日本では非常に人気の高いiPhone。なかでも「iPhone SE3(第3世代)」と「iPhone 12 mini」は、どちらも片手で持てる小型iPhoneで価格帯も近いので、どちらにすればいいか悩んでいる人も多いと思う。そこで今回はこの2機種の基本性能を8つの項目で比較して、どちらを買えばいいのか比較検討してみたいと思う。
Apple Storeで買える小型で安価なiPhoneは「SE3」と「12 mini」
2022年5月、MMD研究所が実施した「スマートフォンOSシェア調査」によると、スマホのiPhone利用率は44.1%であり、相変わらずiPhoneの人気が高いことが分かる。
●MMD研究所「2022年5月スマートフォンOSシェア調査」→こちら
この調査ではほかにも面白いことが分かる。実はメインで使っているiPhoneのランキングでは、「iPhone SE2(第2世代)」が17.6%で1位、「iPhone 8」が10.4%で2位を獲得しているのだ。
iPhone SE2(第2世代)は2020年発売、iPhone 8にいたっては2017年発売の古い機種だが、現在は中古でかなり安く買えるため、とりあえず安価で小型のiPhoneが欲しいという人が購入しているのだろう。
だが、なかにはそんな古くさい中古のiPhoneはイヤだという人もいるはず。現在、Apple Storeで買えるiPhoneのなかで、小型でリーズナブルな機種といえば、「iPhone SE3(第3世代)」と「iPhone 12 mini」の2モデルがある。
ホームボタンを備えたクラシカルなiPhone SE3(第3世代)と、ノッチのある新しいデザインの「iPhone 12 mini」はどちらも同じような性能で、価格差は1万1,000円〜1万2,000円ほど。果たしてどちらを選べばいいのだろうか?
そこで今回は「iPhone SE3(第3世代)」と「iPhone 12 mini」を8つの項目で比較して、どちらがコスパに優れたモデルなのか? 自分に合ったモデルはどちらなのか比較検討してみよう。
●iPhone SE3(第3世代)→こちら
●iPhone 12 mini→こちら
■iPhone SE 3とiPhone 12 miniの性能比較
性能 | iPhone SE 3 | iPhone 12 mini |
CPU | A15 Bionicチップ | A14 Bionicチップ |
ストレージ | 64GB/128GB/256GB | 64GB/128GB/256GB |
ディスプレイサイズ | 4.7インチ(Retina HD) | 5.4インチ(Super Retine XDR) |
ディスプレイ解像度 | 1,334 x 750ピクセル解像度(326ppi) | 2,340 x 1,080ピクセル解像度(476ppi) |
ディスプレパネル | ワイドスクリーンLCD(IPS液晶) | オールスクリーンOLED(有機EL) |
本体サイズ | 138.4×67.3×7.3mm | 131.5×64.2×7.4mm |
本体重量 | 144g | 133g |
セキュリティ | Touch ID | Face ID |
アウトカメラ | シングル12MP | デュアル12MP |
広角 | 広角/超広角 | |
光学なし/デジタル5倍 | 光学2倍/デジタル5倍 | |
インカメラ | 7MP | 12MP |
高速5G | 2×2 MIMO対応5G(sub-6 GHz) | 4×4 MIMO対応5G(sub-6 GHz) |
耐水性能 | IP67等級(水深1mで最大30分) | IP68等級(水深6mで最大30分) |
SIM | デュアルSIM(nano-SIMとeSIM)+デュアルeSIMに対応 | デュアルSIM(nano-SIMとeSIM)1 |
バッテリー | 2,018mAh | 2,227mAh |
充電 | Qiワイヤレス充電 | MagSafeおよびQiワイヤレス充電 |
価格(64GB) | 5万7,800円 | 6万9,800円 |
価格(128GB) | 6万3,800円 | 7万5,800円 |
価格(256GB) | 7万6,800円 | 8万7,800円 |
本体カラー | ミッドナイト/スターライト/RED | RED/ブラック/ホワイト/ブルー/パープル/グリーン |
iPhone SE3とiPhone 12 miniの基本性能を比較してみた。どの項目を重視するかで選択肢は変わるので、よく確認してみよう(表はApple公式サイトを元に編集部で作成)
iPhone SE3とiPhone 12 miniを8項目で比較
【1】本体価格
MMD研究所の調査結果からも分かるように、iPhoneは欲しいが価格が10万円を超えるような高いモデルはちょっと……という人が多いようだ。
その点、iPhone SE3とiPhone 12 miniなら、iPhoneのなかでは6万〜8万円程度とリーズナブルな価格帯になっている。
とはいえ、iPhone SE3の64GBモデルは5万7,800円なのに対して、iPhone 12 miniの64GBモデルは6万9,800円なので1万2,000円ほどの差があるのは見逃せない。
“できるだけリーズナブルで!”ということなら、やはりiPhone SE3のほうがオススメとなるだろう。たとえば、iPhone SE3の128GBはiPhone 12 miniの64GBモデルよりも安く済むのである。
■iPhone SE 3とiPhone 12 miniの価格
価格 | iPhone SE 3 | iPhone 12 mini |
64GB | 5万7,800円 | 6万9,800円 |
128GB | 6万3,800円 | 7万5,800円 |
256GB | 7万6,800円 | 8万7,800円 |
iPhone SE3とiPhone 12 miniの64GB、128GBモデルは1万2,000円、256GBでは1万1,000円ほどの価格差がある。これは結構気になるポイントだろう(表はApple公式サイトを元に編集部で作成)
【2】基本性能
どんなものでも安かろう悪かろうでは意味がない。しかし、iPhone SE3とiPhone 12 miniに限って言えば、1万円以上安いiPhone SE3のほうがiPhone 12 miniより安いのに基本性能は上なのである。
その理由は、iPhone SE3が最新の高性能モデルPhone 13シリーズと同じCPU「A15 Bionic」を採用していることにある。iPhone 12 miniは一世代前のA14 Bionicが搭載されているのだ。
「じゃあ、もう安くて高性能なiPhone SE3で決まりじゃん!」と思う人も多いだろうが、現実はそんなに単純ではない。
実際にこの2つのモデルを操作して、CPUの性能差を体感できるかと言えばそのようなことはなく、ほとんどの人は気にならないレベルだろう。したがって、CPU性能だけでモデルを決めてしまうのは早計である。
【3】ディスプレイ
スマホを日常的に使ううえで、むしろCPU性能より気になるのがディスプレイのキレイさだ。
iPhone SE3では4.7インチのLCD(IPS液晶)ディスプレイが採用されているのに対し、iPhone 12 miniでは5.4インチのOLED(有機EL)ディスプレイが搭載されている。
このディスプレイの違いは実際に現物で比較してみないと分からないだろうが、一般的に液晶より有機ELのほうが発色がよく省エネでもある。しかも、iPhone SE3の解像度は1,334×750ピクセルで画素密度は326ppiしかない。
これに対しiPhone 12 miniは、2,340×1080ピクセルで画素密度も450ppi以上となっており、圧倒的に高画質なのだ。
毎日目にするディスプレイなので、この差は案外見逃せないはず。もちろん、感じ方は人それぞれなので、実際に自分の目で比較してみてほしい。
【4】カメラ性能
今や写真は、スマホのカメラで撮影するのが当たり前になっている。最近はデジカメに負けないほどスマホのカメラが高性能になっており、そのなかでも、とくにiPhoneのカメラは美しい写真が撮れると評判だ。
もし、日常的に撮影した写真をSNSなどに投稿しているようなら、iPhone 12 miniのほうがオススメ。iPhone 12 miniは、12MPの広角カメラと超広角カメラのデュアルカメラが採用されている。
これに対し、iPhone SE3は、12MPの広角カメラのみで、見た目も古臭い感じがする。それでもiPhoneならではの映像処理で、安価なAndroidスマホよりは美しい写真が撮れるが……。
自撮り用のインカメラも、iPhone 12 miniでは12MPとなっているのに対し、iPhone SE3は7MPとなっているので、SNSで自撮りすることが多い人にも、やはりiPhone 12 miniのほうがオススメになる。
【5】セキュリティ(ロック解除方法)
最近のiPhoneはホームボタンがなく、同じボディサイズでもディスプレイが広く取れるようになっている。
iPhone 12 miniはホームボタンがないため、セキュリティ(ロック解除)は指紋認証の「Touch ID」も廃止され、代わりに顔認証の「Face ID」が採用されているのだ。
一時期、コロナ禍でマスクを装着しているとFace IDが使えず不満が出ていたが、今ではマスクを着けていても顔をしっかり認識できるようになっている。
古くからのiPhoneユーザーはホームボタンがなく、Touch IDが利用できないiPhone 12 miniを敬遠するかもしれないが、慣れてしまえばFace IDのほうがロック解除は圧倒的に楽だ。
もちろん、ホームボタンのありなし、Face IDかTouch IDかについては各自の好みの問題なので、好きなほうを選んでいいだろう。
【6】バッテリー性能
24時間356日使用するスマホではバッテリーの持ちも気になるところ。Appleではバッテリー容量を公表していないが、iPhone SE3は2,018mAhバッテリーを、iPhone 12 miniでは2,227mAhバッテリーを採用していると言われている。
バッテリー容量だけで比較すればiPhone 12 miniのほうが10%ほど多いが、iPhone SE3では省エネ性能に優れるA15 Bionicチップを搭載しているので、iPhone SE2(第2世代)より平均1時間ほどバッテリーが持つようになっている。
一方、iPhone 12 miniにはA14 Bionicチップが採用されているものの、省エネのOLED(有機EL)を採用しているため相殺され、結果的にiPhone SE3より1時間ほど長くバッテリーが持つそうだ。
もちろん、スマホの使い方次第でバッテリーの消費量は異なるため、どちらを選んでも体感できるほどの差はないだろう。
なお、iPhone 12 miniはQiワイヤレス充電に加え、マグネットを利用した「MagSafe」にも対応していることも重要なポイント。
【7】デザイン&カラー
やはり毎日持ち歩くスマホだけに、スマホのデザインやカラーは気になるところ。
そもそも、iPhone SE3はiPhone 8のデザインがそのまま引き継がれているうえに、カメラもシングルでいかにも古いイメージだ。カメラ部分を見られただけで「安っすいiPhone使ってるな!」と思われてしまうだろう。
これに対し、iPhone 12 miniは高性能な最新モデルiPhone 13 Proなどと同じデザイン。表面はホームボタンがなくノッチが採用されているほか、裏面もデュアルカメラなので人に見られても大丈夫だ。
Apple製品が好きな人はそのデザイン性にも惹かれている人も多いと思うので、最新デザインのiPhone 12 miniのほうが恥ずかしい思いをしなくて済むだろう。
また、カラーに関してもiPhone SE3は黒、白、赤の3色しか選べないが、iPhone 12 miniなら基本3色に加え紫、緑、青も選択できるようになっている。
【8】高速5Gへの対応
最後にチェックしたいのが高速5G回線への対応だ。「5G」とは“第5世代(Generation)の通信規格”という意味で、従来の4G(第4世代)よりも格段に高速で遅延が少ないのが特徴。
5Gで利用されている周波数は「Sub-6」と「ミリ波」の2種類があり、現在スマホでは、4Gの技術を転用できる「Sub-6」が採用されていることが多い。詳しく知りたい人はこちらの記事で確認してほしい。
iPhone 12 miniとiPhone SE3の5Gはどちらも「Sub-6」に対応しているが、よく調べてみるとiPhone 12 miniが「4×4 MIMO」なのに対し、iPhone SE3は「2×2 MIMO」となっている。
「MIMO」とは複数のアンテナを使ってデータ送受信を大容量かつ高速化する技術のこと。当然「2×2」より「4×4」のほうが理論上は高速になる。したがって、5Gの実効速度ではiPhone 12 miniのほうが高速でネット接続できる可能性が高い。
大都市圏では徐々に5Gエリアも広がっているので、ネット速度を重視するならiPhone 12 miniのほうが、将来後悔せずに済むかもしれない。
まとめ
いかがだろうか? iPhone SE3はApple Storeで買えるもっとも安価なモデルなのに、最新の「A15 Bionic」を搭載しているのが最大の魅力だ。
しかし、それは本体デザインやディスプレイ、カメラ性能、5G対応チップなどを犠牲にして実現されていることがお分かりいただけるだろう。
もし、予算的に1万円以上多く払える余裕があるなら、CPUが一世代前であっても、デザインやディスプレイ、カメラ性能に優れるiPhone 12 miniのほうが満足感は高いと思う。
とくに、学校や会社で周りの人の目が気になる人なら、デザイン的に新しいiPhone 12 miniにしておいたほうが長く使えると思うが、いかがだろうか?
※サムネイル画像(Image:apple.com)