ChatGPTとは、アメリカの人工知能研究所OpenAIが提供する対話式の言語モデルを採用した最新のAIシステムです。さまざまなシーンで利用可能なChatGPTを、単純な質問に答えてもらうだけでなく、更に活用できる実用的なプロンプト5選と、ChatGPTを利用できる便利なGoogle chromeの拡張機能3選を紹介します。
なお、今回は有料プランのChatGPT Plusへ加入すると利用できる最新バージョンのGPT‐4を利用しています。無料で提供されているGPT‐3.5だと回答の精度に差がある場合がありますのでご注意ください。
ChatGPTの基本的な活用法
ChatGPTは、会話形式で質問に応答し、小説や歌詞、企画書、小論文の執筆、さらにはプログラミングやコードレビューなどにも対応。 また、すでに一部の企業ではChatGPTを広告やマニュアルの自動生成、顧客サポートやチャットボット、FAQ自動生成、メール自動返信などに活用しています。
ChatGPTの実用的なプロンプト5選
ビジネスの場においてChatGPTを利用する機会はさらに増えていくでしょう。ここでは仕事に使えるChatGPTの実用的なプロンプト5選を紹介します。
フローチャート作成
ChatGPTを利用してフローチャートを作成できます。フローチャートとは、プロセスやアルゴリズムの流れを記号や矢印で表した図のこと。フローチャートを使うと、複雑なシステムや業務を視覚的に分かりやすく説明したり、全体像を把握したり、改善したりすることが可能です。
・プロンプト
以下の「目的」に沿って、連番で入力されている[フロー]に適宜適切なフローを割り当てた上で、Mermaid記法で出力してください。[フロー]には仮説で構わないので、具体的なフローをそれぞれ入れてください
# 目的
アプリ開発のプロジェクトマネジメントの流れをフローチャートにまとめる
# 処理手順
以下のプロセスをMermaid記法で記載してください。連番で入力されている[フロー]には、「目的」を参照の上、適宜適切なフローを割り当ててください
[フロー1]
[フロー2]
[フロー3]
[フロー4]
[フロー5]
[完了判断]
完了している場合: [フロー6]
完了していない場合: [フロー5に戻る]
参考元:Live Editor
ロジックツリーの出力
ChatGPTでロジックツリーを作成できます。ロジックツリーとは、問題や事柄を構成する要素をツリー状に分解して、原因や解決法を導き出すフレームワークのこと。ロジックツリーは、ロジカルシンキングの手法の一つであり、階層構造として図に落とし込むことで、全体像を把握しやすくなります。
今回は「20万PVの自社オウンドメディアを100万PVに伸ばすには」という課題を立て、ChatGPT自らに課題と結論を整理させ、出力してみました。なお最終的にチャートとしてまとめられると考え、Mermaid記法での出力を依頼しましたが、普通のテキストとして出力もできます。
・プロンプト
「課題」を参照の上、「手順」に従ってロジックツリーを生成。なお解説などは不要で、最終的なアウトプット以外を出力しないでください
# 親課題
現在、20万PVの自社のオウンドメディアを100万PVに伸ばすには
# 手順
1.「親課題」を参照し、ロジックツリーを作成するための、子課題をChatGPTが任意の数だけ出力する
2.子課題をさらに分解して「孫課題」を任意の数だけ出力する
3.出力した「孫課題」に対して「結論」も出力する
4.「親課題」「子課題」「孫課題」「結論」をチャート上に出力する
5.そのチャートで設けられている課題が「MECE」になっているかどうかをチェック。MECEになっていなければ、2に戻って再出力
6.出力したチャートをMermaid記法で出力する
# 追加条件
「子課題」「孫課題」「結論」は仮説でも構わないので、ChatGPTが「親課題」を参照の上、適切な値を入れてください
Markdown記法での出力
会社の広報資料やオウンドメディアの記事などを、コピー&ペーストですぐに使えるMarkdown記法として出力することも可能です。
Markdown記法とは、文章を記述する際に、簡単な記号を使って書式を指定する方法で、文章の見出しや箇条書き、強調表示などが簡単にできます。Markdown記法で書かれた文章は、HTML形式に変換することができるため、Webページの作成に利用できます。
・プロンプト
以下の条件に沿って、Markdown形式の広報資料を作成してください
# 目的
「Markdown形式の広報資料を考える処理手順」に沿って、処理を行い最もベストと考えられる文章を「アウトプット」に1つだけ出力する
# [条件1]
オトナライフ編集部が監修するiPhoneの使い方に関する本に関する広報資料。iPhoneの裏ワザや意外と知られていないアプリ、便利機能をまとめたもの。本は1,000円のムック
# 投稿の文章を考える処理手順
1.[条件1]を説明する文章を考える
2.[条件1]に関する価格をまとめる
3.[条件1]に関する共感したくなるような文章を考える
4.1から3の文章を1つにまとめたうえで、読者が「面白そう、読んでみたいと思わせる広報向け文章」に再編集する
5.4でまとめた文章をMarkdown形式でまとめ直す
# アウトプット
[投稿の文章を考える処理手順でまとめたアウトプットをここに出力する]
「don’t jump to conclusion , but think step by step」
ここまではMermaid記法やMarkdownなど、ChatGPTのアウトプットを使いやすく成形できるプロンプトや活用法が主でした。ここから2つは、手っ取り早く使える「アウトプット品質が上がりやすい文言例」を紹介します。
まず1つ目は「don’t jump to conclusion , but think step by step」。一足飛びに結論を出すのではなく、ステップバイステップで考えるという指示です。
ChatGPTは優れたAIであるため、人間に比べて「要約」「省略」が優れています。一方で人間が求めるアウトプットは、その省略された箇所にこそあるというケースも。
最終的に「アイデア1:地方創生を推進する人材紹介」「アイデア2:リモートワーク専門の人材紹介」などの案を出力しました。
・プロンプト
以下の条件に沿って、ビジネスアイデアを考えてください
# 条件
人材紹介のビジネスモデルを分析したうえで、参入すべき人材紹介の分野や「どのような人材と企業をマッチングさせるのか」のアイデアをChatGPTが取りまとめる
#追加条件
・don’t jump to conclusion , but think step by step
・日本語で出力してください
「◎◎としてふるまいます」
「◎◎としてふるまいます」は、ChatGPTに特定の役割を与え、その役割に沿った返答を出力させるものです。たとえば「デバッガーとしてふるまいます」などとしたうえで、Pythonなどのコードを送れば、デバッグなどが期待できるでしょう。
先にChatGPTが出力した「地方創成を推進する人材紹介」というビジネスアイデアについて、「エンジェル投資家」というロールを与えた上で投資家ならではの厳しい目線でフィードバックさせてみました。
・プロンプト
あなたはエンジェル投資家としてふるまいます。以下のビジネスアイデアを、投資家として厳しくチェックしてフィードバックを出力してください
# アイデア
アイデア1:地方創生を推進する人材紹介
地方で働く意欲がある人材と、地方に拠点を持つ企業をマッチングすることで、地方創生を促進する人材紹介サービス。地方の魅力や企業情報を発信し、UIターンをサポートします。
#追加条件
・don’t jump to conclusion , but think step by step
・日本語で出力してください
さまざまなシーンで活用できるChatGPTですが、いちいちOpen AIのChatGPTのページを開いて質問するのも面倒ですよね。ChatGPTへ切り替えなくても、ChatGPTをより便利に使えるGoogle Chromeの拡張機能を紹介します。
ChatGPT for Google
ChatGPT for Googleは、Googleで検索すると、検索エンジンの結果とともに、ChatGPTからの回答を表示する拡張機能です。
ChatGPT Writer – Write mail, messages with AI
ChatGPT Writer – Write mail, messages with AIは、Gmail上でメールを自動的に書いてくれる拡張機能です。
ChatGPT Glarity、YouTubeとGoogleを要約
ChatGPT Glarity、YouTubeとGoogleを要約はサイトやYouTubeを要約してくれる拡張機能です。
まとめ
今回はChatGPTで活用できる実用的なプロンプト5選と、ChatGPTを利用した便利なGoogle chromeの拡張機能3選を紹介しました。プロンプトを使いこなすと、複雑なアウトプットが可能になり、ChatGPTを「自分専用のコンサルタント」として利用できます。また、拡張機能を利用すると、確認や作業の時間短縮を図ることができます。今回紹介したプロンプトや拡張機能を利用して、ぜひワンランク上のChatGPTの活用法を体感してみてください。
※サムネイル画像(Image:Markus Mainka / Shutterstock.com)