ウェブブラウザにはChromeやFirefoxなどさまざまな種類があり、ユーザーはそれぞれ自分に合った使いやすいものを選び使用しているだろう。だがアメリカのマイクロソフトはこれまで、自社製ウェブブラウザ「Microsoft Edge」を使用するようWindowsユーザーに推奨してきた。
2021年12月のWindowsのアップデートではついにユーザーがEdgeを回避するために使用していたフリーソフトなどの抜け道機能を完全にブロックしたことが分かった。これは一体どういうことなのだろうか。
自分好みのブラウザを使っていても、強制的に起動してしまう?
長年世界中のユーザーに利用されてきたウェブブラウザ「Internet Explorer」の後継として、Windows 10からデフォルトブラウザとして採用されることになったマイクロソフトのEdge。しかし当初は不具合が多発、ユーザーからも使いにくいとの声が多く上がっていた。2020年1月からはグーグルのChromeと同じChromiumベースに構築された新バージョンに生まれ変わり利用者も増えていたものの、やはりいまだ圧倒的にChromeを利用する人が多い状態は続いている。
しかしWindowsではデフォルトブラウザをChromeなどに設定していても、一部のリンクはEdgeで起動されるようになっている。そのためこの強制的な起動を回避するフリーソフト「EdgeDeflector」が開発され多くのWindowsユーザーが利用する人気のアプリとなっていた。このアプリを使えばリンクを開く場合でも、自分の設定したブラウザで開くことができた。
ところがマイクロソフトはこの回避機能を「不適切」として、12月14日にリリースしたアップデートでWindows 10およびWindows 11において、このEdge回避機能を正式にブロックした。これによりユーザーは強制的なEdge起動を回避する方法を完全に失ってしまったのだ。
このマイクロソフトのやり方には、ユーザーだけでなくブラウザ開発者などから批判の声が多数上がっている。EdgeDfelectorと同様の機能を開発していたFirefoxの開発元であるMozillaは「人々は簡単にデフォルトブラウザを設定できるべきであり、デフォルトの選択は尊重されるべきです」とマイクロソフトを批判する声明を出している。
また、ユーザーからも不評の声が相次いでいて、SNSには「マイクロソフト、Edgeのシェア伸ばそうと必死だな」「しょうもないやり方で使用を強制してくるやり方にうんざりしてる」といった意見が並んでいる。マイクロソフトのなりふり構わない必死の戦略により、少しずつシェアが増えてきているのは事実だが、ユーザーの自由を奪うこのやり方をよく思わないユーザーは多い。
Edgeを使ってほしいマイクロソフトと、使いたくないユーザー。その溝は埋まることなく、最新のアップデートを適用しても動作する新しいツール「MSEdgeRedirect」なるものも開発されているようだ。
ブラウザ開発者とマイクロソフト社の戦いは今後も続いていきそうだが、Edgeは果たしてChromeを凌ぐほどのシェアを獲得することができるだろうか。多くのユーザーは、強制的な制限を設けるやり方ではなく、Edgeをより使いやすいブラウザに進化させることに力を注いで欲しいと願っていることだろう。
参照元:Windows 11でFirefoxなどブラウザの「Edge回避機能」がついにブロックされる【GIGAZINE】
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