スシローやはま寿司、かっぱ寿司など、大手チェーン店がしのぎを削る回転すし業界。そんな中で、新鮮な寿司をリーズナブルに楽しめる回転寿司で独自のキャンペーンやサービスを実施してきたくら寿司が、新たな一手を講じた。これまでありそうでなかった刺身メニューの展開で来店客の満足度を上げ、業界での存在感もアップさせることができるか。今回はそんなくら寿司の動向を伝える。
おつまみ需要を受けて刺身販売をスタート
日本トレンドリサーチが2021年1月に発表した回転すしチェーン店に関する調査で「満足度が高い回転すし店」に輝いたのは、くら寿司ではなくスシローだった。“手巻き寿司”としてネタとシャリ・海苔を分けて提供するなど、いち早くテイクアウトメニューを充実させたスシローに軍配が上がったようだ。そんなスシローは満足度だけでなく、2020年11月に発表した9月期の売上高でも2,049億円と、コロナの影響を感じさせず前年を上回る結果に。満足度が売り上げに直結していると言えそうだ。
そんな競合のスシローに後れを取りつつあるくら寿司が、4月23日から一部店舗で同社初の刺身のテスト販売を開始した。これまで「シャリカレー」や「シャリコーラ」など、ユニークなシャリメニューを展開してきたくら寿司。低価格でもおいしい寿司を提供してきたくら寿司のこだわりといえばこれまではシャリだったが、シャリ推しからネタ推しにシフトし、刺身販売を開始。くら寿司の岡本浩之取締役は刺身の販売理由について「お酒の販売が増えているお店が多くなっていますので、『お寿司ばかりだとお腹が膨れるから、お刺身も出してほしい』という要望が非常に強くなった」と来店者のニーズを語った。
くら寿司といえば、他社に比べてサイドメニューが豊富なチェーンとして知られている。「ラーメンやデザートなどどれもおいしいので、つい食べすぎてしまう」といった声もあがり、寿司以外の本格的なメニューが楽しめるのもくら寿司が支持されるポイントだろう。「くら寿司=サイドメニューが充実している」という印象を持っている利用者が多いことも経営側が刺身販売に踏み切った理由なのかもしれない。
以前は安かろう悪かろうだった回転寿司のクオリティが高まっている今、十分シャリなしの刺身だけでも十分勝算があることが予想できる。テイクアウトも可能となれば、「スーパーで刺身を購入するよりもくら寿司で頼んだ方が安くておいしい」と考える人が出てきてもおかしくないだろう。新たなユーザーを囲い込むという意味でも有効な刺身販売が、くら寿司の人気に火をつけるか。刺身メニューの売れ行きに今後も注目だ。
参照元:くら寿司が「刺身」の販売を始めるワケ 同社では初、「おつまみ需要」を受け決断【JCASTニュース】
※サムネイル画像(Image:kurasushi.co.jp)