまんべんなく電波が届く「Wi-Fi EasyMesh」とは?

「Wi-Fi EasyMesh」とは、Wi-Fi電波が届きにくい大きな一軒家などで有効な機能です。

具体的には、Wi-Fiルーターの親機と中継機同士が互いに通信しあい、網目(メッシュ)状にネットワークを構築する仕組みです。

まさに網目状にネットワークを広げられるため、隅々まで快適なWi-Fiを構築できます。詳しくはバッファローの公式サイトでご確認ください。

●バッファロー「手軽に家じゅう快適インターネット!「Wi-Fi EasyMesh」(イージーメッシュ)」は→こちら

ちなみに、WSR-1500AX2Sの商品パッケージには「メッシュネットワーク」対応の記載がありませんでしたが、後日アップデートで対応することができるようになります。

大きな家ではどうしてもWi-Fiルーターから離れた部屋で電波が減衰してしまう。そのため、中継器を利用して隅々まで電波を安定して届ける技術が「Wi-Fi EasyMesh」なのだ(画像はバッファロー公式サイトより転載)

【POINT 7】IPv6対応なら速度向上が見込める!

かつてインターネットの通信方式は「IPv4」が主流でしたが、現在は「IPv6」に置き換わっています。

IPv6を利用すると、従来のIPv4よりも速くなると言われていますが、これはIPv6がIPv4で使われていた「PPPoE」から「IPoE」という新しい接続方式を利用できるため。

たとえば「PPPoE」が一般道だとすると、IPv6で利用できる「IPoE」は3車線の高速道路のようなものです。したがって、Wi-FiルーターもIPv6対応のものにしておかないと、光回線がIPv6対応でもネットの速度は上がりません。

もちろん、現在発売されているWi-Fiルーターなら、まずIPv6には対応しているので、念のために確認しておく程度でいいでしょう。もし、IPv6について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

いかがでしょうか? Wi-Fiに関する用語はローマ字やカタカナが多くて面倒でしょうが、一度覚えてしまうと、Wi-Fiルーターを新調したり買い替えるときに、きっと役に立つことでしょう。

もちろん、Wi-Fiに関するちょっとしたトラブルにもある程度は対応できるようになりますので、是非、がんばって覚えておきましょう。

なお、文中に登場した2.4GHz帯と5GHz帯については、こちらの記事で詳しく解説していますので、興味のある方は確認してみてください。

※サムネイル画像(Image:バッファロー公式サイトから引用し筆者が加工)

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

関連記事

TOPICS
スキル・ビジネス最新記事

RANKINGランキング

18:00更新