意外と知らない「Google」「ヤフー」検索と「Bing」検索結果の違い

「Google」「ヤフー」と「Bing」は、国内における3大検索エンジンと言っても、過言ではないでしょう。3社とも検索サービスを提供していますが、それぞれのサービスで検索すると「検索結果は違うのか」といった点を知らない方も多いのでは?そこで今回は「Google」「ヤフー」検索と、「Bing」の違いについて詳しく解説します。

「Google」「ヤフー」検索と「Bing」の違い

まずは「Google」「ヤフー」と「Bing」の違いを、採用している検索エンジンの面から見ていきましょう。結論から言えばGoogleとヤフーはアルゴリズムの面から見て差はなく、Bingは独自の検索エンジンを開発しています。

ヤフーは検索エンジンにGoogleを採用

ヤフーは検索エンジンにGoogleを採用1

(画像引用元:Wayback Machine(1996年12月29日))

まず1996年にリリースされた「Yahoo! JAPAN」は、検索エンジンとしては「ディレクトリ型検索」の品質の高さで注目されました。その代表的なサービスだったのが「Yahoo!カテゴリ」です。

一方で、ロボット型検索を主軸とするGoogleが日本でサービスを開始したのは2000年。今日の検索エンジンはロボット型検索がスタンダードです。そしてヤフーは紆余曲折を経て2010年以後は、Googleを検索エンジンとして採用しています。つまり2024年現在、ヤフーとGoogleは検索エンジンとしての仕組みに差はありません。

BingはGoogleと異なる検索アルゴリズムを採用

BingはGoogleと異なる検索アルゴリズムを採用1

(画像引用元:Microsoft Bing)

一方、BingはMicrosoftが開発した検索エンジンです。「Bing」としては2009年にサービスを開始し、それ以前は「MSNサーチ」などの名称で知られていました。Googleとは異なる独自のアルゴリズムを採用している検索エンジンであり、近年は検索エンジンをベースとしたAIチャット機能「旧:Bing Chat(現:Copilot)」を提供していることでも有名。

ちなみにBingのシェアは2024年時点で3.7%ほどですが、Windows PCを利用する法人での検索需要が安定的で「常に一定のニーズがある検索エンジン」という一面もあります。

「Google」「Bing」は共に独自のWebクローラーを利用

なおGoogle(及びヤフー)とBingはどちらも、Webクローラーを使ってインターネット上のWebページを収集しているという特徴があります。

「Google」「Bing」は共に独自のWebクローラーを利用1

Webクローラーとは、インターネット上のWebサイトを自動的に巡回し、情報を収集するプログラムのこと。そうして保存されたページをアルゴリズムに基づいてランキング付けして提供するのが「検索エンジン」。つまりクローラーは、基盤技術として不可欠です。

インターネット上の情報量は膨大で、常に増加・更新されているため、すべてのデータを完全に網羅することは困難。一般的な企業レベルではWebクローラーを開発したとしても「特定のサービスの巡回」程度に使うのが主で、検索エンジンほど網羅的にクローラーを使うことはほぼありません。

そのためワールド・ワイド・ウェブを網羅するほど膨大な情報を取得している「Googlebot」や「Bingbot」などはそれ自体が非常に貴重な存在と言えるでしょう。

Bingの歴史と「Google」「ヤフー」との大きな違い

Yahoo! JAPANは1996年にリリースされ、Googleは国内でのサービスを2000年に開始。この両者に対して、Bingは2009年リリースの後発に当たります(※2009年以前は、MSNサーチなどの名称で知られていました)

検索アルゴリズムがGoogle、ヤフーと異なるのは前述の通り。それ以外の最大の違いは「生成AI活用」に対する積極性に現れています。

Bing Chat(※現:Copilot)の登場

Bing Chat(※現:Copilot)の登場1

(画像引用元:Microsoft Edge)

2023年2月、Bingは検索機能に対話型AIを統合した「Bing Chat(現:Copilot)」の提供を開始しました。

同機能の最大の特徴は、たとえば「23区で完全禁煙かつノンアルコールメニューも提供しているおすすめ居酒屋を教えて」というような、ユーザーからの質問に対して、検索エンジンの情報をベースに自然言語で回答を生成する機能を備えていること。

検索エンジンの情報は日々刷新されるため、回答の最新性と精度が高く、なおかつ普通のキーワード検索では実現できない対話性の高い回答を提供可能。

もっとも

・回答に誤りが含まれているケースが非常に多い
・Webサイトの情報を、管理者に許可なく生成AIに学習させたうえで別サービスとしてその内容を提供するのはどうなのか

といった点は激しい議論に発展しています。とはいえBing Chat(現:Copilot)が「新たな検索体験」を提供したことは事実で、注目されています。

Bingは検索結果のメインを「生成AIによる回答」に変更

Bingは検索結果のメインを「生成AIによる回答」に変更1

(画像引用元:Microsoft Bing)

2024年7月、Bingは検索結果のメインを「生成AIによる回答」に変更することを発表。機能アップデートを一部のユーザーから徐々に展開し始めています。

このアップデートが全ユーザーに反映されると、従来の検索結果は、画面の端に小さく表示される形へと変わるでしょう。そして検索キーワードに対する答えは、常に生成AIが動的に回答し、回答のレイアウトも動的に変更される形になります。

先にも述べた通り、回答精度やパブリッシャーの情報を無断で学習したうえで別サービスを提供することの倫理的な問題などは解決されておらず、このアップデートが本当に世界的に展開されるのか、注目が集まるところです。

Googleは「AI Overview」を大きく縮小へ

生成AIに対して、Bingと真逆の方針を採用し始めているのがGoogleです。

元々GoogleはBingに追従するような形で、検索エンジンの情報をベースにした生成AI機能「AI Overview」を大きく展開していました。しかし、Googleは「AI Overview」を大きく縮小する方針を公表済み。Googleの生成AI機能は、たとえば「ピザにチーズをくっつけるために接着剤を入れる」ように指示をするなど、明らかな誤りが酷く散見されることが問題視されました。Googleの生成AIの誤答は、過去には同社の株価に悪影響を及ぼすケースすらありました。

つまり「Google」「Bing」はどちらも世界的な検索エンジンですが、生成AIをベースとした機能開発やそれらの提供という点では2024年7月現在「真逆」に近しい存在です。今後のGoogle(及びヤフー)とBingの検索サービスがどう移り変わっていくのか、興味深いポイントです。

オトナライフ編集部
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