「日本人にとって魚は朝食としても夕食としても馴染み深い」という理由で、マクドナルドの中で唯一、終日提供されている「フィレオフィッシュ」。様々に入れ替わるバーガーラインナップの中でも、昔からあるド定番品といってよいだろう。外はサクサク、中はしっとりの食感で魚嫌いの子どもも食べられると人気だが、一体何の魚を使っているのか考えたことはあるだろうか。白身魚であることははっきりしているが……。
バンズやタルタルソースとの組み合わせがおいしいスケソウダラ
原料を見たことがあるとか、よく料理をするとか、あるいは味覚が優れている人であればすぐにわかるのかもしれないが、「何の魚かわからない」という読者が大半だろう。ずばり、フィレオフィッシュに使われている魚は「スケソウダラ」だ。「スケトウダラ」と呼ばれることもある魚で、日本海やオホーツク海、茨城県以北の太平洋沿岸などの北太平洋に広く分布している。塩漬けにした卵巣はたらこ、唐辛子を加えたものは辛子明太子にして食べられているお馴染みの魚だ。
フィレオフィッシュに使われるスケソウダラは100%がアラスカ州に面するベーリング海で漁獲されている。ウェブメディア・BCNの取材によれば、「バンズやタルタルソースとの組み合わせを踏まえて、美味しく食べられる魚としてスケソウダラが選ばれた」と日本マクドナルドの担当者は説明したという。消費者庁が発表しているアレルギー表示対象の28品目の中にタラが含まれていないこともポイントだろう。
さらに、獲りすぎなどによる環境への影響にも配慮しているそうで、「人類共有の財産である水産資源を守るため、MSC認証を取得し、持続可能で環境に配慮した漁業で獲られた天然のアラスカ産スケソウダラを使っている」と同担当者は話している。MSC認証とは通称「海のエコラベル」といわれるもので、水産資源と環境に配慮して適切に管理され、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証。ちなみに、世界の他国で販売されているフィレオフィッシュの中には、他の魚が使われることもあるようだ。
マクドナルドの公式HPの解説によれば、獲れたスケソウダラは鮮度を保つため、漁港に隣接した工場ですぐに加工されている。機械で3枚におろした後、専門のスタッフが切り身の両面にライトを当てて血合いや骨がないかをチェック・除去しているそうだ。さらにX線を使って細かい骨がないかまでチェックする入念さ。確かに、フィレオフィッシュを食べる時に骨が刺さらないか心配したことがなく、安心感がある。その後、切り身を丁寧に敷き詰めて箱詰めし、フィッシュブロックと呼ばれるブロック状にして冷凍。ここまで来たらアラスカからタイの工場へと運ばれ、見覚えのあるフィッシュポーションの形状にカット、衣とパン粉をつけて出荷される。もちろん、輸送時は厳しい温度管理の下で、だ。
出来上がったフィッシュポーションは工場でフライテストを行い、常に品質やおいしさをチェックしているそう。また、サクサク食感にするため、パン粉にクラッカー粉をブレンドしているとか。今度食べる時は、「アラスカで獲れたタラか…」「新鮮なうちに加工しているから臭みを感じないのか…」「パン粉とクラッカーか…」などと意識してみてはいかがだろうか。
参考元:マクドナルドのフィレオフィッシュ、使っている魚の正体【BCN+R】
※サムネイル画像(Image:Robson90 / Shutterstock.com)