年々減少している家庭でのFAXの利用率。一昔前はFAX付き電話機が自宅にあるのが普通でしたが、固定電話自体も家庭から消えつつあるいま、FAXが自宅にある方がむしろ珍しいという状態でしょう。
しかし、いまも自宅にFAXがある人は、「なくなると不便になるのでは?」となんとなく不安なのではないでしょうか。そこで今回は「自宅からファックスをなくすと何がどの程度不便になるのか」を見ていきましょう。
自宅にFAXはもう不要?主な用途
かつて家庭でも多く設置されていたFAX。特に1980年代はFAXの全盛期と言っても過言ではなく、電子メールという通信手段がまだない時代であり、ちょっとした連絡から業務上の取引までFAXは欠かせない存在でした。
FAXは電子メールが普及した後も、一定程度の需要を堅くキープし続け、その名残でFAXの保有率自体もある程度高止まりしました。
総務省が令和元年5月に発表した「平成30年通信利用動向調査 」によると、平成21年にはFAXの保有率は57.1%でしたが、その後保有率は右肩下がりに。さらに「令和5年通信利用動向調査」によると、令和5年時点で26.9%となっています。
1980年代~1990年代には連絡手段として頻繁に用いられたのはもちろん、創作的な文書やイラストのやり取りにも用いられました。たとえば1996年には現代美術家の大竹伸朗さんとヤマタカEYEさん(BOREDOMES)がFAXでマンガを制作した作品集「ドンケデリコ」が発売。2008年に復刊されるなど名作として知られています。
一方、スマホが普及したあとは連絡手段として「LINE」に代表されるコミュニケーションアプリが定着。創作的な文書やイラストのやり取りも各種SNSやアプリに代替された中で、日常的にFAXをやり取りする機会はほぼなくなったと言えるでしょう。
FAXを2024年現在でも使う用途としては、図面や書類などのやり取りが主。事務所やオフィスではなく「自宅」にFAXをいまでも置いている意味があるかは、図面や書類の送受信の機会が多いかで判断するとよいでしょう。
20代世帯のFAX保有率はすでに1.6%まで低下
紹介してきた通り、デジタル上でのやり取りが可能になったことによってFAXの使用率が低下。20代世帯でのFAX保有率は1.6%にまで低下。メールやチャットアプリ、クラウドサービスなど、より便利で迅速なコミュニケーション手段が登場したことで、FAXの必要性が薄れたと言えるでしょう。
FAXを手放すと何がどれくらい不便になる?FAXのメリット
実際にFAXを手放したときに不便になると思われることをご紹介します。
図面や契約書類のやり取り
FAXは、図面や契約書類など、手書きの要素が含まれる書類のやり取りにおいて非常に便利に利用されています。特に、手書きのサインが必要な書類を迅速に送信する際には、FAXが重宝されることも。実際、筆者の実家が経営している飲食店では、昔ながらの予約仲介業者といまだにFAXを使ってサインのやり取りしているそう。
電子メールでは、手書きのサインをそのまま送信することが難しい場合がありますが、FAXであればそのままの形で送信できるため、信頼性が高いとされています。また、紙媒体でのやり取りが必要な場合にも、FAXは便利な手段です。
法曹界ではFAXが活躍する場面がまだまだ多い
法曹界では、FAXが依然として重要な役割を果たしています。法律関係の書類は紙でのやり取り機会が多く、やり取りは正確さが求められ、なおかつ修正事項がある場合は紙にペン入れする方が楽な場合があるためFAXの即時性が重宝されているようです。また法律文書はしばしば紙媒体での保存が求められるため、FAXによる送信が適している場合があります。
開封率が高い
FAXで送信された書類は、送信されると自動的に印刷される仕組みとなっているため、開封率がメールに比べて開封率が高いという特徴があります。メールの場合、スパムフォルダに振り分けられたり、見落とされたりするリスクがありますが、FAXは直接プリントアウトされるため、受信者がほぼ確実に目を通すことが可能。このため、重要な通知や緊急の連絡を行う際には、FAXが有効な手段となることがあります。
自宅で利用するFAXの代替サービス
FAXを手放すことを考える際には、代替サービスも検討しましょう。FAXの代わりとなる便利なサービスをご紹介します。
コンビニのFAX
コンビニのプリンターはFAX機能がついています。「年に数回FAXを使う程度」ならコンビニで十分でしょう。必要なときにだけ利用できるため、維持費がかからず、急な送信が必要な際にも対応可能です。
インターネットFAX
インターネットFAXは、パソコンやスマートフォンを利用してFAXを送信できるサービスです。メールのように簡単に送信でき、相手方の手元ではFAXで出力されます。
逆に受信したFAXもデジタルデータとして保存できるため、紙の管理が不要です。また、インターネット接続があればどこからでも利用できるため、外出先でもFAXの送受信が可能です。