Macを購入する上でメモリ容量を確認することは非常に重要です。メモリが足らないとPCの動作が重くなったり、アプリやファイルが開けなくなったりするからです。Mac購入後に足らないメモリを増設できるのかどうかご存じでしょうか。
MacBook Pro/MacBook Airでメモリの増設が可能かどうかを検証します。
【MacBookPro/MacBookAir】メモリ増設はできる?
MacBook ProやMacBook Airは非常に人気のあるノートパソコンですが、Windowsのパソコンに比べ値段が高いというデメリットがあります。最も安いMacBook Air M1でも134,800円します。
Macで最も安いMacBook Airモデルのスペックは、M1 8コアCPU、8GBメモリですが、たいへん高性能です。
動画の視聴やメールのやり取り、またWeb検索を主な目的にMacを使っているなら、MacBook Air M1のスペックはその能力のほとんどを発揮できないといわれるほどです。
普通の画質の動画編集でも最安値のMacBook Air M1のスペックがあれば十分すぎるといわれています。問題は4Kといった高画質動画の編集です。動画編集ができないことはありませんが、快適な作業とはほど遠いものです。
そのためMacBook Air M1で足りないメモリを増設して、4Kの高画質動画の編集などを行えたら非常に便利ですが、一般的にAppleシリコンのAppleデバイスはメモリの増設ができないといわれています。
この記事ではMacのノートパソコンであるMacBook ProとMacBook Airでメモリの増設ができるのか、できないのか、できるなら費用はどれほどかかるのか、どのような方法でメモリの増設を行うのか、といった点を解説していきます。
・2012年以前のMacBook Proは可能
MacBook ProやMacBook Airのメモリを自分で増設できるかできないかは、どのモデルのMacノートパソコンを持っているかによって決まります。結論からいうと、2012年以前のMacBook Proの機種であればメモリの増設を自分で行えます。
・2012年モデル以降のMacBook Pro/MacBook Airはできないといわれている
一般的に2012年以降のMacBook ProやMacBook Airは、メモリの増設ができないといわれています。その理由として挙げられるのが、メモリが基板直付けであるため、メモリを外して増設できないことです。
メモリが基板直付けされているとは、メモリがMacの基板にハンダ付けされているということです。Windowsのパソコンは、マザーボードのスロットにメモリを差し込むように設計されているので、メモリの交換や増設を簡単に行えます。
しかしMacBook ProやMacBook Airは、本体をよりスリムでスタイリッシュにするため、メモリを差し込む本来のスタイルを捨て、基板にハンダ付けするようになりました。
ーできなくないけどおすすめはできない
ここで疑問に感じるのは、基板にハンダ付けされたメモリをはがして新しいメモリに変更したり、メモリの増設をしたりすることは技術的にできる作業なのかどうかということですが、技術的にできないわけではありません。
しかしMacの基板にハンダ付けされたメモリを、メモリと基板を傷めずに増設する作業はかなり難しく、100%確実に作業できると保証する業者はほとんどないため、一般的にはできないといわれています。
ちなみにMacBook ProやMacBook Airの基板にハンダ付けされているメモリの増設がどれほど難しいかというと、iPhoneのバッテリー交換の1000倍難しい作業だと言われています。
・メモリ増設できる機種とできない機種
ここまで紹介したように、MacのノートパソコンであるMacBook ProとMacBook Airのメモリを増設できるかできないかは、持っているMacBookの年代と機種によって決まります。
そのため、最近MacBook ProやMacBook Airを購入した人は、メモリの増設ができないということです。また、2012年以前に販売されたMacBook Proの機種すべてが、メモリの増設に対応しているわけではありません。対応していない機種もあります。
以下に2012年以前に販売されたMacBook Proで、メモリ増設ができる機種を表にしてまとめたので参考にしてください。
サイズ | 機種 |
13インチ | MacBook Pro (13-inch, Mid 2012) MacBook Pro (13-inch, Late 2011) MacBook Pro (13-inch, Early 2011) MacBook Pro (13-inch, Mid 2010) MacBook Pro (13-inch, Mid 2009) |
15インチ | MacBook Pro (15-inch, Mid 2012) MacBook Pro (15-inch, Late 2011) MacBook Pro (15-inch, Early 2011) MacBook Pro (15-inch, Mid 2010) MacBook Pro (15-inch, 2.53GHz, Mid 2009) MacBook Pro (15-inch, Late 2009) MacBook Pro (15-inch, Mid 2008) MacBook Pro (15-inch, Early 2008) and earlier |
17インチ | MacBook Pro (17-inch, Late 2011) MacBook Pro (17-inch, Early 2011) MacBook Pro (17-inch, Mid 2011) MacBook Pro (17-inch, Mid 2011) MacBook Pro (17-inch, Early 2011) MacBook Pro (17-inch, Late 2011) and earlier |
・料金は?
自分の持っているMacBookが上記のリストに載せられている機種のどれかに該当するならメモリの増設ができるので、自分でメモリの増設を行うことも、修理業者に依頼して作業を行うことも可能です。
気になるのはメモリ増設にかかる料金ですが、2012年以前のMacBook Proの機種に使用されているメモリは古いので、8GBのメモリでも5,000円ほどで購入できます。
業者に依頼する場合は別途工賃がかかりますが、一般的には数千円で引き受けてくれます。ですからトータルで10,000円から15,000円くらいの料金でメモリの増設が行える計算になります。
2012年以降のMacBook ProやMacBook Airの機種の場合、メモリの増設にかかる料金はかなり高額になります。作業は修理業者に依頼して行う必要がありますが、最低でも60,000円はかかります。
MacBookの基板を交換しなければならない場合は、料金はさらに高くなり、100,000円以上になることもあります。
【MacBookPro/MacBookAir】メモリ増設する方法
ここまで、MacBook ProとMacBook Airのメモリ増設ができるかできないかは、持っているMacBookの年代と機種によること、また2012年以降に販売されたMacBookでメモリ増設はできるものの料金が高く、現実的ではないことを紹介しました。
ここからはMacBook ProとMacBook Airでメモリを増設する方法を紹介します。ここで紹介する方法は、現時点で考えられる方法です。
【方法①】購入時にメモリ増設オプションを選択
最初に紹介するメモリ増設の方法は、これからMacBook ProやMacBook Airの購入を考えている人や、古いMacBookを手放して新しいMcBook ProやMacBook Airに機種変更することを考えている人におすすめする方法です。
MacBook ProやMacBook Air購入後にメモリ増設をするのは現実的な方法ではないので、購入の際にメモリ増設オプションを選択する方法をおすすめします。
メモリ増設オプションは、購入するMacBookの機種によって変わります。
MacBook Air M1で提供されているメモリ増設オプションは2022年12月時点で2つあります。以下にメモリ増設オプションと加算料金をまとめたので参考にしてください。
メモリのオプション | 加算料金 |
8GB | 標準 |
16GB | +28,000円 |
MacBook Air M2で提供されているメモリ増設オプションは2022年12月時点で3つあります。以下にメモリ増設オプションと加算料金をまとめたので参考にしてください。
メモリのオプション | 加算料金 |
8GB | 標準 |
16GB | +28,000円 |
24GB | +56,000円 |
MacBook Proで提供されているメモリ増設オプションは2022年12月時点で5つあります。以下にメモリ増設オプションと加算料金をまとめたので参考にしてください。
注意してほしいのは、13inch、14inch、16inchでメモリオプションも加算料金も異なることです。
メモリのオプション | 加算料金 |
8GB(13inch) | 標準 |
16GB(13inch、14inch) | +28,000円(14inchは標準) |
24GB(13inch) | +56,000円 |
32GB(14inch、16inch) | +56,000円(16inchは標準) |
64GB(14inch、16inch) | +56,000円(16inch) +112,000円(14inch) |
【方法②】業者に頼んでメモリ増設
メモリを増設する2番目の方法は、専門業者や修理業者に依頼してメモリ増設をやってもらうことです。この記事ですでに紹介しましたが、2012年以降のMacBookの機種でメモリ増設をするのはかなりの技術が必要になります。
また100%の確実性も保証されていません。ですから専門業者に依頼して高額な料金を払っても、期待する結果が得られない場合もあるので注意しましょう。2012年以前のMacBookの機種でメモリ増設する作業は、業者であれば簡単に行えます。
費用も比較的安価なので、自分でメモリ増設をするのが不安なら、1つのオプションとして考えることができます。
【方法③】2012年以前のMacBook Proのメモリ増設方法
メモリを増設する3番目の方法は、自分で行うことです。以下にメモリを増設する方法と手順をまとめたので参考にしてください。
1.システムを終了して10分ほど待つ
2.星型ドライバを使ってMacBook Proの下部のケースを外す
3.メモリの取付箇所を確認する
4.メモリの両側にセットされたレバーを押し出す
5.出てきたメモリをスロットから外す
6.もう1枚のメモリを同じ手順でスロットから外す
7.購入したメモリの切り込みとスロットの突起が合うように斜めからメモリを差し込み、カチっという音が鳴るまで押し込む
8.もう一枚のメモリも同じ方法ではめ込む
9.ケースを取り付けたら、「Appleロゴ」の「このMacについて」を開きメモリ容量や使用状況を確認する
【MacBookPro/MacBookAir】メモリ増設する際の注意点
メモリを増設すれば、MacBookの処理スピードはさらに上がり、動画編集の際に感じるイライラを解消できます。
新しいMacBook ProやMacBook Airを購入する際に、メモリオプションを選んで増設する場合は問題ありませんが、それ以外の方法でメモリを増設するなら、覚えておくべき大切な注意点があります。
これから5つの注意点を紹介しますが、今後もAppleのサービスを受けながらMacBookを楽しむために覚えておくべき大切なものなので、それそれの注意点にぜひ留意してください。
購入時にメモリ増設可能な機器か確認
最初に紹介する注意点は、メモリを購入する前に使っているMacBook Proがメモリ増設可能な機種かどうかを確認することです。
この記事ですでに紹介しましたが、2012年以前に販売されたMacBook Proであればどれでもメモリの増設ができるわけではありません。
この記事で紹介したリストに載せられていないMacBook Proではメモリ増設ができないので、メモリを購入する前に必ずリストを確認してください。ちなみにMacBook Airはメモリ増設を行えないので覚えておきましょう。
機種に対応しているメモリを用意
2番目の注意点は、MacBook Proの機種に対応しているメモリを購入したかどうかを確認することです。2012年以前に販売されたMacBook Proでリストに載せられている機種であればメモリの増設は可能です。
しかしどんなメモリでも増設できるわけではありません。MacBook Proの機種ごとにメモリの仕様や認識可能な最大メモリは異なるからです。
対応していないメモリを増設すると処理スピードが速くなるどころか、Macがメモリを認識できないため、処理速度は遅くなります。下記のリンクにアクセスし、対応するメモリを確認してから購入してください。
● Apple「MacBook Pro:メモリの取り外し方法と取り付け方法」は→こちら
端末にトラブルが起こる場合がある
3番目の注意点は、メモリを増設した結果MacBook Pro本体の調子が悪くなる場合があることです。考えられる原因は2つあります。購入したメモリに初期不良があることと、購入したメモリがMacBook Proの型番と合っていないことの2つです。
購入したメモリに初期不良があるなら、商品の交換に応じてもらえますが、注意点はレシートを捨てずに持っていることです。型番が違うメモリを購入した場合も同じ注意点が適用されます。
レシートがなければ商品の交換に応じてくれないので、レシートは捨てずに取っておきましょう。
Appleの保証からは外れる
4番目の注意点は、メモリの増設を自分で行った結果、MacBook Proの調子が悪くなった場合、Appleの保証対象外になってしまうため、Appleのサービスを受けられなくなってしまうことです。
Appleは「AppleCare+for Mac」という有料サービスを提供しています。年間10,400円〜18,800円支払えば、保証とサポートを延長できます。
このサービスは自然故障だけでなく、事故による故障や破損にも適用できるので大変便利なサービスですが、注意点があります。
「AppleCare+for Mac」は、不正改造、非正規パーツ(メモリ、SSD)使用、壊滅的なダメージなどは保証対象外としています。メモリの増設は非正規パーツ仕様に該当するため、Appleの保証を受けられません。
「AppleCare+for Mac」に加入しているなら、保証内容をぜひ確認してください。
メモリを購入する際は保証の有無や期間を確認
5番目の注意点は、メモリの購入時に保証の有無や保証期間を確認することです。メモリに保証期間の記載がないものには注意が必要です。
安いからといって保証期間が明確ではないメモリを購入すると、増設した後にトラブルに見舞われる可能性が高くなります。
メモリの増設を自分でやること事態にリスクが伴うので、増設するメモリが信頼できないものならリスクはさらに高まります。ここまで紹介した5つの注意点に留意して、メモリの増設を行ってください。