公衆無線LAN利用に回復の兆し、しかし多く人が利用をためらう理由とは?【ICT総研調べ】

スマホで動画やゲームなどを楽しんでいると、知らず知らずのうちに通信量が積み上がっていた経験はないだろうか。自宅では自身で契約するWi-Fiで通信量を気にせずスマホを楽しめるが、一歩外に出れば携帯電話会社の回線でやりくりしなければならず、頭の中で通信量の推移を予測しながらスマホを使っている人もいるはずだ。

そのようなスマホユーザーの強い味方が、飲食店や交通機関で利用できる「公衆無線LAN」だ。コロナ禍もひと段落し、外出が増えるこれからの季節、公衆無線LANの現状について、あらためて紹介したい。

コロナ禍を経て、公衆無線LANの利用者数は回復の兆し!

公衆無線LANは外国人観光客にとってもありがたいサービスとなっている(「ICT総研」調べ)

ICT分野における市場調査、コンサルティング、マーケティングを専門とする独立系調査会社のICT総研は、公衆無線LANサービスに関する市場状況の調査結果を明らかにした。経年変化を追いかけてきた同社ならでは報告内容からは、コロナ禍による公衆無線LANの浮き沈みが読み取れる。

公衆無線LANサービスの利用者数について、ここ数年の最高値は2019年度に記録した6,342万人である。日本では東京オリンピック・パラリンピックの開催を翌年に控え、海外からの訪日観光を促すインバウンド事業が話題になっていた頃であり、個人利用者のみならず訪日外国人利用者も高い数値を示している。

しかし、コロナ禍が突入すると一変、海外からの訪日はおろか国内には外出自粛ムードが広がり、2020年度から2022年度までの3年間は低水準での横ばいが続いた。アフターコロナ・ウィズコロナの年として迎えた2023年度は、同社によると公衆無線LANサービスの利用者数はコロナ禍以前の水準に回復すると見込んでいる。

さらに、2024年度には2019年度並みの利用者数が予測され、外出・観光の機運が高まることもあり、先行きは明るいと言える。

利用者満足度が高いのは、d Wi-Fi、au Wi-Fi SPOT、ソフトバンクWi-Fiといった大手通信キャリアのサービスが目立つ(「ICT総研」調べ)

街中に設けられている公衆無線LANサービスの運営者はさまざまだ。なかでも利用者満足度が高いのは、d Wi-Fi、au Wi-Fi SPOT、ソフトバンクWi-Fiといった大手通信キャリアのサービスだ。大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアのWi-Fiサービスも善戦しているものの、やはり餅は餅屋といったところか。

安全性が向上すれば、公衆無線LANを利用したいという声も

数千万人という公衆無線LAN利用者は、ごく一部であることがわかる(「ICT総研」調べ)

公衆無線LANサービスは今後も利用者数の回復が見込まれるが、利用意向を示すのはアンケート回答者の40%弱にすぎない。未利用者のなかでも「安全性が向上すれば利用したい」という意向をもつ層は約35%にものぼり、“誰でも、好きな時に利用できる”という自由度の高さにセキュリティ面の発展が加われば、公衆無線LANは一段階ギアを上がり普及していくと考えられる。

国民の大半がスマホを所有し、5Gなど次世代通信網が普及しつつあるなか、公共の場での通信環境を下支えするインフラとして、公衆無線LANに寄せられる期待は大きい。誰もが安心して利用できる存在になりうるのか、今後の動向に注目したい。

出典元:【ICT総研

オトナライフ編集部
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