世の中には、目標とする将来に向けて日々スキルアップに励むビジネスパーソンが数多く存在する。キャリアアップのため自分を高め続けている人と、現在に満足して現状維持で十分だと思っている人。40代後半や50代になれば大きな差として表れてくるのは確実だ。では、その差が明確になるのはいつ頃なのだろうか?
今回は、収入の分布から見るキャリアの差が生まれる時期について考察していきたい。
20代は給与のボリュームゾーンが固まって上昇する
学校を卒業し新卒として入社したばかりのビジネスパーソンは、多くの場合社会人一年生として横並びでスタートする。しかし社会に出た瞬間からその競争は始まっており、デキるビジネスパーソンであれば多くの経験を積むことで同期の集団の中から頭角を現してエリートへの道を歩んでいくことになるだろう。
しかしよほどフレキシブルな会社でない限り、入社してしばらくはどれだけ努力をしても同期と比べて明確な評価の差はつきづらい。「上から評価されている」という話は周囲から伝わってきても、それが給与などに大きく反映されないことも多い。
それは厚生労働省が発表している「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の賃金分布の表を見ても明らかだ。20~24歳の年齢層の給与は、25.2%を占める「20~21万円台」を中心に「16~17万円台」「18~19万円台」「20~21万円台」「22~23万円台」という4つの連続した給与帯が10%以上という結果に。25~29歳でも、「20~21万円台」「22~23万円台」「24~25万円台」「26~27万円台」が二桁%となり、経験年数が増えるにつれてボリュームゾーンもまとめて上昇していることがわかる。
しかし35~39歳になると、突如として二桁%を占める給与層が消滅する。最も多いのは9.9%の「36~39万円台」だが、これは30~34歳でのボリュームゾーンとはかなりの乖離が見られ、全員で持ち上がったというよりも“選抜された”という印象を受ける。さらに、次に高いのは「26~27万円台」の9.4%。それまでの上昇ペースで見ればボリュームゾーンの下部を占めるであろう給与帯だ。この二分化は、同期の中で「管理職と現場」がふるい分けられた結果ではないだろうか。
若いうちは仕事の出来に関わらず、給与の差は比較的穏やかなはずだ。しかしこの調査の結果30代後半は、それまで積み上げてきたものが明確な差となって現れるターニングポイントになっていることがわかった。20代・30代前半のあなたも、日頃から評価をしっかりと積み上げる意識を持って自分のスキルアップに努めてもらいたい。
参照元:令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況【厚生労働省】