いまやサラリーマンにとって避けて通れないと言っても過言ではないテレワーク。2020年のコロナ禍で一気に世間に浸透していった。一方で近年は長時間労働や上司・同僚からのハラスメントを是正する「働き方改革」の普及も盛んに叫ばれるようになっており、全国の企業でその対応も進んでいる。
今回は、Web会議システムの普及といった、テレワークで大きく変わった業務スタイルの中で問われるハラスメントの世代間の認識ギャップについてお伝えしていきたい。
8割超がハラスメント行為を問題視
働き方改革の導入により、近年様々な“昭和スタイル”の働き方が改革されていっている。中でも変化が大きいのは、これまで一般的とされていたハラスメントにあたる働き方の見直しだ。恫喝まがいの行き過ぎた指導方法がパワーハラスメントとして禁止されるようになり、「お茶くみは女性社員の仕事」という古い考え方も女性差別としてセクシャルハラスメント・ジェンダーハラスメントとして避けられるようになってきた。
そんな中、ハラスメント対策の研修を専門に行うダイヤモンド・コンサルティングオフィスは2020年の11月、テレワークでの各世代のハラスメントの感じ方・認識の実態を調査。同年6月に施行された「パワハラ防止法」などでハラスメントに厳しくなっていく制度・世の中をどう思うかの設問では、「非常にいい印象を持つ」28.3%、「いい印象を持つ」50.9%と、全体で80%近い回答者が支持している。
「ハラスメントは無いほうがいい」という風潮が世代を超えて根付いていることは確認できたわけだが、ここで問題となってくるのは「じゃあ何がハラスメント?」という線引きだ。今回の調査では、「日報の義務化」「上司がテレワークの際に、会議で顔出しすることを強要する」「上司がテレワークの際にチャット上で、『サボらず、きちんと仕事をしているのか』と言う」の3項目をハラスメントに該当すると感じるかをヒアリング。その回答のうち20代と50代の結果を比較している。
すると3項目すべてで20代のほうが10ポイント以上「ハラスメントに該当する」と感じる回答者が多いことがわかった。中でも「Web会議での顔出しをハラスメントだと感じる回答者は、20代で55.0%、50代で35.7%と20ポイント近い差が生まれたのだった。
もしかすると、顔出しでWeb会議をするためには身だしなみと服装を整える、というテレワークではしなくていい準備が必要なことや、自宅作業でどうしても映りこんでしまう自宅の風景を見られたくない人が多いのかもしれない。
この調査結果は、「ハラスメントはいけない!」と思っている人でも、日頃の業務で「えっ?これもハラスメントになるの!?」と不意打ちを食らう可能性があることを示唆していると言えるだろう。ハラスメントは本人がハラスメントだと認識していなくても、受け手が「嫌だ」と思えばその時点でハラスメントになる。その認識の差を埋められるよう、若手であれば上司と、上の世代であれば新人たちと、テレワーク中もコミュニケーションを密にしながらお互いの考え方を知る努力をする必要があるのかもしれない。
参照元:世代別ハラスメントへの認識調査、50代と20代で「リモート会議での顔出し強要」への感じ方に19.3%のギャップありの実態【FNNプライムオンライン】