近年流行するテイクアウト需要をきっかけに、盛り上がりを見せている回転寿司業界。人気アニメ「鬼滅の刃」とコラボレーションをしたり、完全非接触型店舗をオープンさせたりと、各社しのぎを削ってユーザーの獲得を目指していたが、2020年は初めて市場が縮小した年となっていたことが分かった。
上場4社のなかで業績が前年を上回ったのはスシローとくら寿司の2社のみ。外食不況の中で増収となっているのは企業努力のたまものと言えるだろう。また、寿司好きな日本人の異常性もうかがえる。今回はスシローとくら寿司の動向を探る。
スシロー、テイクアウトの強化で一人勝ち!?
帝国データバンクが行った2020年度の調査では、「回転寿司市場(事業者売上高ベース)」の売上高は7,200億円前後となり、前年度から約3%減少したことが分かった。2011年から順調に右肩上がりの成長を続け、売上高を伸ばしてきた回転寿司史上が初めて縮小に転じると予想されている。
最大手のスシローは2020年、いち早くテイクアウトシステムを導入し、ファミリー層を中心に客単価の高いユーザー層を囲い込むことに成功したという。子ども連れにとっても自宅でゆっくりと食事を楽しむことができるテイクアウトは魅力的だ。このテイクアウト作戦が功を奏し、20年度9月期には過去最高売り上げを記録した。さらにスシローは、「海鮮三崎港」「すし三崎丸」などを運営するテイクアウトに強い「京樽」とタッグを組み、ダブルブランドを展開している。7月7日には行徳店、市ヶ谷店、西船橋店、門前仲町店がオープン。テイクアウトの強化で、新規顧客の増加が見込まれる。
一方、くら寿司は、同年度10月期連結決算が減収、初の最終赤字を記録した。海外に多くの店舗を持つくら寿司だが、ロックダウンや日本人観光客が減ったことが売上の減少に影響しているようだ。アメリカではロサンゼルスを中心に10店舗以上を運営。台湾では2020年9月に台湾株式市場に上場し、3年以内50店舗を出店すると発表しているが、コロナ禍でグローバル戦略が吉と出るか凶とでるか…。くら寿司の新たな動向に注目が集まる。また、くら寿司といえば、さまざまな人気作品とのコラボレーションを楽しみにしている人も多いだろう。2020年度も鬼滅の刃とのコラボレーションが話題を呼び、集客に大きく貢献した。
「ビジネスジャーナル」の取材によれば、帝国データバンクデータソリューション企画部情報統括課副主任の飯島大介氏は、大手チェーンの動向について、「緊急事態宣言で売上高の前年同期比が7割減となる企業もあった」と語っている。時短営業や休業によるダメージは回転寿司業界でもかなり大きいようだ。
そんな外食不況でも前年度の業績を超えたスシローとくら寿司。日本人の寿司好きはまだ健在のようだが、大手チェーンの生き残りをかけた戦いが今後さらにヒートアップする予感。飽和状態の回転寿司業界で、一人勝ちを手にするのは果たして…。
参照元:回転寿司業界、初の市場縮小か…上場4社でスシロー&くら寿司が“勝ち組”の理由【Business Journal】
※サムネイル画像(Image:公式サイトより引用)