楽天モバイルは自社回線(4G)の人口カバー率が、2022年2月4日に96%に到達したと発表した。もちろん、楽天モバイルのエリア外ではパートナー回線(au)にローミングされるようになっているが、それでもなお、SNS上では今でも「楽天モバイルがつながらない」という声は多い。そこで今回は、どうして今でも楽天モバイルがつながりにくいのか、その理由を解説しよう。
人口カバー率「96%」のカラクリとは!?
楽天モバイルは、楽天回線(4G)エリアの人口カバー率が2022年2月4日に96%に到達したことを発表した。
これは2026年3月末(2025年度末)に予定していた「人口カバー率96%の到達」を約4年も前倒しして達成したことになる。
とはいえ、SNS上では今でも「楽天モバイルがつながらない」という意見もよく目にする。もしかすると、残り4%の楽天モバイルエリア外の人が騒いでいるだけなのだろうか?
そもそも「人口カバー率」とは、“人が生活している範囲での通信可能エリア”のことであって、人が住んでいない山間部などは含まれない。先行するNTTドコモやauは人口カバー率が99.9%に達しており、日本国内ではほとんどの場所で4G回線に接続できるのだ。
つまり、楽天モバイルの96%は人口カバー率としてはまだまだの水準であり、やはり99%以上にならないと電波のつながりにくさは、なかなか解消できないのである。
au回線のローミング打ち切り!
2019年10月から試験サービスを開始し、2020年4月から本格的にスタートした楽天モバイル。だが、キャリアとしては最後発であるため、エリア外の地域ではパートナー回線(au)のローミング接続でカバーしている。
そもそも、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」プランは段階制になっており、1GB以下は無料、20GB超(無制限)でも月額3,278円と格安なのだが、パートナー回線は月5GBまでしか高速回線を使えないことになっている。
もし、自分の住んでいる地域で楽天回線がつながらないとパートナー回線で接続され、データ容量上限5GBとなり、5GBを超えると1Mbpsの低速度になってしまうのだ。
ところが、2021年10月に楽天モバイルはかなりの地域でauのローミングを打ち切っている。詳しくは→こちらで確認してほしいが、その影響で大都市圏でも、楽天回線もau回線もどちらもつながりにくいエリアがスポット的に出ていることも考えられるだろう。
楽天モバイルは「プラチナバンド」がないのも痛い!
楽天モバイルがつながりにくい原因として、もうひとつ考えられるのが、いわゆる「プラチナバンド」を持っていないことであろう。
携帯電話の電波にはさまざまな周波数帯が使われているが、そのなかでも、700~900MHzの周波数帯は「プラチナバンド」と呼ばれており、障害物に強く室内や遠方まで届くという特性を持っている。
しかし、楽天モバイルの4G回線は1.7GHzのみので、どうしても、高層ビルの多い都市や山間部でつながりにくい。そこで、ローミング先のauには膨大な使用料を支払って800MHzのプラチナバンドを借りているのである。
もちろん、先行する3社はプラチナバンドを含め複数の周波数帯を多数割り当てられているため、楽天モバイルは総務省に対してプラチナバンドの割り当てを要請しているが、すぐに解決できる状況ではないようだ。
まとめ
いかがだろうか? 楽天モバイルが人口カバー率96%でも、つながりにくい理由が何となくお分かりいただけたと思う。
しかし、思い出してほしい。以前はソフトバンクもつながりにくいと言われ続けていたが、2012年に900MHzのプラチナバンドを割り当てられてからは、そのような話はまったく聞かれなくなった。
今後、楽天モバイルの人口カバー率が99%に近づき、プラチナバンドが割り当てられれば、先行する3社と肩を並べる第4のキャリアとして誰もが認めることになるだろう。
●楽天モバイル「サービスエリア」(公式)→こちら
●楽天モバイル「楽天モバイル、楽天回線エリアの4G人口カバー率が96%に到達」(公式)→こちら
●NTTドコモ「サービスエリアマップ」(公式)→こちら
●総務省「楽天モバイル株式会社提出資料」(PDF)→こちら