iPhoneアプリを複数開いているとバッテリー消費が速いって本当? – 「Appleサポート」へ聞いてみた!

iPhoneでバッテリーの消費量を抑えるために、「使わないアプリはその都度完全に終了させるべき」と考える人は多いかもしれません。しかしAppleによると、アプリはなるべく終了しない方がいいようです。では、本当にアプリを開いている状態でもバッテリーの消耗は激しくならないのでしょうか?

アプリの強制終了は意味がない?

(Image:Tada Images / Shutterstock.com)

閉じているアプリは“一時停止状態”!?

Appleの公式サイトでは「Appを終了する方法」が紹介されており、その中には「Appを終了した方がいいのは、Appが反応しなくなったときだけです」という記載が。しかし、具体的な理由はとくに書かれていなかったため、「Appleサポート」へ直接、尋ねてみました。

●Apple公式サイト『iPhoneやiPod touchでAppを終了する方法』は→こちら

――アプリを完全に終了しないことで、バッテリーの消耗が激しくなることはあるのでしょうか?

担当者:アプリを閉じている時は“一時停止状態”になっているので、完全に終了しなくても電池を消費することはありません。ただ、歩数計アプリや地図アプリなどは、設定次第で“閉じていても稼働する”ことがあり、そのような場合は電力を消費してしまいます。位置情報などの更新を自動でおこなわないようにすれば“裏で動く”ことはないので、不安な場合は「Appのバックグラウンド更新」や「位置情報サービス」をオフにしておくといいと思います。

●Apple公式サイト『Appのバックグラウンド更新機能』については→こちら
●Apple公式サイト『位置情報サービスのオン/オフを切り替える』については→こちら

――アプリを終了することのデメリットはありますか?

担当者:アプリを終了してしまうと、再び立ち上げる時に電池を結構消費してしまいます。大きく差が出るわけではありませんが、理論上は“閉じているだけの状態”の方がアプリを起動する際に電池の消耗を抑えられます。

なお、複数のアプリを開いている状態でも「理論上、動作が遅くなることはない」とのことでした。

●Apple公式サイト『Appleの連絡先』は→こちら

3つのパターンでバッテリー消費量を比較検証!

アプリを開いている状態も開いていない状態も“バッテリーの減り具合は変わらない”ということがわかりましたが、実際に本当なのか「iPhone SE(第3世代)」を使って検証していきましょう。

最初に「すべてのアプリを終了している状態」で、8時間後のバッテリー消費量を確認。途中で通知が入ると結果がわかりにくくなるため、あらかじめ「おやすみモード」をオンにしておきます。

●Apple公式サイト『集中モードの「おやすみモード」』については→こちら

充電100%の状態からスマホに一切触れずに8時間過ごした結果、バッテリー消費量はわずか“1%”でした。

「すべてのアプリを終了している状態」でバッテリー消費量の計測を開始した時の画面

「すべてのアプリを終了している状態」で8時間経過した時の画面

次に、「アプリを複数開いた状態」で8時間後のバッテリー消費量をチェック。今回は「Twitter、Instagram、YouTube、LINE、PayPay、Facebook、Netflix、Amazon Prime Video、メルカリ、TikTok」の計10個のメジャーなアプリを開いておきます。この時、「位置情報」を設定できるアプリはすべて「このAppの使用中」の状態に。(※YouTube、Netflix、Amazon Prime Video、メルカリは除く)

PayPayの位置情報の利用許可を「このAppの使用中」に設定した時の画面

計10個のアプリを立ち上げている状態の画面

あとは「Appのバックグラウンド更新」をオンにして、最初の検証と同条件でおこなったところ、「すべてのアプリを終了している状態」と同じく“1%”しか減っていませんでした。どうやら位置情報の利用許可をオンにしていても、バックグラウンド時は“Appの使用中”に該当しないようです。

「アプリを複数開いた状態」でバッテリー消費量の計測を開始した時の画面

「アプリを複数開いた状態」で8時間経過した時の画面

最後は、「マップ」アプリと「Googleマップ」を開いた状態でバッテリーの減り具合を確認します。「アプリを複数開いた状態」と同様に、

・位置情報の利用許可を「このAppの使用中」に設定
・「Appのバックグラウンド更新」はオンの状態

という条件下で検証を実施。

「マップ」アプリと「Googleマップ」を立ち上げている状態の画面

すると、こちらのパターンでも、他の状態と変わらず“1%”の消費で済みました。

「マップアプリを開いた状態」でバッテリー消費量の計測を開始した時の画面

「マップアプリを開いた状態」で8時間経過した時の画面

マップアプリをバックグラウンドで開いているにもかかわらず、バッテリーを消耗しなかったのは、恐らく“ナビ機能”を利用していなかったからかもしれません。たとえば「Googleマップ」で目的地を設定して「ナビ開始」を押すと、ルート案内が始まりますが、この時“アプリを閉じた状態”でも画面上部には「Google Mapsが位置情報を現在利用中」と表示されます。

ステータスバーに「Google Mapsが位置情報を現在利用中」と表示された時の画面

実は、位置情報サービスの利用中、iPhoneのステータスアイコンには“矢印マーク”が表示される仕様に。そのため同アイコンが出ている時は、“バックグラウンドでもアプリが動いている”と思った方がいいでしょう。

位置情報を利用している時は、アプリを閉じていても「矢印」アイコンが表示される

iPhoneのステータスバーに表示される矢印アイコンの説明(画像は『Apple』公式サイトより)

とはいえ、ほとんどの場合はアプリを終了しなくても“一時停止状態”になり、バッテリーの消費には影響しないことがわかりました。今まで毎回アプリを終了していた人は、ぜひ今回の検証結果を参考にしてみてください。

※サムネイル画像(Image:Tada Images / Shutterstock.com

佐藤司
編集・ライター。編集プロダクションで5年務めた後に独立。これまでアプリのレビュー記事をはじめ、ガジェット系の紹介記事なども数多く手掛けてきた。最近はスマホ関連の取材記事も執筆する機会が多く、他にもSNSで話題のツールやアイテム、iPhoneの裏技記事やキャッシュレス決済に関する記事にも取り組んでいる。

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