居酒屋チェーンでのワタミが、今度は寿司に参入するらしい。12月9日、ワタミは新ブランドとなる「寿司と大山どりのお店 すしの和」を東京都内にオープンした。コロナ禍であらゆる飲食業界は大打撃を受けているが、特にワタミが主力とする居酒屋はその打撃も最たるものといっても過言ではない。
しかしこのワタミが展開しようとしている寿司店、なんだかいろいろ「?」なのである。
なぜか寿司店ではなく「寿司と焼き鳥の店」。メインターゲットはファミリーだというが……
ワタミによると「『すしの和』はウィズコロナ時代の外食ニーズに対応した目的来店業態と位置付けており、居酒屋からの業態転換を進めていきます」とのことだが、なぜかすしの和のウリのメニュー2本柱が、なんと寿司と焼き鳥。確かにどちらも人気のある和食メニューで、すしの和がメインターゲットとするファミリーには、ウケの良いメニューといえるだろう。
しかし寿司と焼き鳥とは合わなくはないが、チャーハン&ラーメンのような大親友というイメージまではないため、ここでまず若干戸惑う。職人が仕上げる寿司1貫が税込み96円からとリーズナブルさもある。
しかし、ファミリー、特に子どもたちは回転寿司が好きだが、レーンから、“自分の好きなネタがいつ流れてくるかワクワクしながら待つ”という、いわばエンターテインメント性のあるシステムにも魅力を感じている。回らずに注文して運ばれてくるだけの寿司にどれだけ食いつくかは未知数だ。
そして、完全にファミリーに絞ったわけではなく、会社員や友達同士の利用も見込んでいるという。この時点で、結構なブレを感じるのは筆者だけだろうか。
このニュースにネット上では「見た感じは美味しそう」「ワタミはホントに事業の打ち出し方がうまいよなぁ、景気の経済指標の発表日にあてるという、偶然とは思えないタイミング」「他店とどう差別化していくか注目」というポジティブな意見もあるが、ほとんどは厳しい声だ。「ここもワタミがやっている店だと覚えておこう」「これだったら回転寿司に行くなあ」「居酒屋ワタミの刺身の質を考えたら、寿司を食べに行こうと思えない」など散々。そして、ワタミの過去の数々の不祥事と“ブラック”な企業イメージから「衛生面は大丈夫?」「いっそブラックラーメンの店にしたら」などの皮肉も多い。
ネットでオーダーして店員と接触することなくテイクアウトできるシステムが大ヒットするなど、各種回転寿司チェーンが既に人気を確立している。寿司業界への参入も今さら感が否めないが、ワタミも厳しい状況が続く居酒屋事業を企業の軸に据えたまま、手をこまぬいているわけにもいかず、生き残りに必死なのだろう。“ワタミブランド”の回らない寿司がどこまで追い上げられるのか。
ブレブレ感半端ない&ネガティブな評判と、いきなり逆境からのスタートとなったすしの和。まだまだ続きそうなコロナ禍だが、ウィズコロナの外食産業の新しいあり方として今後の大逆転はあるのだろうか、その行方に注目である。
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参照元:居酒屋で苦戦するワタミが「寿司」に初参入 逆転の一手となるか?【ITmedia ビジネスオンライン】
※サムネイル画像は(「写真AC」より引用)