吉野家が約7年ぶりに牛丼の値上げを行った。輸入牛肉の価格高騰や原油高の影響で、「自社努力だけでは現在の価格を維持するのが困難」というのがその理由だ。普段あまり吉野家を利用しない、という人からすれば「39円なんて微々たる値上げでしょ」と思ってしまうかもしれないが、この39円がもたらす影響が実に大きいと、吉野家ファンはザワついている。しかしこの39円は、吉野家なりの庶民の財布を守るための数字だということに、いったいどれくらいの人が気づいているだろうか。
「ランチはワンコイン」吉野家が並盛の値上げを中途半端な39円にした理由はこれか?
まず、吉野家ユーザーは牛丼を単品で頼む人は少数派だろう。吉野家はお新香が絶品なことも有名で、「お新香食べたいがために吉野家へ行く」というお新香ファンも多いほど。味噌汁の人気も盤石だ。さらに牛丼の並をつゆだくにして、たまごも追加、という注文を「並たまごつゆだくで」なんて略称のようなオーダーをする吉野家ヘビーユーザーも多く、牛丼とたまごは大親友である。つまり、吉野家ユーザーにとっては、たまご、味噌汁、お新香あたりは「頼んで当然」のサイドメニューだと言えるだろう。そのなかでも、特にたまごは人気のサイドメニューである。
また、牛丼チェーン店はどこもそうだが、お手頃価格なことも人気の理由の一つ。「ランチはワンコインでおさめたい」という人の大いなる味方でもある。今回の値上げで、牛丼並盛は税込み387円から426円に値上げされたが、サイドメニューのたまごは税込み74円。そのため、吉野家としては並盛426円とたまご74円で税込み500円。
つまり、並とたまごで「ギリギリワンコイン」で踏みとどまることができる値上げ枠にした、ということではないだろうか。
「松屋も値上げだけど吉牛より安い」「280円の時代もあったのになあ」と吉牛ファンは嘆きの声
同じく牛丼チェーンの松屋は、なんと「牛めし」を吉野家の39円値上げを大きく上回る60円もの値上げに踏み切っている!……が、こちらは値上げしても税込み380円、しかも店内飲食の場合はデフォルトで味噌汁つき。さらに主に関東地方で提供してきた「プレミアム牛めし」のタレがマイナーチェンジし、全国統一メニューの「牛めし」として生まれ変わった。この380円というのは、値上げ前のプレミアム牛めしの値段と同じのため、ネットでは「吉野家に比べて、松屋は値上げ前の320円が安すぎた」という好意的な意見も。もちろん松屋の値上げにも「プレミアム牛めしも、ちょっと前からチルド牛肉じゃなくなっていたからプレミアム感はなかったよね」と賛否両論はあるものの、同じ値上げでもだいぶ印象が違う。これは「松屋、うまくやったな」という印象だ。
吉野家の並が400円オーバーになったことはもちろんショックだが、「大親友のたまごをつけてもワンコイン」を死守してくれた吉野家の企業努力を、私たちは大いに評価すべきなのかもしれない。
参照元:並盛39円アップ 吉野家10%近くの牛丼値上げ「ショック」「並400円超えって」SNS嘆きあふれる【中スポ】
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