ここ数年、急激に増加している「フィッシング詐欺」。フィッシング対策協議会の発表するデータによれば、2018年の1月に同会に寄せられたフィッシング報告件数(海外含む)は月間878件だったが、2020年頃から急増し2022年1月には50,615 件となっているという。わずか4年で50倍以上に膨れ上がっているのだ。さらに同会では現在、携帯キャリアという身近なサービスをかたるフィッシング詐欺が増えているとしてさらなる警鐘を鳴らしている。
今回は、現在続発しているというフィッシング詐欺の内容についてお伝えしていきたい。
業界からも緊急で注意喚起されるほど続発するフィッシング詐欺とは
フィッシング対策協議会は2月10日、「NTTドコモをかたるフィッシング」と題した緊急情報を発表。「NTTドコモをかたりフィッシングサイトへ誘導するショートメッセージ (SMS) の報告が増えています」と、最新のフィッシング詐欺の動向を報告した。
また、「2022/02/10 13:00 時点では、フィッシングサイトは稼働中」だと伝え、外部と連携しながらこのフィッシングサイトの閉鎖へ向けて動いているものの、「類似のフィッシングサイトが公開される可能性がありますので、 引き続きご注意ください」とも発言。消されても懲りないフィッシングサイト側が、新たなサイトを立ち上げて悪事を続ける可能性にも言及した。
細部まで“本物っぽい”偽サイト、親世代は引っかかってしまうかも?
フィッシング対策協議会が示しているSMS文面の例によれば、「【利用停止予告】ドコモ未払い料金お支払いのお願い。」といったコメントとともにURLが添付されているという。リンク先はドコモの公式サイトを模したフィッシングサイトとなっており、dアカウントやパスワードを入力させたうえ、電子マネー(Vプリカ)の発行コードを入力させるという。「支払い方法」で「コンビニ」「ネットバンキング」も表示させたうえで、「メンテナンスに伴うサービス一時停止となります」と取消線を引いて選択できなくしているあたり芸が細かい、と驚きを禁じ得ない。
サイトをここまで精巧に作られてしまうと、少なくともこのサイトを見て「フィッシング詐欺だ」と気づける人はそう多くないだろう。ましてやSMSに書かれた「【利用停止予告】」を信じてURLをクリックしてしまった人であれば、「早く支払わなきゃ」という思いもあって冷静に考えることは難しいはずだ。
とくにデジタルにあまり明るくない高齢の世代ほど、うっかり引っかかってしまう可能性も高まってくる。読者のみなさんも、「引っかからないようにしよう」と自衛の意識を高めるだけでなく、ご両親や親族にも「そういうメールが来たら、まずは自分に連絡して」など日頃から対策しておいても損はないかもしれない。
●NTTドコモをかたるフィッシング (2022/02/10)【フィッシング対策協議会】