EU圏内で、スマートフォンやタブレットなどの電子機器の充電器端子に対する規制を行なう方針が示された。特に大きな影響を受けるのはiPhoneやiPadなどを手掛けるアップルだが、これまで報じられてきたリーク情報からは、企業としてまったくの「寝耳に水」というわけでもなさそうなようすが察せられている。
EUの充電端子統一化、反発していたアップル
6月7日、EUの加盟国と欧州議会(European Parliament)が10年以上にわたって推進してきた充電器端子の統一化がついに合意に至った。新たに施行される法案により、充電器のコネクタはすべて「USB-C」に統一。EU圏内で販売されるスマホやタブレット、デジタルカメラやイヤホン、携帯型ゲーム機など充電して使用するさまざまなデバイスに適用される。今後、正式な承認を経て2024年秋に施行となる予定であり、メーカーには2年間の準備期間が与えられたかたちとなる。
USB-Cの採用率が比較的高いAndroid端末への影響に比べると、iPhoneやiPadへの影響は大きい。これまでアップルはUSB-C規格から意識的に外れて、独自のLightning端子を使った充電器を採用してきたが、多くの製品を今後USB-Cに変えていかねばならないからだ。そのため規制化には強く反発していたアップルだが、水面下では統一は避けられないものと予測していたのだろう。2023年秋に発売される見込みの「iPhone 15(仮称)」シリーズのリーク情報では「USB-Cが搭載される」といった内容のものも少なくない。
複数の予測やリーク情報によると、2023年に発売予定とされるiPhone 15シリーズでは一部の機種で早くもUSB-C端子の充電器が採用されるという。
さらに端子の統一化が合意に至った同日、LeaksApplePro氏(@LeaksApplePro)が新たに出した予測では、まずは「iPhone 15 Pro(仮称)」がUSB-C端子に移行するという詳細な情報も。2024年に発売されるであろう「iPhone 16(仮称)」シリーズではベースモデルを含めたシリーズすべてがUSB-C端子に完全移行しつつ「iPhone 16 Pro(仮称)」に至ってはポートレスになる可能性もあるとしている。これはEUが義務化を提示した2024年秋までという期限とぴったり一致する。
実はEUの働きかけは今に始まったことではなく、2009年にはアップルを含む携帯電話会社14社による充電器端子の統一化に関する覚書への署名が行われていた。しかし2012年に失効し、その後も企業による自主的な実現化は望めないと踏んだEUが今回の法整備に乗り出したという経緯がある。
独自規格のLightning端子を捨てなければならないアップルにとっては決して喜ばしいことではないが、実際のところは「想定内」という印象なのかもしれない。
引用元:Lightning is coming to an end.【LeaksApplePro(@LeaksApplePro)】
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