「くら寿司」の勢いが止まらない。この半年の決算で、純利益が大幅回復を見せているようだ。くら寿司をはじめとした回転寿司業界では現在、業績好調なチェーンが多いという。今回の発表も、これまで印象として「良さそう」だとはされていた部分を、数字上で明確にしたことが大きいかもしれない。今回は、業績をV回復させたくら寿司についてお伝えしていきたい。
くら寿司の業績がV字回復を記録!
6月9日にくら寿司が発表した2020年11月~2021年4月の連結決算によると、売上高は前年同期比で14.1%増の745億円と、この期としては過去最高の数字を記録。純利益も前年同期におよそマイナス9億円だったものを、プラス6億6,800万円と急回復させているようだ。
V字回復の要因のひとつとして挙げられたのは、「時代に合わせた店舗づくり」だ。2020年10月には、セルフレジなどを導入し入店してから退店するまで店員と接触することなく利用できる“完全非接触”サービスを一部店舗に導入し注目を集めた。
さらに2020年9月から10月にかけて実施された、「鬼滅の刃」とのコラボで大いに話題になったことも好調を後押ししたのではないだろうか。発表された決算の期間は11月からだが、このコラボによってネットを中心に話題となったことは間違いない。コラボ中に鬼滅目当てで訪れたファミリー層が、「回転寿司面白いしまた行ってみようか」とリピーターとなることも考えられるだろう。
この業績アップがくら寿司だけの話であれば、業界シェアを一気に獲得する絶好のチャンスとなったことだろう。しかし現在の回転寿司業界はどこのチェーンも業績好調なのだ。
業界トップの「スシロー」は、4月1日に運営会社が「スシローグローバルホールディングス」から「FOOD & LIFE COMPANIES」へと商号を変更。横文字の名前からも伝わるように、国内業界のトップの座に留まらず今度は海外のファンも増やしていく計画だ。「はま寿司」でもブランドロゴや店舗デザイン、従業員のユニフォームなどを刷新。スシローと同じく海外進出の強化に注力していくとされる。また「かっぱ寿司」では、回転寿司の最大の特徴でもある回転レーンがレンタルできるサービスを開始。回転レーンを流れる寿司の中から食べたいメニューを選ぶ楽しみを、自宅でも味わえるとあってファミリー層を中心に好評を博しそうな雰囲気だ。
“四者四様”の戦略で業界シェアの拡大を図ろうとしている、戦国時代の様相を呈している回転寿司業界。果たしてこれからどのようなシェアの変動が起こるだろうか。ひとつ言えることは、お客様のことを考えない展開を実行してしまったチェーンから脱落していくだろうということだ。今後も回転寿司業界から目が離せない。
参照元:くら寿司“対策徹底”で黒字転換 前年赤字から純利益6億超に【FNNプライムオンライン】
※サムネイル画像(くら寿司公式サイトより引用)