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グラボはもう不要? グラボなしPCがすでに「ゲーミングPC」レベルに進化しているかも

パソコンの購入時などに、意外と分かりづらいポイントの1つが「パソコンにグラボは必要なのか」ではないでしょうか。

PCゲームのプレイや動画視聴を快適に行うには「グラボ」の存在は重要視されてきましたが、CPUに比べて身近なものではないと感じる方も多いでしょう。またグラボの価格が一般的に高いこともあり、実際には「グラボなしのPCでもそこそこの快適さでゲームや動画視聴ができればそれで十分」と思う方もいるのでは。

実は近年、グラボなしPCが「ゲーミングPC」レベルの性能に進化しつつあります。その要因が、CPUに内蔵されているグラボの性能アップ。具体的に見ていきましょう。

そもそもパソコンに「グラボ」は必須?

この記事をお読みの方の中には、そもそもパソコンにグラボは必須なのかどうか疑問に感じている方もいるでしょう。結論から言えば一般的な文書作成やウェブブラウジング、動画視聴などの基本的なタスクであれば、多くの場合CPUに内蔵されているグラボで十分対応できます。

CPUとGPUの主な違いは、その役割と処理の特性にあります。

そもそもパソコンに「グラボ」は必須?1

CPUはコンピューター全体の制御と多様な計算処理を担う「頭脳」のような存在。グラボは主に画像処理に特化したチップです。たとえば最新の3Dゲームをプレイしたり、4K動画編集や3DCG制作を行ったりする際には、専用のグラフィックボードが必要になることがあります。

そしてグラボは基本的にCPUに内蔵されています。しかし動画編集や画像編集、高解像度でのゲームプレイといった用途では、従来は「内蔵GPU」の性能は不足することが少なくありませんでした。

そのため自作PCを組み立てたり、BTOパソコンを発注する際には内蔵GPUに依存せず「グラフィックボード」を搭載することも一般的です。しかしグラフィックボードを搭載した自作PCの作成や、BTOパソコンの発注では予算が20万円~30万円ほどになるケースも。「高性能なグラフィックボードを搭載したパソコン」は、多くの方にとっては「手が届きづらいもの」であることもまた事実です。

GPUを内蔵した「CPU(APU)」の性能が大幅に上昇傾向

「グラフィックボードを搭載したパソコン」が手が届きづらい一因には、CPUとは別にGPUの用意が必要であり、なおかつGPUを冷却するための装置も必要となるためです。

逆に言えば、冒頭でも述べた「CPUに標準で搭載されているGPU」が、ゲーミングパソコンなどに搭載されるGPUレベルに高性能なものとなれば、多くの方にとって「パソコンでできること」自体が極めて大きく増えるでしょう。

そしてGPUを内蔵した「CPU(APU)」の性能は大幅に上昇傾向です。その象徴的なCPU(APU)が、Ryzen 8000Gシリーズです。

Ryzen 8000Gシリーズは「GeForce GTX 1650」に匹敵

Ryzen 8000Gシリーズは「GeForce GTX 1650」に匹敵1

(画像は「ADM」公式サイトより引用)

AMDの最新APUであるRyzen 8000Gシリーズは、その内蔵GPUの性能が大きな注目を集めています。特に、上位モデルであるRyzen 7 8700Gは、従来のエントリークラスの独立GPUに匹敵する性能を持つと言われています。具体的には、NVIDIAのGeForce GTX 1650に近い性能を発揮すると評価されており、これは数年前まで中級ゲーミングPCで使用されていたグラボのレベルに相当します。

たとえば「VALORANT」や「League of Legends」などのeスポーツタイトルでは、高フレームレートでのプレイが可能です。また、「Fortnite」や「Apex Legends」といった比較的要求の高いゲームでも、設定を調整することで快適にプレイできるレベルの性能を持っています。

メモリ性能と「AFMF」にかなり性能が左右される点は注意

もっともCPU及び内蔵GPUの性能が十分であっても、メモリ性能が不足しているとCPUの性能は引き出せません。仮にRyzen 8000Gシリーズを用いて自作PCを組む場合は、たとえば「DDR5-6000」など従来製品と比べて低レイテンシで高速なメモリを利用することもおすすめします。

またAMDが実用的なゲーム性能を有すると、特にアピールしているのは8000Gシリーズの中でも「Ryzen 7 8700G」です。「実用的なゲーム性能」を期待して8000Gシリーズを入手するならば、シリーズの中で購入すべきは「Ryzen 7 8700G」一択です。下位モデルを購入する必要性は薄いでしょう。

また8000Gシリーズを使用して、ゲームを楽しむ場合は同じくAMDが発表している技術「AFMF」を利用してフレームレートを稼ぐこともほぼ前提となるでしょう。しかし同技術は「相性が良いタイトル」と「そうではないタイトル」も存在します。つまり「グラボなしのPC」でもある程度実用的なゲーム性能を実現できるようになったものの「グラボありのPCより快適」とは言えないことにはご注意ください。

「グラボなしPC」は「新たなゲーミングPC」になり得る?

これらの技術進歩を踏まえると、グラボなしPCが新たなゲーミングPCの選択肢となる可能性は十分にあります。特に、カジュアルゲーマーやeスポーツ愛好家にとっては、十分な性能を持つ選択肢となるでしょう。

「超小型ゲーミングPC」に採用される可能性は高い

グラボなしPCの利点の一つは、コンパクトな設計が可能な点です。グラボを搭載する必要がないため、PCケースを大幅に小型化できます。これにより、「超小型ゲーミングPC」という新たなカテゴリーが生まれる可能性があります。

実際に超小型ゲーミングPCはすでに生まれ始めており、一部メーカーではRyzen 7 8700Gモデルで146,100円~でPCを購入できます。ゲーミングPCを自作する際の一般的な予算が20万円~30万円であることを考えると、非常に安価です。

「超小型PC」であるためリビングルームに置いてテレビに接続したり、持ち運んで友人宅でゲームを楽しんだりと、従来のデスクトップPCにはない使い方が可能になるかもしれません。

従来のゲーミングPCより消費電力や価格を抑えることが可能に

グラボを搭載したゲーミングPCは消費電力の大きさなども問題になりやすいですが、内蔵GPUを利用する「グラボなしPC」は消費電力の小ささも期待され、電気代節約につながる可能性も大きいです。また先にも述べた通り、製品価格そのものも安いため、総じて「お財布に優しい」です。

多くの方にとって、『設置場所を問わない』『消費電力が小さい』『価格が安い』、という新たな高性能PCの選択肢として、Ryzen 8000Gシリーズに代表される「グラボなしPC」が浮上していると言えるのではないでしょうか。

※サムネイル画像(Image:studiomiracle / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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