生成AIは近年、その活用用途に広がりを見せている。企業でも生成AIを取り入れようとする動きが高まっており、人手不足の現状を打破するための生産性向上への活用や、ビジネスチャンス創出が期待されているが、実際に活用している企業はどれほどなのだろうか。帝国データバンクが行った「現在の生成AIの活用状況について調査」の結果を見ると、どうやらまだまだ生成AIは普及していないようだ。
生成AIの活用意向がない企業が約半数
帝国データバンクが2024年6月14日から7月5日かけて、全国4705社を対象に行った調査によると、生成AIの活用状況は「活用している」が17.3%、「活用していないが検討中」が26.8%、「活用しておらず予定もない」が48.4%、「わからない」が7.6%という結果だった。約半数が活用意向なしということになり、意外に感じる人も多いかもしれない。
活用している割合を従業員数別に見ると、「1000人以上」が36.9%と最多で、大企業であるほど活用されている様子。また、業種別では「サービス・その他」が28%とトップで、続いて「小売」(20.4%)、「運輸・通信」(10.4%)、「建設・不動産」(9.4%)という結果だった。IT企業などを含むサービス・その他業界で働く人は、最新テクノロジーに対しての心理的障壁は少ないだろう。また、建設や運輸などは規模が小さくなるほどバックオフィスの割合が低くなり、生成AIを活用してもあまり効果が得られないということも、活用が進んでいない要因だと考えられる。
情報収集、文章の要約などに活用されている生成AI
続いての質問は、生成AIを活用している企業に対するものだ。活用の用途について尋ねると「情報収集」(59.9%)が約6割で最も高く、「文章の要約・校正」(53.9%)、「企画立案時のアイデア出し」(53.8%)と続いた。これらはビジネスパーソンが日常的に行う業務であり、生成AIへ指示を与えやすい。また、自分一人でやろうと思うとどうしても時間がかかる業務だが、生成AIを利用すると一瞬でできることもある。そのため、生成AIを利用しようと思った時にまず試してみることなのかもしれない。
また、主に活用しているサービスは「ChatGPT」が84.2%と突出していた。ChatGPTは日本語にも対応しており、登録も不要で無料で使用できる。そのため、生成AIを活用する時にまず思い浮かぶツールの一つだろう。ほかに、ワードやエクセルなどMicrosoft 365 アプリのさまざまな作業を自動化できる「Copilot for Microsoft 365」は26.8%、グーグルが提供している無料のAIアシスタント「Gemini」が19.6%と続いた。
生成AIは今後もますます進化していくと思われる。生成AIのメリット・デメリットをきちんと理解し、活用していくことは企業が生き残っていく上で必要条件となるかもしれない。
出典元:【株式会社帝国データバンク】
※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)