楽天グループ4期連続で赤字、原因は基地局増設の投資 – プラチナバンド取得の行方は

4番目のキャリアとして頑張っている楽天モバイルだが、2023年2月14日に発表された2022年12月期連結決算で楽天グループの最終損益が3,728億円の赤字で、その要因が楽天モバイルだとしている。また、赤字の理由は基地局増設という設備投資で、まだまだ回収できないのが現状だ。

楽天グループで足を引っ張る楽天モバイル 基地局増設の費用で赤字続き

楽天モバイルの回線エリア

基地局増設により、確実につながるエリアは広がっている(画像は「楽天モバイル」公式サイトより引用)

モバイル界の大手3キャリアに挑むかたちで頑張っている楽天モバイル。だが、2023年2月14日に発表された楽天グループ全体の2022年12月期連結決算で、最終損益が3,728億円の赤字ということが明らかになった。赤字幅は前期から1,338億円と大幅に膨らみ過去最大だ。電子商取引(EC)事業は好調で、売上高は過去最大を記録したものの、赤字の要因となっているのが楽天モバイルで、4,928億円の計上をしており、グループ全体の足を引っ張っている状況だ。

そして、赤字の理由については、通信エリアを拡大するための基地局増設の費用と説明されている。設備投資は必要経費なわけだが、その投資分がまだまだ足を回収しきれていない。しかし、三木谷会長兼社長は「設備投資については一巡しつつあるので、年間の運営費用を1,800億円削減できる」と強調しているし、実際に4年4~6月期以降、四半期ごとに減少傾向にあり、長いスパンで見る必要がありそうだ。

コスト効率をあげて、ユーザー1人あたりの月間収入を上げる方向へ

楽天モバイルのTV CM

コスト効率化のため、おなじみのTVCMを見かけることは今後、減るかもしれない(画像は「楽天モバイル」公式サイトより引用)

過去最大の大赤字というインパクトのある単語が聞こえると、経営は大丈夫なのかと心配する声もあるかもしれないが、1ユーザーあたりの月間収入は増えている。2022年9月より0円プランが廃止になり、実質全ユーザーが料金を払うシステムとなったからだ。新プラン発表前の2022年度第1四半期は月間収入837円だったのが、第4四半期には1,805円に増加している。

また、平均月間データ利用量も大幅に増加していて、平均売上の増加に貢献している。三木谷氏は、「毎月0円がいいとか、とにかく安い方がいいというユーザーではなく、楽天の各種サービスも利用するユーザーを狙う」と発言しており、月間収入に関しても、直近の1,800円から3,000円に増やすという目標を掲げている。

また、テレビCMなどを削減する代わりに、既存契約者から新規契約者への紹介キャンペーンを推進するとも発表された。既存のユーザーに対するキャンペーンがない…といった不満の声もあったので、それを吸収した格好だ。過去記事で楽天モバイルの店舗がどんどん閉店しているという内容を取り上げたが、ブース型の無人店舗にシフトしており、実店舗と変わらずオンラインで店員に相談ができるという、サービス内容はそのままにコストダウンをはかっている。

三木谷氏の「コスト効率を上げる。かなりの収益改善になる。」との力強いコメントからも、その方向性に進んでいくと思われる。今後の注目は悲願であるプラチナバンドの取得だろうが、まだ見通しは開けていない。

引用元:楽天グループ株式会社2022年度通期および第4四半期決算ハイライトに関するお知らせ【楽天グループ株式会社
引用元:2022年度決算短信・説明会資料【楽天グループ株式会社

オトナライフ編集部
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