マイクロソフトがアメリカで放送しているCMが物議をかもしている。自社の「Surface Pro 7」とアップルの「iPad Pro」を比較し、iPad Proを揶揄するような内容となっているのだ。確かに競合製品と比べて「自分の製品はここが優れている!」という部分は、メーカー側からすればぜひとも伝えたいポイントだろう。しかしメーカーが宣伝したい情報とユーザーの求めている情報が同じとは限らないわけで…。
今回は、アメリカで繰り返される比較CMと日本ユーザーの反応をお伝えしていきたい。
マイクロソフトが自社製品を絶賛するCMを制作
マイクロソフトが現地時間4月5日に公開したCMは、一人の男性がSurface Pro 7とiPad Proを手に取りながらSurfaceの長所を挙げていく内容だ。「Surfaceは背面のキックスタンドで立たせることができるが、iPadは自立できない」という内容を皮切りに、iPadに接続するためのキーボードの重さや、ポートの数が少なく大きなドングルでポートを増やす必要があること、さらにはiPad Proが1,348ドルなのに対し、Surface Proは880ドルであることをアピール。男性が「これでもiPad Proを選びますか?」とでも言うような表情でカメラ目線をしたところでCMは終わるのだった。
「Surfaceでは何ができる」「iPadは何ができない」ということを伝えるCMとしては、確かにかなり有効なアピール手段だろう。実は3月にもマイクロソフトは同じような比較CMを公開しており、今回のCMはそのシリーズの続編とみられる。
今回比較対象とされたアップルもかつては「Get a Mac」と題して、「真面目で古臭いパソコン(WindowsのPC)とスタイリッシュでセンスのあるMac」という構図のCMを、日本版を含め世界的に放送していた。アメリカではこうした比較CMが世界的に見ても数多く制作されており、もはやライバル製品のネガティブキャンペーンは伝統芸という感すらあるだろう。
しかしアメリカでウケる手法が他国でも好意的に受け止められるかは別問題だ。ネット上からは「ほんと混沌を極めてんな」などマイクロソフトに対するあきれた声が多く聞こえてきた。中には「構成によっちゃiPad Proと同等かそれ以上に高くなるんだけどな」と、逆にSurfaceの弱点に対する指摘や「Surfaceはアップルが『iPadをこんなふうにしたくなかった』という商品だということがよく分かるCM」といった、Surfaceに対する印象が悪くなったようなユーザーの姿も見られた。
イメージアップを図るためのCMで、逆に評判を落としていたらまさに本末転倒だろう。ネガティブキャンペーンを打ち合う泥仕合が喜ばれるのはアメリカ国内だけであることに早く気付いたメーカーこそが、このCMで最もイメージアップを図ることができるのかもしれない。
こんな不毛なチキンレースがいつ終了するのか、アメリカのメーカーを冷ややかな目で見守っていきたい。
参照元:Microsoft、iPad Proをディスる比較CMを公開【iPhone Mania】
※サムネイル画像(Image:Sompetch Khanakornpratip / Shutterstock.com)