働き方改革や多様性の推進により、職場環境が大きく変化する中で、依然として多くの企業に残る「暗黙のルール」。特に社会人になったばかりの時は「なんで?」と疑問に思ったり反発したりすることがあっても、徐々に慣れてしまい、何も思わないという人もいるかもしれないが、果たして実態はどうなのだろうか。
約9割が職場の暗黙ルールに違和感あり!
転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリアの調査機関「Job総研」は、20代~50代の社会人の男女に調査を実施。805件の投稿が集まり、その結果を発表している。実に88%の回答者が職場に納得いかない暗黙ルールがあると回答。最も多かった回答は「上司の言うことが正しい」で40.2%、次いで「新人が〇〇をして当たり前」が29.5%、「休日でも連絡を返す」が28.7%となった。これらの結果から、多くの社会人が職場の慣習や上下関係に疑問を感じていることが見てとれる。
なかでも共感した疑問を聞くと、最多だったのは「上司の考えに意見が言えない雰囲気があること」で40.2%。この疑問に対する回答は大きく4つに分類されており「上司に従う」「上司の考えの背景を知る」「上司を尊重し誠実に意見を伝える」「周囲の意見を知る」だった。
「上司に従う派」の人々は、その理由として、上司は会社の意思決定に基づいて指示を出している可能性があることや、上下関係を崩すデメリットを挙げており、「上司の考えの背景を知る派」や「上司を尊重し誠実に意見を伝える派」の人々も基本的には上司に従う意向を示しており、令和の時代になっても部下が上司の意向に歯向かうことの難易度は高そうだ。
新人の出勤時間をめぐる議論はいつの時代にもある
2番目に注目を集めた疑問は「新人は定時より早めに出勤すること」。この疑問に対する回答は「暗黙ルールに従う派」と「ギリギリで問題ない派」に二分された。
「暗黙ルールに従う派」からは、新人のうちは周囲からの印象を守るために極力従うべきだという意見が多く見られた。一方で「ギリギリでも問題ない派」は、迷惑をかけなければ問題ないとしつつも、社会人としては早めの行動が得策だという意見が目立っている。これは新人であろうとなかろうと、社会人であれば早めに行動した方が良いと考える人が多いともとれるため、「新人なら」という余計な枕詞を省けばよいのではないかと思われる。
ハラスメント防止や多様性の尊重の観点から、若手社員の意見も以前より尊重されやすくなっているものの、職場には様々な年代や価値観を持つ人々が共存しているため、すべての意見が即座に受け入れられるわけではない。あくまでも、各立場を理解した上でのコミュニケーションが求められると考えるべきだろう。
日本の職場における「暗黙のルール」は根強く、特に上司との関係性や新人の振る舞いに関する慣習は、多くの人が疑問を感じながらも脈々と受け継がれているようだ。職場の暗黙ルールは一朝一夕には変わらないと思われるが、より働きやすい環境づくりに向けたコミュニケーションを上司ととってみてはいかがだろうか。
出典元:【Job総研】