子どもから高齢者まで、世代を問わず普及が進むスマートフォン。社会に浸透するとその用途や使い方は多岐にわたり、なかには「2台持ち」と呼ばれるスマートフォンを複数台所有するヘビーユーザーも。その目的はさまざまで、iPhoneとAndroidスマホ、仕事用とプライベート用、なかには片方を無くした場合の探索用として契約するユーザーもいる。目的を聞けば納得のスマホの2台持ちだが、携帯キャリア各社は1名義あたり最大5回線、なかには10回線まで契約可能としている。1名義で複数契約するシーンとは、なぜキャリア間で差があるのか、そんな最大回線数にまつわる情報を紹介したい。
楽天モバイルは「最大10回線」まで契約可能に
楽天モバイルは一人あたりの契約可能上限数を5回線から10回線に変更したことが判明した。2022年12月23日から6回線以上の契約受け付けを開始している。多様化するスマホユーザーのニーズへの対応を目的としているとしても、5回線から10回線は大幅な変更である。携帯キャリアの主な収入源が契約料金であることを考えると、一人あたりの間口を広げて契約数を増やしたいのだろう。
現に楽天モバイルは新進気鋭の携帯キャリアとして大きな壁に直面しており、2022年1月~9月期の連結決算では、最終損益として2,580億円の赤字を計上した。格安スマホと銘打って「月1GBまでは0円サービス」でユーザーを続々と獲得したものの、「月1GBまでは0円サービス」が終了すると成長は鈍化し、2022年末にはSNS上で閉店ラッシュがささやかれる苦境におちいった。しかし、成長過程で楽天回線エリアの4G人口カバー率は96%を突破しているだけに、全国をほぼ網羅する携帯キャリアとして施策自体ではV字回復の可能性は十分に残されている。
2023年早々に反転攻勢を仕掛けているように見える楽天モバイルだが、「最大10回線」を不安視する声もあがっている。
不正契約の観点から大手キャリアは「最大5回線」に設定
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリアは、一人あたりの契約可能上限を5回線としている。背景には振り込め詐欺などの詐欺被害があり、詐欺行為防止の観点から業界ルールというかたちで5回線を上限にしている。「最大5回線」には、日常生活に不可欠なモバイル端末を扱う事業者としてユーザーへの社会的責任を果たす目的があったのだ。
モバイル業界の歴史的背景があるなかでの楽天モバイルの上限変更だが、一名義で複数回線契約する代表例としては家族内での契約だろう。親名義で家族それぞれの携帯電話・スマホを契約する際にはある程度の回線数は必要だが、核家族化が進む現代では6回線以上を必要とする世帯の方が珍しいのではないか。
楽天モバイルの施策は業界に新しい考え方を提起しているという見方もあるが、業界ルールの背景からすると「最大5回線」に込められた事業者の想いにも共感できる。大手キャリア、楽天モバイル問わず、モバイル端末にまつわるリスクには日々注視していることだろう。新たな取り組みに挑戦した楽天モバイルだけに、モバイル端末の健全な利用を促す施策においても期待したい。
引用元:契約可能上限数を教えてください【楽天モバイル】