長時間労働、低賃金、サービス残業、パワハラ上司……「もうこんな会社やめたい!」そう思って退職を検討したことがあるあなたが務めている会社は、世間一般で見ても“ブラック企業”なのかもしれない。今回は、日本労働調査組合が実施した「ブラック企業に関するアンケート」をもとに、ブラック企業を辞めたい理由ランキングを発表する。
全体の約70%が退職を検討
同調査は、勤務先が「ブラック企業だと思う」と回答をした全国の20代~40代の会社員552人を対象に行われたもの。ブラック企業に勤めていると自認している人で退職を検討しているのは68.7%と、やはり退職意向率が高いことが伺える。裏を返せば約30%の人は辞める気がないことが判明した。
年代別に見てみると、「20代」では77.8%が辞めることを検討しているといい、全体よりも退職したいと思っている人が多いことが分かった。また、「30代」では66.8%、「40代」では61.2%と、年代が上がるほど退職の意向が低くなる模様。30代や40代の中には、ブラック企業でも長年築いたキャリアを棒に振るのはもったいないと退職を躊躇している人も少なくない。年齢が上がるほど未経験職種への転職が難しいといわれていることも少なからず影響しているのだろうか。
ブラック企業を辞めたい理由ランキングでは、1位が「給料が安い」(37.7%)、2位「従業員を大切にしない」(30.6%)、3位「仕事量が多い」(28.2%)、4位「不当な人事評価」(24.3%)、5位「人間関係」(23.5%)という結果に。同じ日本労働調査組合が6月に実施した調査で「ブラック企業だと思う定義」の1位に選ばれた「サービス残業」は、今回7位にランクイン。そのほか、トップ10には、「離職率が高い」「理不尽な要求」「長時間労働」などが挙げられた。
カテゴリー別に辞めたい理由を見てみると、「労働時間」を抑えて「人間関係(ハラスメント)」が1位に。ブラック企業の激務や薄給には耐えられても、合わない上司や会社の雰囲気に耐えられないという人は多いのかもしれない。一方で、やめられない理由については上から「転職活動が不安」(41.7%)、「生活が困窮する」(38.9%)、「家族を不安にさせる」(19.9%)が並んだ。
では、そんなに辞めたいブラック企業にも関わらず、なぜ世のサラリーマンはブラック企業を辞められないのだろうか。「会社を辞めていない、辞められない理由」の設問に対して最も多く寄せられたのが「転職活動が不安」という声だ。じつに41.7%もの回答者が理由として挙げた。さらに2位の「生活が困窮する」も38.9%と、1位に迫ろうかという多くの支持を集めている。まさにこの2つが、サラリーマンがブラック企業を辞める決断を下せない理由のツートップとなった。以下は3位「家族を不安にさせる」(19.9%)、4位「同僚や関係者に迷惑がかかる」(17.6%)と続く。5位には「金銭面で満足」(17.4%)と意外にもポジティブな理由も含まれていたことは意外かもしれない。
以上、ブラック企業を辞めたい理由・辞められない理由のランキングを発表した。現在ブラック企業に勤めていると感じている人にとっては共感する部分も多かったのではないだろうか。
出典元:【日労公式】仕事を辞めたい人は全体の3割強!退職動機に関する労働調査(2021年4月度プレスリリース)【日本労働調査組合】