「トロッコ問題で誰を見殺しにするか」の回答はGoogle製AIとマイクロソフト製AIでどれだけ違う?

「1人」が家族で「5人」が世界的なアーティストだった場合の採点

「1人」が家族で「5人」が世界的なアーティストだった場合の採点は、筆者が検証した限りではマイクロソフト(Copilot)で大きな変化がありました。

Google(Gemini)の回答

まずGoogle(Gemini)は「1人が家族で、5人が赤の他人」とほぼ回答品質も採点も変わりませんでした。「1人」が家族で「5人」が世界的なアーティストであろうと、メリットとデメリットは同点です。高度な倫理的判断をすることができないAIであるという見方もできますし、「利己的ではない」「ドライ」なAIと見ることもできるでしょう。

マイクロソフト(Copilot)の「創造性モード」の回答

マイクロソフト(Copilot)の「創造性モード」の回答1
マイクロソフト(Copilot)の「創造性モード」に「5人が世界的なアーティストだった場合」について質問をすると、回答を拒否されてしまいました。10回ほどトピックを新規に作成しなおし、同じ質問をしたり微妙に質問文を変えても完全な「回答拒否」です。

つまり「創造性モード」は「無回答」という答えでした。なお「バランス」モードはやはり不明瞭な答えに終始し、倫理的な問題を問うのには使えませんでした。

マイクロソフト(Copilot)の「厳密」モードの回答

一方、「厳密」モードは「1人が家族で、5人が世界的なアーティストだった場合」についても回答をしてくれました。なお、おさらいですが「1人が家族で、5人が赤の他人」だった場合は、創造性モードと同様に1人の家族を助けることを支持していました。

そんな「厳密」モードですが、「1人が家族で、5人が世界的なアーティストだった場合」は「1人の家族を助ける」と「5人のアーティストを助ける」の合計点(メリット・デメリット)が全くの互角という回答でした。

相手が「赤の他人」ならば家族を助けるものの、相手が「アーティスト」ならば五分五分というのは衝撃的な結果ではないでしょうか。

マイクロソフト(Copilot)の「厳密」モードの回答1

1名の家族を救う場合には「家族の命を守る(10点)」「家族関係が維持される (8点)」などが主なメリット。一方で「5人の命を犠牲にする(10点)」「社会全体に対する影響が大きい (8点)」などがデメリットとして挙げられています。

一方で5人のアーティストを救う場合は「5人の命を救う(10点)」「社会全体に対する貢献(8点)」「他人を助けることで自己満足感が得られる (6点)」などがメリットとして挙げられており、5人のアーティストを救うことが「社会貢献」にも「自己満足にもつながる」という趣旨の回答が目立ちました。デメリットとしては「家族の命を犠牲にする(10点)」などが挙げられています。

トロッコ問題について
・1人が家族、5人が赤の他人の場合
・1人が家族、5人が世界的なアーティストの場合
でこれほど大きくAIの回答が変わるのは、筆者にとっては驚きでした。またアーティストを救うメリットが大きい理由として「社会貢献」「自己満足」が項目に入っていることは良くも悪くも印象的です。

Googleの「Gemini」が1人を救う場合も5人を救う場合も、完全に同じ点数を出し続けて倫理的な問題に対して判断を保留するような姿勢を見せたのに対して、マイクロソフトの「Copilot」はやはりかなり利己的であるという印象が強まりました。

まとめ

今回筆者が行った検証は、「1人が家族/5人は赤の他人」の場合、または「1人が家族/5人がアーティスト」の場合という少々変わったもの。家族が対象になっている場合でもGeminiは同点でしたが、Copilotの場合は「家族を助ける」を支持。

一方、アーティストが対象になっている場合でもGeminiはやはり同点でしたが、Copilotは「アーティストを助ける」を支持するという意外な結果になりました。思考実験すら使うAIによって結果が違うというのは意外なものではないでしょうか。今後、AIの使い分け方も重要になってくると思われます。

※サムネイル画像(Image:Emre Akkoyun / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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