YouTubeやテレビで放映される大手携帯キャリアのCMは、シニア向けのサービスを訴求する内容が目立つ。はじめてスマホを持つシニアユーザーの手厚いサポートを謳っており、それだけシニア層には、スマホ訴求の余地が残っているということだろう。事実、周囲を見渡してみれば、シニアのなかにはLINEやSNSなどのアプリをはじめとしたスマホの機能を使いこなすユーザーもおり、最新ツールへの適応力の高さに驚かされる。同じスマホユーザーでも、シニアユーザーには傾向があるのだろうか。最新の調査結果をもとに探っていきたい。
60代から最も支持されるAndroidスマホ! iPhoneが肉薄するデッドヒートに
NTTドコモの社会科学系の研究所であるモバイル社会研究所が、4月27日にシニア層のスマホ実態調査の結果を発表した。60代と70代から寄せられた1,250個の回答から、シニア層の最新スマホ事情を明らかにしている。
まず、シニア層が利用する携帯電話の種類は、ここ数年でスマホが占める割合が急上昇している。2017年のスマホ利用率(シニア向けスマホ、Androidスマホ、iPhoneの各利用率の合計)は64%だが、2023年には92%にまで上昇。70代も同様に、47%から80%と2倍近い上昇幅を記録している。
さらに特徴的なのが、スマホ利用率の上昇と反比例して、シニア向けスマホの利用率は低下しているということだ。60代では34%から24%と2/3程度に低下しており、若年層や青年層と同じように通常仕様のスマホを利用している。それだけ難なくスマホを使いこなすシニア層が増えているということか。
OS別で2023年結果を見ると、60代はAndroidスマホが45%、iPhoneが40%と僅差でAndroidが優位。しかし、Androidスマホの数値が近年頭打ちになっている一方、iPhoneは毎年5~7%の幅で上昇し続けており、この傾向が続けば来年2024年にはiPhoneが逆転する可能性は大いにある。
近畿はAndroid圧勝、北海道・東北はシニア向けが根強い人気……、地域別に見るスマホ事情
携帯電話の種類別利用状況について、地域別で分類した結果も発表されている。注目すべきは関東や東海、近畿など日本屈指の大都市がある地域はスマホ利用率が高い一方、北海道・東北や中国・四国などの地方部が多いエリアはシニア向けスマホのみならず、ガラケーの利用率が他地域よりも高いという点だ。また、AndroidスマホとiPhoneの拮抗具合も地域によってばらつきがあり、近畿の60代データではAndroidスマホが55%、iPhoneが35%とAndroidスマホが圧倒している。
多様性の時代と言われている現代社会において、シニア層のスマホニーズも多岐にわたっているのかもしれない。シニア層にもスマホがさらに浸透していくことが確実視されるなかで、地域ごとにどのような広がり方をしていくのか非常に興味深い。
出典元:【モバイル社会研究所】