楽天モバイルが“悲願”達成にむけて強くアピールしている。その“悲願”とは、「プラチナバンドの獲得」に他ならない。現在はドコモ・au・ソフトバンクの既存3大キャリアが独占しているプラチナバンドを再割当てすべきだ、という主張は、かねて楽天モバイルが行っている。
はたして“悲願”は実現することになるのだろうか…?
楽天モバイル、プラチナバンドの割当てを再度要望
楽天モバイルは8月30日、総務省の開催した「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第10回)」の懇談会に参加した。同会では楽天モバイルをはじめとしたキャリア4社のほか、電波政策の有識者が集まり「携帯電話用周波数の再割当て」などについて議論を交わしている。
この場で楽天モバイルは、「つながりやすい」とされる700MHz~900MHz帯のいわゆるプラチナバンドの公正な割当てを求めている。現状では既存キャリア3社が独占し、楽天モバイルがプラチナバンドを利用できておらず不利を被っているとして、早急な再割当ての必要性をアピールした。
加えて、プラチナバンドを取得した後は、同帯域を使い「日本の再興に向けた将来のネットワーク環境及びカバレッジを作っていく」活用方針を表明。将来的には「世界トップレベルの通信環境」の構築を目指していくという。
さらに楽天モバイルは、他社に先駆けて取り組んでいる「スペースモバイル計画」にも言及。低軌道衛星を利用して宇宙から地上のユーザーに向けた電波を発信することで日本全土100%のエリアカバーを行い、災害時などにも強い通信環境の整備にもプラチナバンドの利活用を積極的に検討していくと説明し、あらためて再割当て実現への意欲を示した。
楽天モバイルが自身の発表で「『つながりやすさ』で他社より不利な状況」「他社レベルのカバレッジ(人口カバー率)を実現するには、プラチナバンドが必須」とも語っているように、楽天モバイルは他キャリアと比べて“つながりにくい”という評価を受けることが多い。
SNS上でも「今日も楽天モバイルは恐ろしいくらい電波が悪い」「家にいたら、めっちゃ電波が悪いんやけど」「屋内、地下がまじでつながらない」など不満の声がたびたび噴出している。だからこそ、屋内にも浸透しやすいとされるプラチナバンドの有無が非常に重要になってくる、とも言えそうだ。
仮に今後、楽天モバイルの“悲願”が叶ってプラチナバンドを獲得した場合、屋内や地下での通信の改善も期待される。7月に断行した“0円廃止”で一時的に競争力を失っていた楽天モバイルの新たな武器となることは間違いない。
しかし一方で、楽天モバイルは発表の中で「再割当ての移行費用は『既存免許人(既存キャリア)が負担するのが妥当』」とも主張している。つまり3キャリアにとっては「プラチナバンドの一部を失い、お金も払わされる」という二重のダメージを受けてしまう。いくら公正な競争が必要であるとしても、このプランを丸々飲むことは容易ではなく、今後さらに議論が白熱する可能性を秘めている。
はたしてプラチナバンド論争はどのような決着を見るのだろうか。今後も注目していきたい。
出典元:携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第10回)【総務省】