「iPhoneの最新機種は毎年詳しくチェックしている」という人は世の中にどれくらいいるのだろうか。「最新機種は高いし、ある程度の機能さえ揃っていれば安い過去機種でいいかな」という人も少なくないはずだ。そんな「最新機種興味ない勢」すらも取り込みかねない試みをAppleが行っていることをお伝えしていきたい。
Appleによる“おもしろ和訳”たち
2022年9月8日に発表された「iPhone 14」シリーズ。例年同様、世間はiPhone 14の話題で持ちきりだ。そしてその中でiPhone 新モデルについてではなく、「最新シリーズのiPhoneを紹介するAppleのサイト」がやはりまた面白いことになっていると聞き、早速見に行った。
iPhone 14とiPhone 14 Plusを並べて「ビッグと超ビッグ」、耐水性能については「水に濡れても涼しい顔」、さらに明るくなったディスプレイに対して「あっぱれ」の一言、と、アピールポイントの和訳がとにかくおもしろい。一体誰が考えているのだろうか。そしてどのような意図があるのだろうかと興味をそそられた。
Appleの狙いが的中?
他にも「すべての黒幕はA16」「この美しさはやわじゃない」「見とれるほど美しく」などもあり、とても“日本人的”な言い回しは特に気になった。先程挙げた「水に濡れても涼しい顔」もそうだ。
例えば、和訳で「黒幕」となっている英語サイトでの表記は「mastermind」。「mastermind」は英和辞典などでは「首謀者」と書かれていることが多い。しかし、「首謀者」よりは「黒幕」のほうが日本人の耳には馴染んでいる、とは感じないだろうか。
もっとわかりやすいのはやはり「あっぱれ」だろう。元の英単語は「brilliant」。「brilliant」には「燦然と輝く」という使われ方もあれば、「素晴らしい」という使われ方もある。そして、「あっぱれ」は漢字で書くと「天晴れ」であり、太陽が輝く様子も、お見事だという意味もどちらもカバーしている。おまけにバツグンの“日本感”。
他国の言語からこんな気の利いた日本語訳を引き出すのは意訳に近い、とも言える。洒落ているなあ、という印象だ。かと思えば、「ビッグと超ビッグ」や「見るからに大きい」、「プロを超えたプロ」はクスリとしてしまうお茶目さがある。くだけた表現の方が馴染みやすい若い世代にも対応している。今や小中学生も携帯電話を持つ時代。幅広い層の顧客を獲得したいApple側としての戦略だろうか。
筆者としては、純粋に楽しんでサイトを閲覧することができて好印象だった。これはもしかして、まんまとAppleの策略にハマってしまったのか?確かに、iPhoneの最新機種に興味のない層にアプローチするには、話題作りは重要だ。「新しくどんな機能が搭載された」という情報が、いくら魅力的なものだったとしても、まず知ってもらわないことにはアピールにすらなれない。インパクトのある和訳を用い、SNSでバズり、それを見た人たちがAppleのサイトに訪れる。和訳含め、訪れた人を飽きさせない仕掛けがサイトには盛りだくさん。さすがは人々を何年も飽きさせることなくここまで来たAppleだ。うーん、Apple、「あっぱれ」。
引用元:【Apple】
※サムネイル画像は(Image:「Apple」公式サイトより引用)