本格的な夏山シーズンが到来し、ハイカーや山ガールは2023年の爽快な空気や絶景を味わうために準備を進めている。気候も穏やかで初心者にも登山をはじめやすい時期ではあるが、ここ数年ニュースで報じられる遭難や滑落などの事故を受けて、専用シューズやザック、雨具など万全の装備で臨むことが必要になる。達成感とリスクが隣り合わせであることが認識されつつあるなか、通信大手・KDDIが画期的なサービスを開始する。電波が届きにくい山小屋の通信環境を改善する、その名も「山小屋Wi-Fi」だ。
衛星ブロードバンドインターネットを駆使する「山小屋Wi-Fi」
5月29日、KDDIが発表した情報によると、KDDIとKDDIグループの通信事業者であるワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下、Wi2)の2社、さらにヤマップが協力する体制のもと「山小屋Wi-Fi」の提供をスタートする。衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」を活用した、新たなサービスは2023年夏から順次拡大し、利用できる山小屋は増えていく見込みだ。
都市部から離れるにしたがって電波がつながりにくくなる、というのは現代社会の常識であり、登山者は電波の弱さを承知のうえで、山と向き合っていることだろう。しかし、令和に入りスマホ・携帯電話の所有率が100%に迫り、スマホは単なる通信機器の枠組みに収まらないどころか、現代の快適な生活をつかさどる最重要ツールとなっている。
また、近年の登山ブームを背景に、レジャー感覚で気軽に登山を楽しむライトユーザーも増えており、山では自然を満喫しつつ音楽やSNSなども楽しみたいというニーズも目立っているのではないか。多様な楽しみ方が生まれている登山業界において、山の通信環境の改善は自然な流れなのだろう。
登山をより楽しく、より安全なものに。KDDIが「山小屋Wi-Fi」に込める思い
「山小屋Wi-Fi」が担うのはスマホの快適性だけではない。日本国内には、山小屋を含む登山道は地形や積雪などの自然条件により、通信環境の整備が困難とされるエリアが多数存在する。天気の急変や登山者のアクシデントなど緊急連絡が必要な際に、通信が不安定な状況は事態を大きく左右するだけに、本サービスでは高速・低遅延の「Starlink」をバックホール回線にもつWi-FiサービスをKDDIとWi2が共同で提供。光ファイバー回線の敷設が不要という特長をいかし、通信環境の整備が困難な山小屋においても通信環境は安定するとされる。
山岳部の通信環境を向上させる本サービスは、登山の魅力向上と安全性確保という大きな意義をもつ。利用料は一般ユーザーが780円(税込)、acユーザーは無料ということで、登山者は“お守り”として登録してみてはいかがだろうか。
引用元:【KDDI】
※サムネイル画像は(Image:「KDDI」公式サイトより引用)