1月10日、楽天モバイルはショートメッセージサービス(SMS)の送受信番号の共通化に参画することを発表した。LINEをはじめとしたメッセンジャーアプリの普及により、目立たない存在となったSMS。メール全盛の時代に“簡易的メール”という位置付けで、頻繁に利用していた人も多いことだろう。さまざまなコミュニケーションツールが広まっているだけに「なぜ、いまさらSMS?」という疑問が浮かぶ。楽天モバイルが参画したSMS送受信番号の共通化には、どのような目的、そしてメリットがあるのだろうか。
大手キャリア3社+楽天モバイルによる、SMS送受信番号の共通化
SMSの送信番号共通化は、以前からNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリア3社により実施されていた。大手キャリア3社の場合、企業とユーザーは共通番号を用いることで、滞りなくSMSでやりとりすることができていた。
一方、楽天モバイルは企業からユーザーにSMSを送信する場合には、楽天モバイル用番号という独自番号が必要で、楽天モバイルユーザーからは企業側にSMSを送ることができなかった。シンプルに見えていたSMSだが、共通番号の存在ひとつで、ここまで使い勝手に差が出ていたのだ。
そして今回、楽天モバイルが大手キャリア3社の共通化に参画したことで、計4社のユーザーはひとつの番号でSMSを送受信できるようになった。SMSがもたらすインパクトは置いておいて、巨大業界内での異なる規格の一本化ということで、モバイル業界の歴史においては大きな一歩であることは間違いない。
楽天モバイルが送信番号の共通化に参画したのは、発表内容では「SMSの利用促進」としている。SMSのメリットとして、携帯電話番号のみでテキストメッセージを送信でき、個人ユーザーと企業間のコミュニケーションの効率化に貢献できる点を挙げており、SMSに大きな期待を寄せていることがわかる。ただ、メッセンジャーアプリやメールが普及する現代において、SMSにそこまで力を入れる理由はあるのだろうか。
番号共通化により期待される、ネットセキュリティ向上
LINEなどのメッセンジャーアプリが普及した現代において、SMSはインターネットサービスの2段階認証に使用することが多いだろう。Amazonでは、高度なセキュリティ設定を希望する会員に対しSMS番号の設定を促しており、設定するとログイン時にSMSを通じてセキュリティコード(認証コードなど)がユーザーに送られ、それを入力してログインする。SMSの特徴であるクローズドなコミュニケーションは、セキュリティ面で重宝されているのだ。
楽天モバイルユーザーは今回の共通化により、どの企業からのメッセージか認識しやすくなる。旧式の「楽天モバイル用番号」からの連絡といえど、知らない番号からのメッセージは不安だったことだろう。これが共通の番号となれば、ユーザーのストレス軽減は容易に想像できる。
大手キャリア3社に追随する今回の施策は、楽天モバイルにとって大きな一歩。今後どのような企業視点・ユーザー視点のサービスが生まれるか楽しみだ。
引用元:【楽天モバイル】