2020年から猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は世の中に大きな影響を与えている。複数回の緊急事態宣言の発令などもあり、外食産業などがかなりの打撃を受けてしまっていることは読者の方々もご存知のことだろう。そんな低調な外食産業だが、例外的に回転すし業界は上向き調子であることがたびたび伝えられている。
今回は、週刊FLASHが実施した外食産業各社の決算売上高の前年比(伸び率)と営業利益を抜き出し比較している記事をもとにしながら、回転すし業界の“勝ち組”“負け組”について考察していきたい。
唯一の伸び率がプラスとなったのはやっぱり(?)スシロー!
最も業績が好調だったのは「スシロー」「京樽」(FOOD & LIFE COMPANIES)。売上伸び率2.9%、営業利益120億6,100万円(決算期2020年9月)。回転すし業界のトップシェア・スシローが好調をキープしていた。数値は2020年9月期のものだが、2021年5月に発表した2020年10月~2021年3月の連結決算では、売り上げが10.1%増、営業利益は131億円で59.2%増(いずれも前年同期比)となっている。
この強さの理由について、「『スシロー』は、事前に注文・決済すると、店員と接触することなく商品を受け取れるシステムを導入し、売り上げを伸ばしています」と調達コンサルタントの坂口孝則氏は週刊FLASHの取材に対し語っている。
いち早くコロナ禍の顧客ニーズに応え、店内飲食だけにこだわらなかった潔い姿勢。そしてテイクアウトもただのお持ち帰りとせず、誰にも会わずに持ち帰りができる「その発想はなかった!」と思わずうなる、企業の柔軟かつ素早い対応力が評価と売り上げにつながった形だろう。
営業利益マイナス15億円!ダントツ最下位はかっぱ寿司
営業利益順での2位は「すし銚子丸」(銚子丸)。売上伸び率マイナス1.6%、営業利益6億300万円(決算期2021年5月)。3位は意外にも「くら寿司」(くら寿司)。売上伸び率マイナス0.2%、営業利益3億5,000万円(決算期2020年10月)。くら寿司といえば2020年、社会現象ともなったあの大人気アニメ鬼滅の刃とのコラボレーションキャンペーンが話題となった。その後も順調かと思いきや、今回の調査では3位という結果になった。4位は「元気寿司」「魚べい」(元気寿司)。売上伸び率マイナス11.9%、営業利益マイナス4億5,200万円(決算期2021年3月)。
そして最下位の5位となってしまったのは「かっぱ寿司」(カッパ・クリエイト)。売上伸び率マイナス13.3%、営業利益マイナス15億7,200万円(決算期2021年3月)という一人負け状態である。近年赤字が続いていたが、今回のコロナ禍でさらに傷口が広がってしまった。
しかも7月5日には、運営会社である「カッパ・クリエイト」の社長が他社チェーンの売り上げデータを不正に入手していた疑いで、告訴されたことが明るみに出たばかりである。ただこの調査結果を見ると、最下位独走中に見えるかっぱ寿司。他社チェーン店の売り上げを気にしているレベルではないように思うが…?
回転すしチェーンは今後も厳しい状況が続きそうだが、他社の真似事や二番煎じの方法ではその場しのぎにもならないだろう。ぜひ自社のアイデアで顧客をあっと驚かせて、正々堂々V字回復を狙ってもらいたいものである。
もちろん、「お寿司がおいしい!」この大前提も忘れずに。
参照元:「かっぱ寿司」が “一人負け” 状態…コロナ禍での「回転ずしチェーン」営業成績【Smart FLASH】
※サムネイル画像(Image:公式サイトより引用)