2022年6月から取り沙汰されていた、欧州での「電子機器の充電端子をUSB Type-Cに統一」という議題。当時も大いに話題を呼んだものだが、この議題についに大きな動きが見られた。さて、気になる行方は? どのようなデバイスが対象なのか? なぜ、そのような取り組みが始動したのか? という点まで、一挙にお届けしていこう。
「USB Type-C」に一本化する法律、ついに承認
公式のツイートだが、やたらポップなGIFが載っている。かわいい
10月4日、欧州連合(EU)欧州議会は、EU市場で販売される電子機器の充電用端子を、2024年末までに「USB Type-C」に一本化する法律を承認した。対象には、もちろんスマートフォンも含まれる。となると気になってくるのはやはり、Lightning(ライトニング)端子を使用している「iPhone」の存在。
「USB Type-C」がEU標準となるこの規則によって、Appleは iPhoneやAirPodsなどの充電ポートの変更を余儀なくされる。もちろん、Appleは大きな影響を受けると思われるが、これまで「わざわざ、Lightningケーブルを持つのが面倒なので、iPhoneは購入しない」という選択をしていた層が、ケーブルがすべて統一されるならばと、iPhoneに手を出すということも予測できる。つまり、Appleにとっての追い風となる可能性も大いにあるのだ。
対象は? EU側の思惑は?
電子機器、と一口に言っても具体的にどのようなものが対象となるのか? という点だが、現在、わかっている対象は「有線ケーブルで充電でき、最大100Wの電力供給で動作する」デバイスのようだ。スマートフォン、タブレット、イヤフォン、携帯ゲーム機や電子書籍リーダー、携帯スピーカーまで…。2026年春からはノートパソコンにも拡大されるらしく、キーボードやマウスにもおよぶだろう。
余談となるが、電子機器に使用できるケーブルを一つに統一するこの法律、「画期的とは思うが…EUはわざわざなぜ、そのようなことを始めたのか?」と思う方も、中にはいらっしゃるのではないだろうか。実はこれは、電子デバイスの廃棄物を削減するためのEUの取り組みの一環なのである。
さらにEU側は、消費者が新たな法案を受け入れやすいよう、新しい機器の充電性能について情報提供するためのラベルなどを準備しているとのことだ。購入者が新製品と一緒に新しい充電器を購入するかという選択に対し、十分に情報を提供するということ。もっと言い換えれば、「この充電器は本当に必要か?」という点を消費者が検討しやすくする、ということだろうか…。
EU側は、これらの取り組みによって充電器の再利用を進めていくと見られている。日本で似た取り組みがためされるのは、どれくらい先の話なのだろうか。
※サムネイル画像(Image:Art-Dolgov / Shutterstock.com)