Torrentとは、大容量のデータを送受信するために使用されるファイル共有技術のこと。中央サーバーを設けないP2P方式により、ユーザー同士で直接ファイルを送受信可能。
Torrentではファイルを小さな断片に分割。ユーザーは複数のソースからこれらの断片をダウンロードし、ファイルを復元します。よってファイル配布後、そのファイルをダウンロードした人がいれば、ファイル配布者がデータを削除したとしても、ファイルのダウンロード者の間で断片を共有することが可能。

BitTorrentでは、ファイル配布者を「シーダー」、ダウンロード中のユーザーを「リーチャー」と呼びます。リーチャーはそれぞれダウンロードして手元でファイルを復元します。シーダーが「ラーメン」を配布したらお皿、麺、卵などに分割し、リーチャーのもとでそれらが再度組み合わさって「ラーメン」になるようなものです。なおダウンロードし終えたリーチャーは接続を切らないままでいるとシーダーとなり、リーチャーにファイルの断片を配布するだけの役割が課せられます
●「BitTorrent」HPは→こちら
なお、Torrentそのものは決して違法な方法ではありませんが、違法なファイル共有にもしばしば利用されるのが現状。そのため、利用者は責任を持って著作権で保護されたファイルのみをダウンロードすることが重要です。
この記事では、Torrentの仕組みや実際の使い方についてご紹介します。
Torrentとは | P2Pでユーザー同士でファイルをダウンロード/アップロードする仕組み
先述した通り、TorrentとはP2P方式を使い、ユーザー同士で直接ファイルをやり取りする仕組みになっています。先述した通り、ひとつのサーバーを介すのではなく、ダウンロードする人自身が協力者となり、ダウンロードと同時にアップロードが行われます。
Torrentの危険性
「Torrentは危険」というイメージを抱かれている原因のひとつは、P2PではTorrent接続中、同じファイルを共有しているユーザーにIPアドレスが表示されてしまうこと。つまり、ブラウジング履歴や地域、OSやプロバイダなどの個人情報が流出してしまう危険があります。

IPアドレスの流出は個人情報がさらされるリスクのほか、悪意ある第三者に乗っ取られてサイバー犯罪に利用されるという危険性も。こうしたリスクを防ぐためには、VPN接続でIPアドレスを秘匿化する必要があります
また、他にも知らずに違法なコンテンツのダウンロード/アップロードに関与してしまう可能性や、ウイルスを含むコンテンツをダウンロード/アップロードしてしまうという危険性もあります。
Torrentを安全に使うためには | VPN接続でIPアドレスを秘匿化
Torrentを安全に使うためには、VPN接続でIPアドレスを秘匿化する必要があります。
VPNとは「仮想のプライベートネットワーク」によって、安全な接続を提供する技術のことです。

VPNサーバーを介することで、通信元のIPアドレスを秘匿化が可能。VPN接続により、通信元のIPアドレスはVPNサーバーのIPアドレスになります。このため、通信相手側から見たとき、通信元はVPNサーバーのIPアドレスとなり、接続者のPCのIPアドレスは隠されます。相手に自分の個人情報が渡らない状態が実現できます
そのため、安全のためにもTorrent利用時はVPNが必須と言えるでしょう。

なお日本で無料で使えるVPNサーバーとして有名なのは、筑波大学が提供している「VPN Gate」。初回のみ、PCの場合はOpenVPNソフトウェア、スマホの場合はアプリをインストールし、中継サーバーに接続するためのファイルをダウンロードすれば、VPN接続が可能。もちろん国も選べます
●「VPN Gate」HPは→こちら
torrentの使い方 | BitTorrentのダウンロード~利用開始手順を例に解説
BitTorrentをダウンロードし、Torrentを使う方法をご紹介します。なお、筆者はWindows PCを使用しています。
まずはBitTorrent公式サイトにアクセスします。

【2】「BASIC」の②「今すぐダウンロード」をクリックし、ダウンロードが終わったらファイルを開きます。ちなみにこのとき「PRO+VPN」を使うとはじめからVPNが付いたバージョンのBitTorrentを使えます
Torrentファイルのダウンロードは以下の手順で行います。
なお、Torrentファイルは著作権法違反をしているファイルも多いので、注意が必要。パブリックドメインの映画を扱っている「Public Domain Torrents」や、「Internet Archive」などを利用しましょう。
日本でおすすめのTorrentクライアント3選
先にご紹介した「BitTorrent」はいわゆる「Torrentクライアント」の1つです。他にもさまざまなクライアントソフトがリリースされています。おすすめのTorrentクライアント3選をご紹介します。
BitTorrent
まず筆者がもっともおすすめするのは、本記事で使い方を紹介したBitTorrent。

BitTorrentは無料でも使える上、ダウンロード中もPCの動作が重くなることはありません。最大手のTorrentクライアントのためサポートが継続的に提供されており、安心して利用可能。「PRO+VPN」プランを選べば、BitTorrentオフィシャルのVPNも使えるためセキュリティ面でも安心感が強いです
uTorrent
uTorrentは無料で使える上、非常に軽いことで有名なTorrentクライアントソフトです。
qBittorent
qBittorentはフリーかつオープンソースソフトであり、誰でも自由に利用可能。無料かつ広告なしで使えます。

qBittorentの機能は非常にシンプル。検索機能や再生機能、IPのフィルタリング機能、ファイルの暗号化など、最低限な機能はしっかりついている上、余分な機能はありません。その分非常に軽く、初心者でも扱いやすいクライアントソフトです。(出典:qBittorent公式サイトより)
torrentの利用に便利なVPN3選
Torrentファイルダウンロード時に便利なVPNをご紹介します。
VPN Gate
先述したVPN Gateは実証実験を目的に運営されている無料VPN。
Millen VPN
Millen VPNは国内企業が提供するもっとも有名なVPN。

MillenVPNは月額360円から利用可能。2023年2月時点で世界72ヶ所、1300台以上のサーバーを利用でき、金融機関レベルの強力なセキュリティも特徴です。(出典:Millen VPN公式サイトより)
NordVPN
NordVPNは業界トップクラスの利用者を誇るVPN。

NordVPNは月額580円から利用可能。60カ国5400台のサーバーを選ぶことができます。VPNを通すと速度が遅くなることもありますが、NordVPNはほぼ速度が変わらないという評判が多く見受けられます。(出典:NordVPN公式サイトより)
Torrentのメリット | 高速でファイル共有が可能
Torrentの最大のメリットは、大容量のファイルを高速で共有できること。さらにネット上で配布されているファイルの多くは無料で、パブリックドメインの映画などを気軽に楽しむことができます。
Torrentのデメリット | 法的リスクやウイルス感染の可能性も
Torrentファイルはすべて「.torrent」という形式となっているため、クライアントからダウンロードしないと、本当の中身は分かりません。つまり、パブリックドメインのデータと謳われていても、実際には著作権が切れていないデータだったり、ウイルスを含んでいるデータという場合も。
さらに、Torrentの性質上、ダウンロードしながら同時にアップロードするので、知らず知らずのうちに自分が違法コンテンツをアップロードしてしまうという恐れもあります。
まとめ | torrentは使い方に注意が必要
Torrentはごく常識的な範囲内で使用していればまったく危険なものではありません。
しかし、ネット上で配布されているTorrentファイルの中には最新の映画や漫画など、著作権で保護されているものも多くあるので、ダウンロードすると法に触れる可能性があります。
技術そのものは先進的で素晴らしいのですが、使い方には注意が必要です。