インターネットを使うとき、自分が使っている端末や接続している場所などの情報は、接続先のサーバーなどに筒抜けになっている。普段使っている分には問題ないとしても、怪しいサイトにアクセスする場合は不安なもの。そのようなシーンにおすすめなのが「Torブラウザ」だ。匿名性を高められるので、より安全に利用できる。
そもそも「Tor」って何?
通常、インターネットでウェブにアクセスしたりメールを送信したりすると、自分が利用している端末やアプリ名、アクセス元のIPアドレスといった情報がサーバーに保存される。この情報を元に誰がアクセスしたとか、メールを送信したとかが特定できてしまうので、プライバシー侵害の危険を感じる人もいるだろう。このような情報を残さないように匿名で通信できるのが「Tor(トーア)」というネットワーク技術だ。
Torは、通信する際に目的のサイトまでの経路に複数の中継地点を追加している。通信時に多くの中継地点をリレーし、その中継地点は暗号化され記録も残されない。そのため、発信源が不明になり、目的のサイトを匿名でアクセスできる。このTorを利用するブラウザーが「Torブラウザー」と呼ばれるもの。特に複雑な設定などは不要で、匿名でアクセスが可能だ。
Torというと、「ヤバイもの」という印象を受ける人もいるだろう。これは、匿名性の高さから犯罪やアングラな情報交換などに利用される「ダークウェブ」へのアクセスに使われることが多いためだ。しかし、犯罪や悪意を持った使い方をしなければ、ただのブラウザーなので特に心配する必要はない。「信頼できないけど、どうしても見たいサイトを閲覧するときに使う」といったように、シーンに応じて利用すればネットはもっと安全になる。
iPhoneなら「Onion Browser」を使う
iPhone/iPad向けのTorブラウザーが「Onion Browser」だ。アプリを起動すると、自動的にTorに接続。他のブラウザーと同じように利用できる。
他のブラウザーと大きく違うのがデフォルトの検索サイト。これは「DuckDuckGo」というものが設定されている。あまり馴染みのない人も多いと思うが、これはユーザーの個人情報や検索履歴を絶対に保存しないことを謳っているプライバシー保護型の検索エンジン。検索サイトとしての使い方はGoogleなどと変わらないので、不便がなければそのままでも問題ないだろう。
Androidなら「Tor Browser」を使う
Android向けのTorブラウザーが「Onion Browser」だ。こちらも。アプリを起動してTorに接続すれば、すぐに利用が可能だ。Tor Browserは「Firefox」をベースにして作られているので、Firefoxと使い勝手はほぼ一緒。Firefoxを使ったことがある人なら迷うことはないだろう。
Googleが検索エンジンとして初期設定されているが、Torに接続している場合は検索ができない。そのため、はじめて使うときは別の検索エンジンに変更してから利用しよう。
Torブラウザーの弱点は速度。Torは複数のサーバーをリレーするため、どうしてもページの表示速度が遅くなってしまう。とはいえ、プライバシーを保護できるのは何にも変えられないメリットだ。ネットも自分の身は自分で守る時代。シーンに応じて使い分けるといいだろう。