パソコンやスマホなどのデジタル機器で多用されているUSBコネクタ。しかし、USBの規格は「1.1」「2.0」「3.0」「3.1」「3.2」など、見た目がほとんど同じなのに転送速度や給電能力が大きく異なっています。そこでUSBの仕様を策定する団体「USB-IF」は、今後のUSB規格の表示をさらに分かりやすいものに変更すると発表しました。これで今よりもっとUSBが分かりやすくなるかも!?
とにかく分かりにくいUSB規格の変遷とは?
パソコンの外部機器を接続したりスマホを充電するときなど、さまざまな場面で広く利用されているUSBコネクタ。皆さんも毎日のように使っていることでしょう。
そもそもUSBとは「Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略で、汎用性が高くデータの転送や電源の供給を行うことができるのが便利です。
USBは1996年バージョン「1.0」が策定されましたが1998年には「1.1」が登場。2000年には今でも使われている最大480Mbpsの「2.0」に発展しました。
その後2008年には、最大5Gbpsの「3.0」が登場し、さらに2013年には最大10Gbpsの「USB 3.1」へ、2017年には「USB 3.2」へと進化して転送速度は20Gbpsに達しています。
しかし、USBコネクタの形状はずっと「Type-A」のままで、USB 3.0から内部の色が青になったくらい。つまり、見た目では転送速度や給電能力などは判断しにくくなっていました。
そして、2019年には最大40Gbpsとなる「USB4」が策定され、さらに2022年には最大80GbpsのVersion.2.0も控えています。ちなみに、USBコネクタの形状はUSB4でType-C形状に統一されることになりました。
そこで、USBの仕様を策定する団体「USB-IF(USB Implementers Forum)」は、2022年9月末にUSB PD 3.1に準拠したUSB Type-Cのロゴ認証を発表し、USB4の表記ガイドラインの改訂を発表したのです。
年 | 規格 | 転送速度 | 電力供給 |
1996年 | USB 1.0 | 最大12Mbps | 5V/500mA(2.5w) |
1998年 | USB 1.1 | 最大12Mbps | 5V/500mA(2.5w) |
2000年 | USB 2.0 | 最大480Mbps | 5V/500mA(2.5w) |
2008年 | USB 3.0(3.2 Gen1) | 最大5Gbps | 5V/900mA(4.5w) |
2013年 | USB 3.1(3.2 Gen2) | 最大10Gbps | 5V3A(15W) |
2017年 | USB 3.2(3.2 Gen2×2) | 最大20Gbps | 5V3A(15W) |
2019年 | USB4(Ver.1) | 最大40Gbps | 20V/5A(100W) |
2022年 | USB4(Ver.2) | 最大80Gbps | 不明 |
※USB4ではコネクタ形状がType-Cに統一される
1996年に登場したUSBは年々進化している。表にすると分かりやすいが、USB 3.0以降はどんどん規格が変化して呼び方まで複数あるのが分かりにくい。なお、最新規格は「USB4」となっている(表は筆者が作成)
USB-IFは、2022年9月30日に60W/240Wの電源供給が可能な「USB PD 3.1」に準拠したUSB Type-Cのロゴ認証プログラムを公表しました。
USB-IFでは、すでに転送速度が最大80Gbpsの「USB4 Version 2.0」も発表していますが、今後はこの名称は使わずに、転送速度や給電性能を表記する新たなロゴを使うようです。
確かに「USB 3.1 Gen 2」や「USB 3.2 Gen 2×2」、「USB4 Version 2.0」などと表記されても、直感的に違いが把握できないので、新ロゴのような転送速度表記があったほうが、ずっと分かりやすいはずです。
■USBの新ロゴ表記の内容
「USB 5Gbps」 ……USB 3.2 Gen1、USB 3.1 Gen1、USB 3.0
「USB 10Gbps」 ……USB 3.2 Gen2/USB 3.1 Gen2/USB 3.1
「USB 20Gbps」…… USB 3.2 Gen2x2/USB 3.2
「USB 40Gbps」……USB4 Version 1.0
なお、今回の発表では、転送速度が80Gbpsの「USB4 Version 2.0」については言及されていませんが、おそらく「USB 80Gbps」というロゴ表記になるでしょう。
また、USB 3.0以前の古い規格「USB 1.1」や「USB 2.0」については、今さら感があるのか、とくに新ロゴ表記は発表されていません。
●USB-IFは→こちら(英語)
●USB PerFormance Logo Usage Guidlinesは→こちら(PDF)
まとめ
いかがでしょうか? 長年使われて来た便利なUSBコネクタですが、とくにUSB 3.0以降の変遷は、パソコンに少し詳しい人でも正確に答えられない状況でした。
しかし、コネクタがUSB Type-Cに統一される新規格「USB4」が普及するタイミングで、このようなロゴ表記に変更されるのはありがたいことでしょう。
今後は、今よりずっとUSBコネクタの転送速度や給電性能を把握しやすくなりますね!
※サムネイル画像(Image:usb.org)