最近、総務省が5Gの人口カバー率を2023年度末までに95%とする目標を掲げるなど、「電波が届いているか」というポイントが広く語られている。しかし、ユーザーにとってみれば「届いている・届いていない」以上に、届いていたとして「実際にどれだけの速度で通信ができるのか」という部分も無視できない要素だ。
今回は、ドコモが実施した全国1,500地点における、AndroidスマホとiPhoneによる「実効速度」の測定結果についてお伝えしていきたい。
ドコモ、全国1,500地点で計測した実効速度を公開
ドコモは自社サイト内で、全国10都市(札幌市・青森市・秋田市・宇都宮市・東京23区・新潟市・浜松市・神戸市・広島市・佐賀市)1,500地点で計測した、ドコモ回線(LTE)の実効速度の測定結果を公開している。
実効速度とは、一般的な利用環境で計測された通信速度を示すもので、調査は2022年の1月から3月にかけて1地点で3回「下り速度」と「上り速度」を計測し、平均値をその地点の結果としている。iPhone代表は「iPhone 12 Pro」、Androidスマホ代表はシャープのAQUOS R3「SH-04L」を用いて測定している。
その結果、iPhoneの実効速度は下り「137Mbps~261Mbps」、上り「20Mbps~38Mbps」、Androidスマホでは下り「137Mbps~273Mbps」、上り「17Mbps~39Mbps」という結果になったことが報告された。
これは計測された数値の中央値に近い半数(25%値と75%値)をまとめたもので、突出したよい数値、悪い数値に左右されない強みも持っている。突出した数値などでは、iPhoneは下りの最大値「348 Mbps」中央値「205 Mbps」最小値「1 Mbps」、Androidスマホでは下り最大値「432 Mbps」中央値「215 Mbps」最小値「5 Mbps」が記録されている。
速度だけで見れば、Androidスマホに軍配か
測定結果を見ると、下りも上りも若干ではあるがAndroidスマホのほうが速いことがわかる。
一方で、秋田市の港町にほど近い「秋田県秋田市土崎港中央」で、405Mbpsと好記録をたたき出したり、逆に屈指の繁華街である渋谷から徒歩でも行ける「東京都渋谷区神泉町」で64Mbpsと低調に終わったりと、一概に「都市部はどこでも速い」とは限らないこともあらためて証明されたのだった。
ちなみに下りの最大値「432 Mbps」を記録したのは「東京都千代田区神田須田町1丁目付近」で、「電気街」で知られる秋葉原駅からすぐの場所だった。基地局の位置やビルなどの遮へい物の有無などが複雑に絡み合った結果、神田須田町のような劇的に速い地点や、神泉町のように“電波のエアポケット”とも呼べる地点が生まれるのかもしれない。
今回の調査でわかったのは、「全体的に見ればiPhoneよりもAndroidスマホのほうが速そうだ」ということだろう。もしiPhoneを使っているドコモユーザーで、通信速度に不満を持っている人がいたならば、一度Androidスマホに持ち替えてみてはいかがだろうか。もしかすると、新たな発見があるかもしれない。
出典元:実効速度計測結果【NTTドコモ】
※サムネイル画像(Image:Mr.Mikla / Shutterstock.com)